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『プレゼント』

セクキャバ行った時に「ホストの知り合いがいる」っていう女のコがいたので紹介してもらい、取材と称して会ってみた。

翔さん、翼クン、蓮司クンの3人と新宿のマックで落ち合う。

普段接点がない人たちと会ったことで気圧されたワタシは、不思議な話を聞くきっかけがないまま、黙って3人の会話を聞いていた。

しばらくはどうでもいい話だったが、モテ自慢が始まってから急に面白くなった。翼クンと蓮司クンがそれぞれ貰った、高額なプレゼントの品々について語った後、一番リーダー格の翔さんが鼻で笑いながら首を振った。

「お前ら所詮、何を貢いでもらったか自慢だよな。そら、俺だって散々いろんなもん貰ったよ。外車、マンション、時計と一通り。でもな、一番トンデモナイものは何だったと思う?」

わかんないッスとバカ面をする2人の頭をパンパンと叩くと、翔さんは豪快に笑ってから急に真面目な顔を作った。

「命だよ、命そのもの」

翔さんは会社の金を使い込んでまで貢いでくれた、アラフォーの不細工なOLの末路を語った。

「捕まっても俺に迷惑が掛からないようにって、俺とのことは全て消し去ってから首吊って死んだんだ」

スゲェ、流石は翔さんと、アホ面の2人が絶賛する。

「でもよ、気持ち悪いのはさ、最後のメール。『ワタシ死んだら幽霊になって、翔クンの横にずっといてもいいかな?』だってよ。な、ブスはこれだからウザいよなぁ。だからよ、今もココ、この辺に立ってるんだぜ、きっと」そう言ってゲラゲラ笑う翔さんに、ワタシは妙な胸騒ぎを覚えたが何も言わなかった。


あれから数カ月して、ワタシは飲み屋で知り合った裏モノ系ライターから嫌な話を聞いてしまった。

ヤクザの娘が組長である父親に頼んで、お気に入りのホストを拉致してペットにしているという噂。

「それが翔って名前の売れっ子ホストで。まあ、何人もの女性をソープに沈めたりAV堕ちさせたりした悪党だったんで、誰も同情はしてないみたいですけど」

嫌な予感がして特徴を聞いてみると、やはりあの時会った翔さんのと一致した。

「どんな状態でいるかって? まあ組長の娘さんは野生のメスゴリラ並みの性欲モンスターらしいんで、見た目もですけどね」

普通の男じゃ三月で廃人同然らしいですよと言いながら、ライターのIさんはホッピーの中を注文すると、アメリカ大統領選の行方へと話題を変えた。



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