見出し画像

紀行文 20/03/21 巻02

川上村居倉へ

位置:長野県南佐久郡川上村居倉

画像1

集落のはずれの馬頭観音
集落からはずれ,おそらく旧村の境で街道沿いになるだろうというあたりには馬頭観音などの石仏群がみられた.背景となる山のかたちも特徴的にみえる.

画像3

八ヶ岳への展望
少し高い位置から,千曲川の下流方向をのぞむと八ヶ岳が望まれた.農地,農機,墓地,ハウスなどの景物のほか,民家の棟方向のややばらけた感じには集住の編年がみえるようでもある.

画像4

大山祇神社境内のケヤキ
ケヤキが大きく育っており,いまにも境内からはみ出ようという力強さが感じられた.数本のケヤキを縫って歩くと,狛犬が迎えてくれ,本殿のあたりに導いてくれている.

画像6

農業機械の顔面と民家の妻面
もう引退したと思われるトラクターが庭先に置かれ,不思議な表情と存在感をみせていた.その裏には,民家の妻面がみえており,漆喰塗りにより要所要所が納められているのがわかる.

画像7

小祠の足元
玉砂利が敷き詰められ,玉石がいくつも集められ置かれている.玉石は丸みがあり扁平ではなく球体に近い.河原からとられたものというより,人為による加工がなされているようにもみえる.どのような用途にあったのかはわからないが,中部高地の蚕玉信仰にみられる形式と通じている.

画像8

塀の上の猫
大谷石に近い石材に表面加工が施された石塀が立てられいる.その上に猫が鳴き声をあげていた.猫が比較的多くみられる地域であり,地域的に守られているようにも感じられた.鼠を退治するなどの益獣として育てられてきた伝統があるのかもしれない.

画像10

千曲川のほとりの露頭
砂岩泥岩互層だろうか,層序がはっきり現れているわけではない.上部にはアカマツらしき幼木がみられる.河床には床止めが施され,右岸には水利施設の排水口がのぞいている.

川上村大深山/御所平

位置:長野県南佐久郡川上村御所平(千曲川右岸側)

画像17

尾根上の神社
産泰神社とされている神社が,尾根のアカマツ林を数回折れて,高みにあがったところにまつられていた.前橋の産泰神社と関係があるのだろうか.岩石が露出しており,さらに尾根の上のほうまで露出は続いていた.このあたりから千曲川は西流から北流へと流れの向きが変わっていく.

画像18

橋脚の沈下
千曲川にかかる男橋が2019年の台風19号による洗堀があったためか,橋脚が沈下しており,県道梓山海ノ口線が通行止めとなっていた.

画像19

参道その壱
龍昌寺の参道は門を潜ると左右に石積が伸び,その先(写真の手前)には横断する水路の上に石橋?が架けられている.親柱と欄干は凝っていて,石積との連続性がみえる.

画像20

参道その弐
龍昌寺の参道を奥へと進むと,両側に高さ3mを超えるような生垣があり,奥の仏殿へと導く通景がかたちづくられている.上部は山や屋根型の傾斜が勾配をともにし,連続的な景観をみせている.

位置:長野県南佐久郡川上村大深山

画像21

石灯籠のバランス
古宮神社の境内には溶岩由来の石が竿や宝珠としている灯籠がみられた.火袋の位置を中心から少しずらすことでバランスが保たれているようである.神妙なバランスをかたちとしてとらえている.

画像22

神社前に並ぶ樹木
古宮神社は山際の微高地に位置しており,神社の前を等高線にほぼ沿った道が横断している.道際には千曲川の沖積低地側にむかってケヤキらしき樹木が生えている.列植ではなくて自然に生えてきたものを残しているのだろう.樹木間の間隔は狭く,柵のように神域を隔てている.

画像19

石塔各種
石祠,宝篋印塔,舟形などの石造物が一列に並び,奥には墓石もみえている.法面の肩には先述の道が通っている.手前から2つめの石祠は寄棟というより宝形に近い屋根型をもつが,棟の上に玉石,笠と続けられており,ここにも神妙なバランスがみられる.

画像20

奥山からカラマツ林,墓石までの眺め
最も奥にみえる山は男山(1851m)で,その左手が赤顔山だろうか.辻には高木の針葉樹が設えられ墓場の角を護持している.カラマツ林を中景に挟みながら,ロケーションを意識した立地の墓場であることが感じられる.

南牧村海ノ口/広瀬へ

位置:長野県南佐久郡南牧村海ノ口

画像11

砂塵の中の八ヶ岳
春霞を超え,畑の表土を風が吹き荒らし,砂塵が視界を遮っていた.大規模な畑という土地利用がなす季節的な景観でもある.

画像12

山と畑地の間の谷
一面の水平に広がる畑には疎らに小屋が散在し,10m程度の木立がみえる.その奥は千曲川の谷(比高-100m程度)へと落ちており,さらに奥に聳える男山?(比高+600m程度)やその連なりの山々を引き立てている.

画像13

海ノ口の集落
千曲川と杣添川の合流点付近からさらにその支谷に沿って家屋が分布し,海ノ口の集落を形成している.傾斜や地形が立地と成因とどのように結びついているのか,地名とともに興味深い集落である.

画像14

尾根にあるもの
尾根までカラマツ林が広がっている.やや平らな土地には墓地が築かれ,蜂の巣箱も見えている.石積擁壁の縁にはトラクターが置かれ,北側には溶け残った雪がみえている.

画像15

石置き屋根の名残り
土壁をみせているのは土蔵であろう.赤いトタンの三晃式瓦棒葺きの屋根が架けられ,そこに雪止めらしき横材が石置きによって固定されている.広瀬の集落でみられた工夫であった.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?