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真珠のように

 今日は歌を歌った。高校の頃に部活でやっていたような発声練習をしたのが懐かしかった(私は一年足らず在籍した高校で合唱部に所属していた)。
 歌を歌って暮らせたらいいのにな、と思う。声楽を学ぶ大学に入ればよかったのかもしれない、と考えてから自分の音感や壊滅的なリズムを思い出した。周囲の足を引っ張っているんじゃないかと思うとどうにも居心地が悪く、合唱部を辞めようとしていたのは私だ(その前に学校をやめてしまったのだが) 。音大に行こうと思える才能はないな、という自分の思考に傷ついて直ぐにしぼむ。
 今日が初対面の先生にだんだん良くなってはいたけど、自信がないと動きや声が小さくなっていると指摘された。まずは自信をつけてチャレンジして、失敗しよう、と。初対面の相手に自信なさげな様子に見えていたのか、と思うと恥ずかしい。たとえそれがかけらもなくてもあるように振る舞いたい。
 ここ数年人との関わりを絶ってきて「どこにも行きたくない、誰にも会いたくない」という欲求が意識に上ることもなくなっていたのは、意識に上らなかっただけで成仏したわけではなかったんだな、と思う。誰とも関係したくないし、友達を作りにきたわけじゃないと思ってはいても、人に話しかけられると嬉しくなってしまう。高校の頃も「友達を作りにきたわけじゃない」と思えていればもう少し頑張れただろうか。

 高校を卒業してからやりたいこと、を聞かれることが増えた。まるでそれが私に存在するかのように人に聞かれると困ってしまう。
 本当は海底に眠る真珠のように、私を知っている人が一人もいなくなるまでの時間を一人ぼっちで眠っていたい。誰ひとり私を思い出さなくなる日がくるまで、誰にも関係しない自分だけを大事にしていたい。浦島太郎みたいに一万年の昼寝をしたい。さみしいと感じなくなるまで淋しくなりたい。
 したいこともなくてする気もないなら無理して生きてることもない、とは私の好きなバンドマンの言葉であるが、だからといって死ぬほどのこともないのだし。


追伸
 今日あったいいことは帰り道に古本市を見つけて本を買ったこととタピオカミルクティーを飲んだことです。私は人生を楽しんでいます。


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