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#7【関東大震災から100年】タワマンと在宅避難

今年は、関東大震災から100年ということで、9月の防災週間前後に、様々な防災関連の報道を目にしました。

「SKY DUOに当選した」という現実から、自然と目にとまったのが、タワーマンションの防災についてです。

タワマンにご縁ができるとは思ってもいなかった人生でしたので、この機会に、タワマンでの地震への備えについて考えてみます。


増え続けるタワマン~高層難民化するリスクとともに~

不動産経済研究所が3月に発表した「超高層マンション動向 2023」には、1976年以降の、首都圏の「超高層マンション竣工・計画戸数」 のグラフが掲載されています。20階建て以上の「超高層マンション」(=タワマン)は、1997年に建築基準法が改正されて以降、2000年代に続々と建てられ、現在はその時の勢いはないものの、増え続けている様子が見て取れます。

超高層マンション竣工・計画戸数(首都圏) 1976~2027年以降

東京都が、昨年10年ぶりに見直した「首都直下地震等による東京の被害想定 報告書」によると、東京のタワーマンション等の高層建物は、10年間でおよそ4割増えたそうです。

東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定 報告書」1-9

さらに、同報告書では、「地域別リスクシナリオ」として「湾岸部の埋立地(タワーマンション街)」で地震発生直後に起こりうる事象が記されています。

東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定 報告書」5-99

・長周期振動による家具や人の転倒や負傷
・エレベーター停止→閉じ込め、避難や救助困難、高層難民化
・トイレ利用、配管修理完了まで不可
・夏季:空調停止による熱中症
・液状化による救出活動や物資運搬への支障
・被災後の修繕への意思決定時間
 あたりが主なリスクというところでしょうか。

都が今年見直した「東京都地域防災計画 震災編(令和5年修正)」でも、「耐震性が高く、自宅に留まることができる」という強みとともに「エレベーターの停止等により陸の孤島化のおそれ」という弱みが述べられています。

在宅避難が可能耐震性能の高いマンションの増加
・都内におけるタワーマンション等の超高層建築物は約4割増加している。
耐震性が高く、自宅に留まることができる住民が増える一方、エレベーターの停止等により陸の孤島化のおそれ

東京都地域防災計画 震災編 p.27 ※太線は、晴子

高層マンションの増加により、長周期地震動の問題やエレベーター停止、トイレ使用不可などマンション防災における問題点が顕在化している。 特に、1棟あたりの居住者が多く、エレベーターの不通時、高層階との行き来が困難となる20階以上のいわゆるタ ワ ーマンションが増加している。

東京都地域防災計画 震災編 p.77 ※太線は、晴子

平時は、マンションの「高さ(height)」が眺望等の魅力につながり、かつコスト(価格・管理費・修繕積立金等)になっているわけですが、災害時は「高過ぎること」は弱みになります。タワマンに暮らすということは、「高層難民」になるリスクを受け入れながら生きるということなんですね。

在宅避難、何日することに?

避難所のキャパシティに限界があるため、人口密集地域のマンションの住民は、できる限り「在宅避難」をということになります。晴海フラッグのある中央区も、在宅避難を推奨しています。

中央区では「在宅避難」を推奨しています
(中略)
マンションの多くは高い耐震性を有しており、倒壊による被害は少ないと想定されています。このことから本区では、発災後も安全が確保できる場合には、住み慣れた自宅で生活を続ける「在宅避難」を勧めています。

中央区「今始めよう。マンション防災」 

しかし、エレベーターや水道などの復旧に時間がかかった場合、在宅避難は、困難になっていきます。

3 マンショ ン防災における 自助・ 共助
タワーマンションをはじめとしたマンションの増加は、マンション防災の必要性を高めている。躯体が耐震化している建物が多く、被害が軽微であれば在宅避難が可能と なる。 しかし、早期のエレベータ ー復旧や水道の利用再開が困難、排水管等の修理が終了していない場合はトイ レ使用不可、 住民同士のつながりが稀薄、などの諸問題によって、在宅避難が困難と なり 、 多数のマンションの居住者が避難所に避難することが想定される 。

