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感動話@第2話
自分が看護師4年目の時だった
交通外傷で救急搬送された少年。部活帰りに2tトラックに轢かれ10m程飛ばれた。多発骨折、DAIの診断で意識回復は困難と医師から説明された。集中治療のためICU入室。
説明を受けた両親はひどく落ち込み
少年へのケアと家族看護が開始となった
DAI(diffuse axonal injury)びまん性軸索損傷:脳の神経細胞の一部である軸索が広範囲に損傷した状態。軽度・古典的脳震盪・遷延性昏睡に分類され遷延性昏睡は軽度・中等度・重度に分類。①軽度DAI:6~24時間の昏睡、知的障害②中等度DAI:24時間以上の昏睡、記憶障害・運動障害③重度DAI:脳幹部損傷を伴い数週間の意識障害遷延
多発骨折に対する手術加療を受け
その後、意識レベル回復は無く数日経過
入院後両親からの声掛け、看護師やコメディカルからの刺激は毎日行い好きな音楽(確かPUNKだったかな)や友人の声を録音した激励の声を聴かせたり刺激を与え続けた
意識レベルは朦朧とはしているものの簡単な呼び掛けに反応を示し単語のみではあるが発語するようになった
集中治療は脱し専門病棟へ
数週間経過し元気しているかなと病室訪れたら
少年が眼鏡を掛け母親と教科書を開いて勉強してるではないか
涙が出ました
まぁ全く自分のことなんて覚えてなかったのですが
母『集中治療室で助けてくれた看護師さんよ。感謝しなさい。』
少年『あ、ありがとう。(照)』
それから1ヵ月位経過しICUのインターホンが鳴り出迎えてみると
少年とその母が立ってて
母『今日退院になりました。本当にお世話になりました。』
そして照れ笑いする二足歩行で歩くごく普通の少年が居た
中々、集中治療室看護師は患者家族から感謝されることは少ないがとても嬉しかった
今は20歳位かな?元気しているかな?
この症例から
”反応が無くとも刺激を与え続けることで患者は変化することを学んだ”
「びまん性軸索損傷症例への
継続的チームアプローチを試みた一例 」
集中治療室では意識障害や鎮静投与にて意識を落としてる方は多い
鎮静している意識が無いからといって無言で清拭や聴診、無麻酔で処置したりする者もいる
生活していて人に無言で何かをすることなんてあってはならない
人としての大切さを改めて考えることが出来た
余談・・・
当時の上司から「あの子、意識レベルは上がらないだろうね。無理だと思う。」と言われた。状況はどうであれ、心の鼓動があるのにも関わらず簡単に諦める言葉を言った上司に一瞬で信用の鼓動が止まったことは言うまでもない。
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