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sukabi Journal #01 富山にて

スカビ こと sky visual works inc. が富山から愛を込めてお送りするお仕事とプライベート、その周辺の物語のnoteです。

富山がわたしを選んだ
chapter 1

3.11恵比寿の事務所にいるとき、地震があった。
事務所には私と、スタッフ2名に、妻と長男(生後4ヶ月)が組み立てベッドで寝ていた。
まだ保育園に預ける前、自身でアパレルブランドのディレクター兼デザイナーとして仕事に復帰していた妻は、子どもを連れて恵比寿の事務所に通っていました。
駅から歩いて5−6分、全面ガラス張りの可愛らしいビルで、6階建ての6階、1フロアを借りていて、眼下には車通りの激しい大きな交差点があって、渋谷からの風が抜ける、気が通っている場所でした。
震度5強と言われたその地震は、可愛らしいそのビルを容赦なく揺さぶりました。

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地震直後:棚から全てのものが落ちてきた

chapter 2
社会的な活動の意義

そのビルには、10年いました。
広告制作会社から独立後、ファッションのシーズンビジュアルやカタログ、雑誌や、アーティストの会報誌、映画やDVDのパンフレットやジャケットなど、それまでお世話になっていた人からの広がりで、小規模で完結する自分のやりたい仕事に携わっていて、一方で、デザインのアウトプットやコミュニケーションに困っているNPOなどの団体をプロボノ活動で支援する団体に所属をして、別の角度からも社会との繋がりの中で役に立ちたいという活動もしていました。
将来、年を重ねた時に、ファッションとエンタメの仕事に果たして関わり続けるのか?疑問を持ち続けている感覚は持っていて、10年後の自分の居場所を探し始めていたのかもしれません。

chapter 3
まるでコロナ後の世界を

当時、地方からの、デザインに関するニュースはとても魅力的で、東京で疲弊していたワケじゃないけど、東京じゃない場所で始まっているムーブメントと見ていて、漠然と、東京から離れた場所で活動をしたい。と考え始め、移住していった友人知人に時間を作ってもらい、インタビューを繰り返し、土地の魅力や、日常の生活の変化や、そこで何をしようとしているのか。沢山話しを聞きました。
同時に、恵比寿の事務所にもあまり行かずに、リモートが可能か?を検証するべく、3.11を機に、引きこもったり、ノマドをしてみるという、まるでコロナになった世界を先取りしたかのような1年を過ごしていました。

結果的に、私の場合、ミーティングはほとんどオンラインでできて(コロナ前だったのでzoom文化はなく、メールがメイン)、撮影前と、撮影当日は現場が大切ですが、それ以外の業務は、どこにいてもシレッとこなせていました。
知人友人との食事や、意見交換など、これも、私の場合は年に1度程度しか会わない方が多くて、いつでも会える距離感にいる必要も感じませんでした。

chapter 4
富山がわたしを選んだのでは?

どうして富山に来たんですか?と何度も聞かれました。
はじめは、子育て環境を言い訳に、「自分が来たくて来た」とはっきりと答えていなかったと思います。でも、質問に答えているうちに、自分でも答えが分かって来たような気がしています。

「東京圏から離れた場所で始まる、その土地のためになるゼロスタートのプロジェクトに関わる」
という目標を設定していたので、実家が埼玉のわたしがそこから離れるには、知らない場所で始めるしかない。
だったら行ったこともない場所でも、住みたいと思える場所で。と移住先を探していた旅行をする中、初めて訪れた富山が気に入って、事務所のこと、家のことなど、家族会議を繰り返し、半年後には引越しを決めました。

町から山並みが見える、海も山もあって、水も空気も食材も、新鮮で美味しい。
町は清潔感があって、東京へは2時間と少しで行けて、家も広々。
問題は、親戚も血縁関係もいない上に、知り合いがゼロ人。
でも逆に言えば、知り合いがいないので、怖いもの無しで飛び込みで連絡取ったり、合わなかったら引けるし、1から人間関係も築けるという人間関係の面ではラクさも感じました。

何より、視界に入ってくる人の量が少ない。
無駄に人に気を使わずに済むとか、並ぶ時間も渋滞もなく、改札や会計で手間取ったら舌打ちされるようなプレッシャーもありません。
生活面の快適さは、きっと仕事にも子育てにも反映されています。

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移住後に訪れた氷見の高台からの風景
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スイカを丸ごと買うって幸せ

chapter 5
携わり続けるという仕事

きっと何かが起こる。何かが始まる。そんな気持ちを抱いていました。
いま、7年経って始まっている感触。次につながりながら続いていて、それは、要するに、始まっている。ということ。
東京での仕事も同じ感触は持っていたんだけど、周りが高次元、ハイスピード過ぎて、地道な手作業で進めていることが=「取り残される」という感覚に陥る。
きっと、ほとんどの人は、そう感じているんだろうと思う。
そして、実際そうなんだろうけど。

ゼロスタートしているので良く分かる。
丁寧に時間をかけて、時間を重ねてお付き合いすることが、今のわたしの喜びだ。


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