東京都地域防災計画 震災編  p.80 ※太線は、晴子

東日本大震災の際、集合住宅のエレベーターの復旧状況はどうだったのでしょう。
このとき、中央区は震度5弱を観測。
区内マンションのエレベーターのうち、
▼74.3%が自動停止し、2.4%が故障
▼1台目の復旧は、当日中が22.2%、翌日中が50% 
だったそうです。

                   中央区「今始めよう。マンション防災」 p.5

7割以上で、翌日までには1台目が復旧していてほっとしましたが、復旧までに1週間以上かかっているマンションもあるので、油断はできません。

首都直下地震の災害シナリオでは、発災3日後以降も計画停電が継続される可能性があるとしています。

身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相④ (住み慣れた自宅等での避難生活)
東京都防災会議「東京都の新たな被害想定 ~首都直下地震等による東京の被害想定~」

令和4(2022)年5月25日 p.13

この夏の猛暑のようなタイミングで巨大地震がこないことを祈るばかりです。

食料や日用品の備蓄 タワマンは7日分が目安?

晴海フラッグが謳う「免制震構造」や「ディフェンス力」にも期待していますが、万が一ライフラインが絶たれれば、高層難民になるわけですから、自分たちでできることも考えておきたいと思います。

晴海フラッグの防災倉庫

各階に防災倉庫が備えられていて、以下のような防災グッズの確保が予定されているそうです。
・ヘルメット ・ロープ ・革手袋 ・非常用飲料水 ・毛布 ・救急キット ・緊急用トイレ ・カセットコンロ ・ゴミ袋 ・ポータブル発電機 ・ラジオ ・ライト ・マスク  など

実際のところは、どんな感じなのか?自主防災組織の在り方はどうなるのか?等々、板状棟の入居が始まったら、少しずついろんな情報が出てくるでしょう。

「東京備蓄ナビ」で災害時の備蓄を調べてみる

東京備蓄ナビでは、家族の年齢や人数などによって変わる備蓄量を自動計算してくれます。「エレベーターが止まった時に荷物を持っての階段の上り下りが難しいお住まい」は、水や食料などの備蓄7日分が目安として算出されます。※戸建てや低層階では3日分のようです。

海男と晴子(中年2人)が、タワマンに暮らす場合、食料の備蓄は、以下のように出てきます。

食料のほかに、衛生用品・生活用品の備蓄量が算出される

水は42リットル。2リットルのペットボトルにして、21本です。レトルトごはん42食!無洗米6キロ 等々、間取り図と何度にらめっこしても、そんな量を備蓄しておけるストレージは存在しない現実が見えてきますが、できる範囲のことをしておきたいですね。

海男から「(サントリーの)ウーロン茶多め(に備蓄しておいて)」の要望も

また、海男は、サントリーのウーロン茶が欠かせない人なので、忘れずに。海男の生まれ故郷のレトルトカレーもおいしいので、買い置きしておきましょう。海男が好きなぽんすけやポテチなんかもあると、災害時の心の癒しになりますね。

近代的集合住宅 100年に思いを寄せて

多くの人が家を失った関東大震災の後、耐震・耐火に優れた鉄筋コンクリート造の集合住宅(同潤会アパート)が東京・横浜に作られました。まさに、100年前の震災が「日本で近代的な集合住宅が普及するようになったきっかけだったんですね。それから100年、震災がれきが埋め立てられた豊洲にタワマンが林立するさまを見ると、感慨深いものがあります。

1923年 関東大震災
1924年 「同潤会」設立
1926年    日本初(?)の鉄筋コンクリート集合住宅「中之郷アパート」竣工 
 (中略)
2023年 海男SKY DUO当選
2024年 板状棟 入居スタート、街びらき
2025年 SKY DUO 入居予定

そして、来年度、政府が首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直し、その中で、タワーマンション対策を重点的に検討するそうです。

引き続き、タワーマンションの特性に理解を深めつつ、万が一のときに数十階まで上り下りできる体力と足腰の維持に努めてまいりたいと思います。

海男さん、一緒にジム通いがんばろうね!

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