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ついつい変えてしまう!コアメッセージを一度決めたら変えたらいけないワケ

こんにちは! 米田 @ マーケティング変革実行中です。

イベントやセミナー、デジタルマーケティングや紙媒体広告などのマーケティング施策を通して世の中に出していくメッセージやコンテンツですが、ある程度大きなマーケティングチームがいる場合に、施策を新しく実施するたびに新しく作り替えているケースを見ます。しかし、これはやってはいけないことの典型例です。何故なのかを見てみましょう。

メッセージやコンテンツを変えたくなる側の心理

コンテンツを作るマーケティングチームでは、自分たちにある程度時間や資金、リソースの余裕がある場合、いろいろなメッセージやコンテンツを作ったほうが自分たちがより多くの仕事をしているように感じるものです。

イベントやセミナーで話すプレゼンターも複数回登壇する場合、これは前回話したから変えたいとか、話していて飽きてきたから違うネタにしたいとか、同じ人がまた来たら「またか」と言われるから同じネタはいやだとか、自分が気持ちよく話せるようにコンテンツを調整したがります。

これらの気持ちは、私もずっとコンテンツを作成したりプレゼンターとしてやってきているので、よく分かります。ついつい都度メッセージやコンテンツを変えたくなる衝動に駆られてしまいます。

メッセージやコンテンツを頻繁に変えない方がいい理由

しかし、ちょっと立ち止まって状況を客観的に見つめてみてください。これらのことは自分たちの都合だけでやっていないか、メッセージやコンテンツを受け取る側のオーディエンスのことを考えているかどうか、考えてみましょう。そうすると、メッセージやコンテンツを変えているのは、自分たちのKPIの都合だったり自己満足のためで、オーディエンス目線が抜けていることに気づくかもしれません。

マーケティング部門で扱うメッセージやコンテンツは大抵の場合、オーディエンスは1人だけではありません。ある程度大きなマーケティングチームであれば、日本で購買者になる可能性がある数十万人の人々、もしくはもっと広く数百万人、あるいは世界中の数千万人、数億人がオーディンスになる可能性がある製品・サービスを扱っているのではないでしょうか。

1回のセミナーであなたが100人に対して話をしたとしましょう。数回セミナーを実施したとして、あなたは話すのに飽きてきましたが、リーチしているオーディエンスはまだ1,000人に達していません。リーチすべきオーディエンスが20万人いるとしたら、ここでメッセージを変えてしまうとどうなるでしょう。

もちろん、冒頭のアイスブレイク等でその日のトピックやセミナー開催の場所、対象者に応じたトークを入れることはかまいません。ただし、本来伝えるべきコアになるメッセージやコンテンツは変えてはいけません。途中でこれを変えてしまうと、最初に作ったコンテンツは20万人のうち数百人にしか伝わらなくなってしまいます。これは本来伝えるべきオーディエンスのうち0.5%未満の人にしかきちんと伝えられていないことになります。

メッセージやコンテンツを変える前に考えるべきこと

メッセージやコンテンツを変える前に以下のことを考えてみましょう。

● 対象のオーディエンス全体にメッセージが浸透するには時間がかかる
● 何を伝えたいのかがオーディエンス側からハッキリしているか
● コスト効率は良いか

1施策で実際にリーチできるオーディエンスの数もそうですが、オーディエンスはメッセージを受け取ったとしても最初は自分事としてとらえません。先ほどの例で「一度自分の講演を聞いたからまたかと言われるのでは」という懸念に対しては「大丈夫です、その人はきっと覚えていません」と私ならお答えします。一説によると、4~7回違う形でメッセージを受け取って初めて自分事として行動してくれるようになるとも言われています。そうすると、対象オーディエンス全体に複数回のリーチが必要になってきます。マーケティングの様々なチャネルを使って年単位の施策実行が必要になることも間々あります。

頻繁にメッセージを変えてしまうと、オーディエンスへの浸透が進まないうちに次のメッセージが出ていくことになります。すると、オーディエンスは複数の異なるメッセージを受け取ることになり、どちらが本物か混乱することになりかねません。

また、施策毎にコンテンツを変えてメッセージを発していると効果が出ないばかりでなくコンテンツ制作費用もバカになりません。コンテンツ制作は施策毎に実施せずに大きな戦略の元、ひとつのメッセージを複数の施策で使いまわせるようにあらかじめ設計することが必要になります。

印象に残っている人のメッセージは昔から変わっていない

さて、皆様がメッセージで印象に残っているものを思い出してみてください。何が思い浮かぶでしょうか?たとえばテレビCMの一場面が思い浮かんだりするかもしれません。その場合、あなたは割と同じ時間帯に同じチャンネルのテレビを見て、同じCMを繰り返し見ていると思われます。先ほど説明した通り、同じメッセージを繰り返し見ていると、ヒトの頭の中に印象として残りやすくなるからです。

アニメやドラマの決め台詞なども印象に残りやすいものです。ONE PIECEの「海賊王に俺はなる」とか、ちょっと古いところだと水戸黄門の「控えよ控えよ、この印籠が目に入らぬか」みたいなものまで、これも各話でストーリーは違えども同じパターンのセリフが用意されているために印象に残ります。

政治のキャンペーンでもこの手法がよく取られます。アメリカの元大統領ドナルド・トランプ氏の「Make America Great Again」や故安部元首相の「アベノミクス」などが有名です。これらのフレーズは彼らの講演の中で何百回も何千回も繰り返し話されています。その結果、日本中、世界中の何億人もの人々の記憶に残るフレーズとなります。話した本人達はきっと話し飽きていることでしょう😅

ビジネスの世界でも例えばマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は「Do more with less」というフレーズを就任当初2014年から8年以上ずっと言い続けています。基調講演では今でも必ずこのフレーズが繰り返されます。

我々もマーケティングメッセージやコンテンツを作る際には、このような「同じメッセージを繰り返し伝える」ことを忘れてはいけません。特にビジョン系のメッセージであれば数年は変えない方がよいでしょう。これらのメッセージを聞くたびに、私も自分自身のメッセージもこうでなくてはならないと思い返すことにしています。オーディエンスから「またそのメッセージか、もう聞き飽きた」と言われるようになったら、コミュニケーション成功です😆

最後までお読みいただきありがとうございました!それでは、また!

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