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否定的なレビューで環境保護を推進。Hate To Protect

国連世界観光機関(UNWTO)によると、2019年の海外旅行者数(国際観光客到着数)は、前年より4%増の14億6,000万人にものぼるとのことです。

2010年から2019年までの10年間で、観光業は拡大を続けており、世界的に猛威を奮っている新型コロナウイルスの影響が落ち着けば、観光客数はより一層増加すると予測できます。

しかしそれに伴い、世界各地で人々の旅行による自然環境の破壊が危惧されていることをあなたはご存知だろうか。

オーバーツーリズム、観光による公害だ。これには、観光客によるポイ捨てや、便利さを求める観光客の需要に応えようとした旅行業者による、過剰な開発などが含まれる。

この問題に一風変わった方法で取り組むのが、サステナブルな旅行を第一に考えるフランスの観光ガイド会社Guides Taoだ。同社は、オーバーツーリズムに陥っている観光地について、人々にあえて“否定的な”レビューを投稿することを促すキャンペーン「Hate to Protect」を開始した。

オーバーツーリズムとは?
観光地にキャパシティ以上の観光客が押し寄せること。 具体的な問題としては、街中の人混みや交通渋滞、トイレの不足といったインフラの問題、騒音やゴミの問題、環境破壊などと、それらを原因とした地域住民と観光客とのトラブルが挙げられます。 日本では「観光公害」という表現が使われることもあります。


ウェブサイト上で匿名の、場所も特定しない口コミを集め、それをGuides Taoが一つひとつ精査して、観光客があまり来ないようにする必要があるロケーションの口コミとして投稿するというものだ。その結果「この場所に行くより、近隣の村の方がよかった」「散歩するなら隣の山の方が綺麗なレベル」「自然がたくさんで、人間は招かれざる客という感じだった」など、ネガティブではあるが、誰も傷つけない多くのレビューが集まっている。

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*Taoのウェブサイトで匿名の口コミを投稿できる

Guides Taoによると、人々の84%がオンラインレビューを信頼しているという。その信頼の力を上手く使って、人々の観光における選択に影響を与えることで自然環境の破壊を食い止めることはできないか、と始まったのが本キャンペーンだ。

さらに、本キャンペーンではただ否定的なレビューを公開しているだけでなく、より持続可能で環境に配慮した旅行や目的地を代替案として提案している。Guides Taoのウェブサイトでは、観光によって危機に陥れられている地域を報告し、保護対象に加えることも可能だ。

通常の旅行業者であれば、否定的なレビューが、実際の観光地の魅力を損なわないかと心配になるものだ。Guides Taoではむしろ積極的に「否定する」ことを推進している。その場所で嫌な思いをした、などの具体的なエピソードはないものの、なかなか勇気のある取り組みである。

人々の観光によって自然環境をこれ以上破壊することを防ぐためには、より多くの人が力を合わせてアクションを起こす必要がある。あなたも、ぜひ一度「Hate to Protect」のサイトを訪れてみてはいかがだろうか。

国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所 2019 年度事業報告
Hate To Protect


引用元:


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