クライアントと共にリスクを取りに行け
わたしの友人であり、クライアントとのセッションは、毎回大切な学びをくれる。
先日のセッションで、どの線まで超えていいか、ということをためらうシーンがコーチの自分にあった。
仕事で新しい配属先に転勤することとなり、それまでの準備期間を過ごす彼が話す言葉が、どれもこれも自分の本当の気持ちに聞こえず、上っ面の表面部分をサーっとなめて話しているような気がしてならない。
彼自身の気持ちを知りたいと思っているのに、どうしてもその一歩先に踏み込めていない感じがする。
話していることは、仕事に関する大切な価値観な気がするからそこをしっかり見てほしい!感じてほしい!という願いが強くなり、その時どう思ったかや、本当の本当の願いは何?など、聞いていくけれど、なかなかドンと壁を破れていない気がなにかする。
暖簾に腕押し状態で、つい期待してしまう気持ちが返ってこない。そうすると「あー今日はなんだか噛み合わないなーなんか違うな・・・」という自分の中のやさぐれ部分が出てきて、さらに一歩踏み込むことを躊躇してしまったことがあった。
これ以上、どう思った?どうしたい?どんな未来になりたい?と膨らませるのは、本人が望んでいなさそうなのに、突っ込むのは違うんじゃないだろうか。このまま、事柄や事実を話すだけでも、もしかしたら本人的には気持ちいいんじゃないだろうか。そのまま突っ込んでいかず、しっかり聞いていればよいのではないか・・・
そんな迷いやためらい、嫌われるんじゃないか・腹をたてられるんじゃないかというリスクのようなものが、もっと深く気持ちに触れることを躊躇させた。
セッション自体は、まあまあそれらしく終わったけれども、どうもずっとわたし自身の具合が悪い。躊躇って斬り込めなかったモヤモヤや、本人にとって有意義な時間だったのか?わたしの気持ちが中途半端にしか伝わっていないじゃないか?という不安が押し寄せてきて、その後半日の気分は最悪だった。
それからしばらく時間が経って、いま、改めて感じるのは、
クライアントに耳の痛い話をすること・自分の気持ちを話すことが苦手なクライアントに対し、何度もどう思う?どんなことを願っている?と内側を聞き続けることは嫌がられるんじゃないかと思った。
わたしはあの時、あらゆるリスクを避けた。
クライアントはある意味、リスクをとってでも自らの環境を変えたいという願いからコーチングを受けていると言っても過言ではない
本当のリスクとは、コーチが躊躇することで、クライアントが表面的なコーチングしか受けられないこと。
あの時、これ以上同じような質問(本当の願いはなに?心の中にある気持ちをそのまま出してみて)はやめよう、もうきっと出てこないや、起こった事象しかでてこない・・・・と逃げた自分がいたことを気づかせてもらった。
しつこいと思われて、一時嫌われようと、同じことばっかり聞いてくるなーと嫌悪感をもたれようと、頑張って尋ね続ける挑戦をすべきだったなーと今ものすごく反省している。
嫌われるかもしれないし、腹をたてて今後のセッションを中止にされるかもしれないけど、その閉ざされた山を超えた先に、大きな大きな価値観の発見があったかもしれない。
もったいないことをしたなーと今思う。
今後わたしのコーチングを受ける方に伝えたい。
その話のもう少し奥に、大事な価値観が眠っていそうとわたしの直感が言ったならば、時にジリジリと、時に大胆に、その言葉の裏に、大事な価値観が隠されているかもしれないと信じて、リスクをとって尋ねてみようと思う。
言葉に出したくない気持ちがあるかもしれないけれど、ぐっとリスクをとって、裏側をぐっと一緒に見に行きたい。何かとんでもない発見が眠っているかもしれない。
毎回、反省が多い彼とのセッション。また今回も、わたし自身の大事な自己管理を学ばせてもらった。感謝感謝だ。
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