#インガオリ
『カバリとジャンには、夜がお似合い』
彼の敵前逃亡は、小隊の運命には何の影響も与えなかった。路地の奥で殺された人数が、ただ七から六に減っただけだ。だがその夜は彼を、永遠に変えてしまった。
路地を、まるで連なる川獺のように小隊は進んだ。最後尾の彼だけが、分かれ道の手前で立ち止まった。兵士たちは低い姿勢のまま暗がりへ消えてゆく。おれは捨石の、囮役を引き受けたのだという言い訳を彼は考えた。自分一人だけなら逃げられる可能性がある。彼には
彼の敵前逃亡は、小隊の運命には何の影響も与えなかった。路地の奥で殺された人数が、ただ七から六に減っただけだ。だがその夜は彼を、永遠に変えてしまった。
路地を、まるで連なる川獺のように小隊は進んだ。最後尾の彼だけが、分かれ道の手前で立ち止まった。兵士たちは低い姿勢のまま暗がりへ消えてゆく。おれは捨石の、囮役を引き受けたのだという言い訳を彼は考えた。自分一人だけなら逃げられる可能性がある。彼には