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キッズキッチンレター4月号

中国のごはん

私が初めて中国に行ったのは1988年の春でした。上海に一時帰国する留学生に着いて行かせてもらいました。中国の中でも有数の大都市である上海、今では信じられない話ですが、個人の家に電話はありませんでしたし、テレビのチャンネルは2、3つしかありませんでした。人々がテレビを見ない午後は放送休止時間がありました。今では高層ビルが建ち並ぶ浦東区も、当時、夜は真っ暗で何もありませんでした。そして外国人は中国のお金を持たせてもらえず、兌換券を使い、買い物ができる場所も決まっていました。
 また当時、中国では、全員が餃子を食べると思い込んでいました。もちろんどこの地域にも餃子はあります。ただしその位置付けが違うのです。
 上海は地域の区分でいうと南にあるので、お米のご飯が主流です。春に行ったため、毎日、セリの炒め物、エビの炒め物、鮒の煮付けが出てきました。一向に餃子が出てこないので「中国なのに、餃子を食べないの??」と聞くと「餃子を食事として食べるのは北の方」という答えでした。南の方は餃子に似たものは軽食の位置付けで、小籠包や蒸し餃子、焼売、水煎包といったおやつまたはおかずの一種で食べるものでだったのです。上海の名物は小籠包と、そして大饂飩(ワンタン)です。日本で言う水餃子はよくスープに浮いていますが、そのイメージはこの大ワンタンから来たのかもしれません。日本で食べるような餃子がスープにぷかぷか浮いているイメージです。
 “本物の餃子“を食べたのは、鉄道の北京駅のそばの食堂でした。皮が分厚くて8mmぐらいあり、肉と同じぐらい皮があります。どんぶりに黒酢を入れて、その上に餃子を入れて出されました。食堂ではお茶はなく、メンタン(麺湯)と言う餃子の茹で汁が出てきました。
北京は中国の東北にあります。今の北京周辺の料理はとても辛いものが多いのですが、東北料理は、あっさりとした味付けの食べ物が多くあります。(「東北料理だよ!」と言われると私は喜びのあまり小躍りしてしまいます)
東北の水餃(いわゆる餃子)は羊肉も豚肉もあります。中国に住んでいた時、餃子を食べることは寒い冬の日の楽しみでした。町の小さな餃子屋さんに入ると、個数で注文して、茹で上がりを待ちます。10分程度かかります。そのまま家に持って帰ってもいいし、そこで食べてもいい。当時、住んでいたウルムチの外気温は−15℃前後、餃子の茹で上がりを待つ間の、鍋から立ち上る暖かい湯気を思い出します。

世界最古の餃子は新疆ウイグル自治区トルファンで発見されました。唐代のもので1700年前のものとか。今でも新疆ウイグル自治区博物館に行けば世界最古の餃子を見ることができます。なんと今の餃子の形と同じです。1700年もの間、変わらず餃子が包まれ、食べられているかと思うと、餃子の奥深さを感じませんか。
上海、東北、トルファン、いつでもどこでも食べたい中国ご当地餃子があります。
また早く中国ほか、外国に気軽に行ける日が来ますように!

レシピはウイグル族の、サイズ大きめ・香り野菜の餃子であるプレをご紹介します。

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