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紀行文 20/03/21 巻01

川上村梓山へ

位置:長野県川上村梓山

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千曲川の最上流部の集落
千曲川の流れも細い.長野県の最も東に位置すると思われる集落でもある.
手前の千曲川に奥から梓川が合流している.梓川の川石がやや赤味を帯びている.梓川沿いにはかつて鉱山もあって,鉄分が流出しているのだろう.

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千曲川に架けられた仮設の橋
カラマツと思われる丸太を二本並べて,両岸の石を橋台として橋渡しがなされていた.手前にはマレットゴルフ場があり,上下の近いところに永久橋がないため,仮設されたのだろう.手前右岸側はピン接合となっており,増水時には橋を外しすことができ,流失を防ぐ工夫がみられる.

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秩父方面への峠道へ
三国峠十文字峠を越えれば秩父へと抜けられる.東西の幹線には,街道の宿場風の趣きもある.流域から採石されたと思われる大きな石もいたるところにみられる.消防ホースのボックスの高さは,積雪深を示すとみられる.

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石造?の賽銭箱
明治期の分類を使えば村社クラスの神社があり,境内には石灯籠ほかのひととおりの整えがみられる.賽銭箱が石造あるいは瓦のような焼成品によって設えられている.盗難防止等の工夫が現れたと考えられ,当地の石造技術の高さを感じる.

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祠の石
摂社がいくつか祀られており,その祠の下部にはオモシにしてあるような石がそれぞれ配されている.風などで祠が舞ってしまうことへの対策というよりも,石がもつ別の力を祠に宿していることの表現にもみえる.

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棟の鬼飾りの面
本殿の神社建築の様式としては春日造に近い形式と思われる.棟の飾りには赤く強調された顔面(天狗だろうか)がのぞいており,類例はあまり見ない.裏面にも似たような面がみえる.

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各所に積まれた薪
戦後には,カラマツ材を主体とした林業で栄えたとされる.その名残のようにみえる薪が,付近一帯の民家まわりには積まれている.写真は,灯油タンク,灯油ボイラーのまわりに積まれ,かつての燃料の用途や,薪ボイラーがまだ現役であることを示しているようにみえる.


川上村秋山へ

位置:長野県川上村秋山

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農業機械の彩り
川上村一帯には水田がみられず,高原の気候を利用してレタスなどの大規模な畑が目立つ.農地を早く広く耕し,均すための機械が屋外に多く置かれており,赤や黄やオレンジなどの彩りを風景に与えている.

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棟にのぞく鬼
前述の梓山の神社でみられた意匠が秋山の集落の神社にもみえている.秩父の鬼やらいに使用される面に似た木彫りにもみえる.赤く塗られている.

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背の高い墓
基壇や墓石本体が高い印象をうける.宝篋印塔を髣髴とさせるシルエットのようにもみえる.ほぼ近代に立てられた墓と思われるが,多くは里に近い.黒味を帯びた花崗岩系の石材のようにみえ,地産かどうかは不明であるが,墓にかける費用も含め地域に共通するコードがややみえている.

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堤防上の連続空間
千曲川の堤防上は歩行や,河川管理,農地接道などのための空間となっている.山に囲まれた四周の景色を眺め,川の様子を見降ろすにもよい展望台となっている.川上犬の血を継いでいると思われる犬と少年が,堤防上を駆け抜けているのが見える.

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堤防上の余地
千曲川の堤防の法面と舗装の間に幅2m内外の余地があり,付近の土地の管理者によってそれぞれに有効利用されている.手前の白い石は周囲の花崗岩の母岩に産出された大きめの結晶だろうか.この余地と舗装の境界石のように立てられていた.

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野生種のリンゴ
蔓がまとわりついているが,左手の幹は,現地の案内板によれば,リンゴの野生種とされている.古い辻に植えられたと思われる.周囲の見通しもよく小さな丘に位置する.

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諏訪神社の2本の御柱
10mはあるだろう2本の御柱が境内に立てられている.いつから続くものなのか,綱が柱の元に残り,片方には細い小さな木が何本も立て掛けられている様が印象的でもある.もう片方の柱には,バツ印が等間隔で数か所に刻まれている.林業の盛んな村の産業との関連も感じさせる.

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諏訪神社の鳥居から
見えている山は標高2132mの五郎山だろう.鳥居に掛けられた注連縄の様子も無造作ながら面白い.神社は集落のはずれの高台に位置しており,御柱を引き上げる労苦に尊さを感じる.

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