水到きよなる

全部をやめて、貝殻の中の小さく圧縮された真珠に生まれ変わり、一生をちぢこまって過ごす

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別の世界に生きてる隣のあなた

今日、バナナケーキを焼いた。 焼きあがったケーキを、私の住む街から隣の隣の駅が最寄りの姉に渡しに行った。五歳上の姉との仲は良くもないが悪くもない。ここ数年間はまったく違うカルチャーに囲まれて育ったせいか、暗黙知の共通言語が違うのだと思う。 兎も角姉に「バナナケーキ食べる?」とLINEでコンタクトを取った結果、「たべたいかも」との返信が寄せられた。その要望に応えてバナナケーキと、オマケに余らせていた白だしと玉ねぎと鶏肉のスープを紙袋に入れて、歯を磨き、髪をブラシで梳かし、目に

    • 美しい窓、さっぽろ市民文芸、同人誌アンケートほか

      お知らせ①かがみよかがみというサイトに私のエッセイが採用・掲載されました。やったね! ぜひ読んでやってください。美しい窓越しの景色とそれでも生きることについて先月の下旬ごろに書いた気がします。 下の写真は採用祝いのプリンです。🍮 お知らせ②さっぽろ市民文芸にエッセイが入選しました五月に書いた「生きててよかったパフェ」が入選して載りました!パフェに感謝! 今日も今日とて課題が一ミリも進んでいない現実逃避に満月を見ながら散歩していたところ、半年前にも同じような状況で同じよ

      • 気を抜くと破滅しようとする

         この頃はもっぱら本を自費で出して売りつけたいと考えている。自らの文章に値段をつけて市場に出す。いかな大家や文豪、作家先生であろうとも資本主義における消費の文脈から逃れることはできないのである。一消費者として、公式(アニメや映画の制作会社や作家本人などの創作者)に金を貢ぐのがすべてという風潮に疑問を呈したい思いもある。当然、私も金は喉から手が出るほどほしいのだが、文章を商品として売るのは自分の魂を商品として売るのとどう違うのかとも思う。すべての仕事は売春である。最大多数の消費

        • 死後に寄せて

          ※自殺による死別についての文章です。メンタルヘルスに不安のある方はお控えください。  フォロワーの一人が自殺を匂わせて音信不通になった。 三月三十一日に、彼女はフォロワーが私だけの小さなアカウントでその旨をツイートしていた。  "このツイートができているという事はおそらく無事願いを叶えられたという事だと思います。"そのツイートの末尾には私への感謝の言葉と、これからの人生に幸多からんことをという私の未来に向けた祈りが添えられていた。  彼女の最後のツイートはApple m

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          鳳暁生、またの名を空っぽな王子様と脱出するシスターフッド

           この記事は少女革命ウテナを一週間で全話見たオタクのパッションによって書かれており、情報の出典が曖昧な点があります。ネタバレも含みます。 ⚠️ここからネタバレ⚠️  ウテナを鑑賞して最も印象に残ったのが鳳暁生というキャラクターだった。理事長代理として学園を表と裏から牛耳り、デュエリスト同士に決闘をさせるよう仕組んで薔薇の花嫁を奪い合わせた張本人であり、薔薇の花嫁ことアンシーの実の兄でもある。  登場する女性キャラクターに対して徹底的にプレイボーイとして振る舞う彼は、婚約者

          鳳暁生、またの名を空っぽな王子様と脱出するシスターフッド

          生きのびる為のBLとフェミニズム

           異性愛規範がしんどい。 家父長制の社会がしんどい。そこいらじゅうに存在する ホモソーシャルもミソジニーもうんざり! 他人のパンツの中身はおろか、 ジェンダーの自認にすら手を突っ込もうする人間たちにももううんざり! 生きているだけで摩耗するクソな世界で、私はBLを読む。ゲイやレズビアン、クィアな人物の物語を、映画を、漫画を、小説を読んで息をしている。BLが好きだ。けれど、作品を読んでいて特にうんざりするものが、度々露見する作者(往々にして異性愛者の女性である)の思想である。

