PERFECT DAYSはパーフェクトな日常すぎる【ネタバレあり】
PERFECT DAYSを観ましたので感想を書きます。
全体的には良かったのですが、こういった瞑想のために観るというか、エンターテイメント性の低いヒューマンドラマ(例:万引き家族、スリービルボード)であるとどうしても映画の性質上は減点法で採点したくなってしまうのが常で……
良かったところをまず。
役所広司の平山の演技。寡黙なトイレ清掃員として良い演技をしていました。
ルーティンの映像。Youtuberのモーニングルーティン・ナイトルーティンと言ってしまうと安っぽく聞こえますが、それのトイレの清掃員Ver(FullHD)で長年やったであろう(という演技ですが…)洗練されている動きに、映像に、すっかり見入ってしまいました。
冒頭、迷子を見つけて、迷子と手をつないで母親を探すシーン。見つけた母親が露骨に嫌そうな顔をしてウェットティッシュで子供の手をふき取るくだり、そのあと子供は笑顔で平山に手を振るシーン。
こういう清濁交えた、全部が全部いいこととも取れないけど平山にとってはPERFECTな日常なんだなと、これは良さそうな映画だなと期待が一気に上がりました。趣味のカメラで木漏れ日を撮っているところ。綺麗な映像。
有名な話かもしれませんが、「木漏れ日」は日本語特有の語彙らしいとのことで、「何気ないけど美しい」ものとして平山の日常のメタファーなんでしょうね。ホームレス役のダンサー田中泯の演技(セリフなし)。無垢な神聖なものを感じました。
ガンの告知をされた友山(三浦友和)とのやり取り。
「影が重なると濃くなるかどうかさえ、ここまで生きてきて知らない」「試してみましょうよ!ほら!濃くなってませんか?」
から、その流れで影鬼で遊びだすのはいいシーンだなぁと思いました。
おっさんの童心のシーンっていいですよね。北野武の「ソナチネ」のトントン相撲みたいなさ。ラスト、運転しながらなんか涙があふれるシーン。
逆に悪かった点を挙げます。
(これホントは良くないんですけどねぇ。良い点だけを挙げれる、良い映画をどう良いのかを評価できるのかが映画評論としてあるべき姿な気がします。とはいえそれは難易度が高く、ちゃんと出来ている映画評論家を淀川長治しか知らない気がする。映画評論ちゃんと読んでないけど。)
役所広司に清潔感がありすぎる。あまり言いすぎると職業差別になりかねないですが、何歳設定かわからない中で、そもそも何でもない60前後のおっさん、トイレ清掃員という役にしては清潔感がありすぎるしカッコよすぎる。役所広司って68歳らしいね。見た目若すぎてすごい。
清掃するトイレがなんか一軍のトイレばっかり。デザイナーの息がかかっているような綺麗なやつ。トイレガチャならUR(ウルトラレア)とかばっかで、N(ノーマル)のトイレを掃除していない。なんか画面からアンモニア臭がしないんだよな。「THE TOKYO TOILET」という東京の公衆トイレを綺麗にしようというプロジェクトの一環らしいけど、それの清掃員にフォーカスあてるのは違うよな…という
毎日ちょい飲み屋みたいなところで一杯ひっかけてから家に帰る。結構金あるな。そういえば自炊のシーンなかった気がするな。何でもないインスタントラーメン作って食べるシーン欲しかったんだけど。
毎日ちょい飲み屋みたいなところにチャリで向かっている。いや、あれ、これ帰りチャリに乗ったら飲酒運転だよな?いやまあけど帰りのシーンないし、チャリを引いて歩いて帰っているのかもしれない。なんかもやもやするな。
と思ったら何日か後のカットで飲んだ後チャリに乗って帰っている!ちゃんと飲酒運転のシーンある!!!
なんか通っている本屋の女性店員に気に入られている。いやないよそんなこと。いやまあ雑談程度だし、ギリあるかな。
なんか通っている一人で切り盛りしている居酒屋のママに気に入られている。いやないよそんなこと!
なんかティーンエイジの姪が家出して平山の家に転がり込んできて数日間寝食と仕事をともにする。いやないよそんなこと!!!
なんか20歳前後の女の子に気に入られてキスされている。いやないよそんなこと!!!!!あまり大人を舐めるな!
というところで、説明文にある「静かに淡々とした日々を生きていた。」にしてはイベントがある日々だなと思いました。平山の日常。PERFECT DAYS すぎる。
以上です。最後に一軍のトイレと共にお別れしましょう。さようなら。
引用元
映画『PERFECT DAYS』見るなら「渋谷のトイレ」を制覇しよう!~クリエイターによる公共トイレ鑑賞のすすめ|さんたつ by 散歩の達人 (san-tatsu.jp)
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