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おじさんが無理してキックボクシング?なぜか? Vol.72

いい年した中年が 
年齢にそぐわない競技であるキックボクシングをやっている。
んで なんでか時々 試合にも出ちゃう俺である。

激しいし、危ないからよく仲間たちから 
「なんでやってんの?」 とか 
「どこを目指してんの?」 とか
「ちゃんと仕事をしろよ!」 って言われたりする・・・苦笑

中年になって お腹が出てきたし
体を鍛えて、モテるために始めたと回答しているんだけど
ほんとは  
太ってる友人がなんか運動したいというので 
一人だと続かないから一緒にやることになったのがきっかけなんだ。

別にスポーツであればなんでもよかったんだけど、
挙げたたくさんの候補から友人がたまたま選んだのがキックボクシングだったんだ。
それで二人で始めたのが5年ほど前だけど
結局キックボクシングにハマって今でも続けてるけど、
言い出しっぺの友人はやめてしまった。

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キックボクシングを続けている理由


何故 続けているのか。
やっぱり経営者として ストレスが多いじゃんか。 
稀に現れる何度、同じことを言っても改善されないアホな社員を
殴るわけにいかない時代じゃんか。 
サンドバックなら思いっきり殴れてスッキリ!ってわけよ(笑) 

ほかには 体力作りとか、体調管理とかもあるけどね。

でも 心底お恥ずかしい話、
ほんとに続けている理由は
若い時に「逃げた自分を取り戻してる」ってだけなんだよね。

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実は大学生の時にキックボクシングをやってたんだ。
当時は生活費も学費も自分で賄ってたから 
バイトで稼ぐのが忙しくて周りの学生みたいにサークル活動ができなかった。
学生の青春じゃないけど 俺もサークル活動に憧れてたわけだよ。

そんな時に、バイト仲間から「一緒にやろうよ」って誘われたのが
キックボクシングだったんだよね。

これはこれで青春じゃん!と思って 始めた。

近くのジムに通い始め
基本から教えてもらいながら友人と切磋琢磨した。
5階級ある昇級審査なんか どんどん受けちゃっては
次々に合格していった。 
俺はそれが自信になって、どんどんのめり込んだんだよね~

んで、練習を重ねて、ついにプロテストにも合格したんだ。

プロってすごいと思うかもしれないけど、
誤解がないように言いたいのは、競技人口の少なさだ。
当時 K-1ヘビー級で 
アンディ・フグとか ピーターアーツとか が流行りだしたころだとは言え
格闘技は見るもので まだまだ やる人は少なかったから
ある程度の運動神経があって練習すれば誰でもプロテストに合格しちゃうレベルだ。

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憧れの後楽園ホールへ

今のレベルでは考えられないけど、
それでも ついにプロのリング「憧れの後楽園ホール」に立つことになったんだよね。

最初は興奮して 練習に身を入れてたが
試合の2か月ほど前から だんだん恐怖に襲われはじめ、
ついには練習に行けなくなった。

実は 2級(プロ、1級の前)に合格したあたりで 一度、練習試合をしたんだけど
ヘッドギアなどの防具を付けてるとは言え 初めての試合。
むちゃくちゃ 怖いし、緊張するわけだよ。

俺がドキドキしているのをしり目に 相手は計量で体重オーバーになり
俺の不戦勝だった。
でも折角の経験だから、体重は違えど 試合をしてみたら
俺が一方的にボコボコにされる内容で終わった。。

プロの資格がもらえるまでに まともな試合と言ったら 
これぐらいしか経験がないのに いきなりの聖地の後楽園だ。

防具のないスネで蹴り合うのが怖かった。
勝てる自信がなくて怖かった。
怖さがあまり、俺は試合前の一か月間ほとんど練習をせずに 
リングに上がってしまった。
試合はさんざんで 足を蹴られまくって 2R TKOで負けた。
当然の結果だ。 
蹴られ過ぎて 2週間ほどまともに歩けなかった。

生活のかかってるバイトが出来なくなることや
就活の時期も重なり、俺はこの一戦でキックボクシングを辞めた。 
就活なんてほとんどしてないのにね。

要するに、逃げたんだ。
最もらしい理由をつけて、俺はただ単に逃げたんだ。

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逃げた自分と向き合うとき

あれから 20年間、あの情けない自分を心の奥底に隠し、
俺もすっかり、忘れてたつもりだった。
それを、太った友人が運動をしたいと言い出したお陰で
いやでも思い出させてくれた。

だから あの弱い精神力の俺じゃないはずだとばかりに
逃げた自分を取り返しているわけだ

これが、キックボクシングを続けてきた理由だ。

中年になってから すでに数試合リングに上がらせてもらってる。 
相変わらず、緊張はするが、リングに上がることを
楽しめる余裕がすこしばかり出てきつつある。


20年ほどたって忘れてたつもりでいたと表現したが、
逃げた自分を 
情けない自分を
忘れることなんてないんだよね。
それは自分自身で一番 分かってるし、どこか負い目を感じ続けているわけだからね。

これだけは言えるけど 
逃げた自分とはいつか 必ず向き合う時が来る。
その時に また逃げるのか、乗り越えるのか、は自分の意思次第なんだ。
実際ケースが違えど、そんなことは関係なしに
自分の弱い心を乗り越えないと弱いままの決断しかできない。

俺は学生の時、プロの肩書だったかもしれないが 
あんなものは 所詮、偽物だし 幻だ。
確実に今の俺のほうが強い自信がある。
向き合って自分で乗り越えた強さがあるからだ。


40_サムネ