何でか、この場面が好きである。第8回
韓国でR-18、日本でもR-15。観るのに相当覚悟のいる映画。それなりにホラーに耐性のある自分でも思わず目を逸らしたシーンがあったほど。
でも、敢えてこれは年頃の女性におススメしたい。特に高校に上がったばかりぐらいの。これを観たら、安易に知らない男について行かなくなるだろうから…
さ、例によって「ネタバレあります」宣言をしたので、ここから先は観てない方はご注意を(前情報無しに観た方が絶対に面白いです)。
≪ラストシーン≫
まず僕が大好きなのは主人公の設定。元刑事で、デリヘルの店長。
ココ大事なので2回書きます。主人公がデリヘルの店長! 見た目もそれほど格好良くないオジサンなのである(キム・ユンソク、好きになりました)。しかも人としてもクズ。女は品物扱いで、風邪をひいていようがお構いなしに客を取らせる。
で、店の女がいなくなったのも、支度金を持ち逃げして別の店に引き抜かれたとしか考えない。
ところが実は、連続殺人鬼(実在の人物モデル!)に殺されていたんだが…この殺人鬼役のハ・ジョンウが凄い! 観ていてホントに憎たらしいというか、久々に「こいつ死んでくれ」と思うほどの演技力。
物語の大半はタイトル通り、この2人の追い駆けっこ。それだけだとクライムサスペンスの秀作ぐらいの扱いで記憶から消えたかもしれないが…
ここに1人の子供が絡むことによって、僕の中で忘れられない1本へと変化した。
最初の方で書いた「風邪をひいているのに無理矢理客をとらされた女」の一人娘。この子が…抜群に可愛らしい。
僕は、主人公とこの女の子のシーンが堪らなく好きだ。マセたガキだぐらいにしか思っていなかったのが、段々と父性だとか後ろめたさだとか入り交じって、少女を守ろうと、その母親を絶対に探し出してやろうと変わっていく主人公の姿に、毎回胸を打たれる。
物語の核心部分は流石に触れられないので、一番忘れられないラストシーンのことはサラリと済ます。
なんやかんやあって、で、最後にこの2人が病室で手を握り合っているシーン。
伊藤若冲が、焼け野原となった京都を描いた水墨画に「復興」の希望として「つぼみ」を描いたように、監督ナ・ホンジンは荒んだ世界に、ほんの少しだけ主人公の「希望の芽」を描いたかのよう。
なので自分はココ。涙腺崩壊。この映画はこの場面が最高に好きである。