          生きのびる為のBLとフェミニズム

          ナンパの話

           はじめに、昨夜8時過ぎにラーメンを食べたくなって外に出た。吸い込む度しんと鼻腔にしみる冷気は冬の訪れの気配だ。台風由来の風は止んでいたが、薄着にはことのほか冷えた。昼寝から起きたばかりだったせいか、通いなれた筈の道で道に迷った。なんとかラーメン屋に着いたと思いきや、財布に1円玉しか入っていなかったのを思い出した。仕方なしにローソンでキャッシュを卸して、レンジで温めるラーメンと瓶入りのオロナミンCを買った。駅のベンチでオロナミンCを飲みながらつくづく不思議でならなかったのは、

          焚き火番しようか

           帰宅してから一週間経つが、未だ荷解きをしていない。洗面用具は出した、スマホの充電器も出した、下着類も必要なものは出した。開かれた貝殻のような鞄に残ったものはカラフルなネイルカラー、スケッチブック一冊、恋愛映画のDVD3枚、数枚の衣服類。近いうちにまたこのキャリーに荷造りをして海沿いの町へ旅行へ行くのだ、最低限必要なものが取り出してあればひとまず良いだろう。  数年前、秋冷えの迫るこの時期に家族で山奥のキャンプ場に行ったことを思い出した。寝袋から一番最後に起き出して、朝食に

          焚き火番しようか

          あとは君らで決めといてくれ

           何がほしいとか絶対これになりたいとか、そんなものが全くないせいで人生がかなり成り行き任せになっている。  幼かった頃はそんなことはなかったと思う、若いんだからその気になれば何にでもなれると大人はよく言っていたし、その言葉を半分くらいは信じていた。間に受けていたと言ってもいい。そういえば、小学生の頃、他人の夢に「夢がない」なんて無粋にも程があるケチをつけたことがあった。夢がないなんて言ってる奴の方が夢のなんたるかをしらないのだ。並大抵では叶わないであろうこと、身近ではないシ

          あとは君らで決めといてくれ

          朝マック行こ‼️🍔🍟🥤

           生まれて初めて朝マックに行った。  ここ数ヶ月ほぼ毎朝行く行かないで迷っていた、私の中で今最もホットな飲食店であるマクドナルドの午前7:00〜10:30限定のメニューを食べてきたのである。  朝はめんどい。これは枕草子にも書いてある。朝起きて顔を洗って歯を磨いて日焼け止めを塗る。これら一連の作業のことを思うだけで既にめんどうくさい。この体たらくではいつまで経っても出かけられる気がしないので、歯を磨いただけで外に出た。  初夏の日差しがタイル状に敷き詰められたコンクリートを

          朝マック行こ‼️🍔🍟🥤

          インターネットに祝福された日

           前略  Twitterで繋がった人と時たま話をする。彼ら彼女らは本当によくできた人たちで、私の話を聞いて受け止めた上で応えを返してくれる。またこいつは変なこと言ってるよという目で黙り込んだり、またおかしなことを言っているからネタにしようと雑な冗談にされてしまうことがない。敬意を持って接してくれている。敬意を持ってくれていると書いたけれど、詰まるところ私は周囲から敬意を持たれていなかったんだな、と思う。  突然だけど、違国日記という漫画の話をする。します。ヤマシタトモコさん

          インターネットに祝福された日

          真珠のように

           今日は歌を歌った。高校の頃に部活でやっていたような発声練習をしたのが懐かしかった(私は一年足らず在籍した高校で合唱部に所属していた)。  歌を歌って暮らせたらいいのにな、と思う。声楽を学ぶ大学に入ればよかったのかもしれない、と考えてから自分の音感や壊滅的なリズムを思い出した。周囲の足を引っ張っているんじゃないかと思うとどうにも居心地が悪く、合唱部を辞めようとしていたのは私だ(その前に学校をやめてしまったのだが) 。音大に行こうと思える才能はないな、という自分の思考に傷ついて

          真珠のように

          対私恋愛感情撲滅委員会

          恋愛感情がマジで全然わからない。 人を好きになったことがない、おそらくこの先もなることはないと言うと、世間の面々からは理解ができないと顰蹙を買う。実際母には「天使にラブソングをみたいな、あのあれ……シスター?のいる所もあるよ」と、何故か可能性のひとつのような態度で出家を勧められた。尼さんになりたいなんてこちとら1ミリも言っとらんのだが??? 人並みに他人に好かれたことはある。恋愛感情、とでも呼ぶべきもの、世間ではそう表され、大手を振って公道を闊歩している類の執着を向けられ

          対私恋愛感情撲滅委員会