「エストニアに行きたい」と思う方への話と「エストニアで生きよう」と考えている話
2020年9月から翌年同月まで、約1年間のエストニア移住体験を終えた私は、帰国後1ヶ月半経った今、ようやくその生活を振り返り、筆をとるに至っています。今思えば、光陰矢の如し、あっという間なエストニア生活でした。歳をとったからなのか、生活が充実していたからなのか、おそらく両方でしょうか。整体に行きたいと思う欲は、日に日に高まる一方です。
執筆時現在、日本における外出自粛も、一部を除くヨーロッパ各国への入国も緩和されはじめています。そのため、「エストニアに行きたい」と思う方が、ようやく実際に行ける状況になりつつあります。オフシーズンではあるものの、クリスマスシーズンが近いこともありますしね。ただ、Full Vactinationが入国要件になっている国が多々あり、エストニアもその1カ国です。エストニアにいきたいのであれば、個々の信条はさておいて、ワクチン接種しておくのが好ましいことは間違いありません。イベントごとや大規模な集会においては、ワクチン接種の証明が必要なこともありますし、状況によっては、カフェやジムに行くのにもワクチンの接種証明が求められることもありますので。
そこで今回は、私自身の生活を総括しつつ、自分語りしつつ、「エストニアに行きたい」と思う方の一助になるような記録を残しておきます。なお、あくまでも執筆時現在の情報なので、最新の状況は随時ググってくださいまし。
ID Cardは取得できるならしておくべき!
これは本質情報なのですが、エストニアのID Cardは、取得できるのであれば、取得するべきです。行政手続やAppsの利用において、非常に便利です。EU圏内で仕様できるワクチンパスポートをオンラインで使用する場合、エストニア居住者はIDが必要になります
一般的には、IDの取得にはResidence Permit(滞在許可)が必要です。Residence Permitの取得要項は入国管理局に記載されているので、最新の情報はこちらを確認しておくと良いでしょう。TemporaryとLong-termなど、期間の種別があり、要項もそれぞれ異なります。
このAppsは入れておくとエストニア生活が捗るぞ!
次は、エストニア生活で役立ったアプリケーションを紹介します。モノによっては販売されているリージョンが制限されていて、エストニアのリージョンじゃないと手に入れられないこともありますが...その場合は、リージョンを切り替えたり、そのリージョンのアカウントを作るとかする必要があります。筆者がiOSユーザーなので、Androidユーザーはご自身で探してみてください!
Bolt - スクーターも自転車もタクシーもこのアプリ1つで!
タリンの街の至るところにある緑色の電動スクーターや電動自転車は、このAppを使うことで、利用することができます。遠出にはタクシー、近場ではスクーター。タリンにいる限り、大抵の移動はこのAppをうまく使うだけで済みます。ちなみに冬場は路面凍結や積雪で、使えないことが多いです。タリンの冬の道はよく滑ります。昨冬だけでも、5-6回くらいは滑って転んだ気がします。10分くらいなら100円前後でスクーターには乗れるし、タクシーで1000円かかった記憶もありません。どっちも安いです。ちなみに、IDがある人は市内バスは無料でございます。
Bolt Food - Uber Eatsみたいなもんです。Sushiが多い。
外出が不可であったり、面倒だったり、少し遠くのお店のディナーをいただきたい場合、デリバリーの選択肢は大いにありです。冬場は気温と雪と外の明るさが相成って、とても外に出るのが億劫になる日もあるので、私も多々お世話になりました。このAppは語るまでもなくほぼUber Eats。結構値引きしてくれていますが、そもそもエストニアの外食代が日本比で高いので、一食1000円はするものと思っておくといいです。やたらSushiが多かったので、いろいろなお店のSushiを食べ比べもしてみました。個人的に、Sushiは PaPa Sushi がおすすめです。
Super - 電話もSMSもデータ通信も格安プリペイドで!
海外生活で欠かすことのできない通信インフラ。エストニアのタリンでは基本的にどこでもWi-fiが使えるのですが、それでもやはりSIMとか電話番号は欲しいですよね。PRISMAやKIOSKで簡単に手に入れられるSuperというキャリアのプリペイドカードは、プリペイドサービスでありながら電話番号までもらえます。私の場合、月額の料金は2000円もしなかった気がします。安いです!使い方とかは以下の記事が丁寧に説明してくれています。
Gym! Eesti - ジムの入り口はこのアプリで開けましょう!
タリンのジムといえばGym!でしょう。日本にも出店している Anytime Fitnessと同じように、24/7空いてて、筋トレ器具がたくさん並んでいる無人ジムです。ロケーションもViru門近くやタリン最大級のスーパーであるÜlemisteにも出店しており、とても通いやすいです。そして、なんと言っても、年間165€という低価格っぷりは日本のジムにはない嬉しさです。このジムの入り口はQRコードを読み取ることで開くのですが、そのQRコードを表示するのがこのアプリ。非常に便利です。
RIA DigiDoc - Estonian Information System Authorityにもある電子署名アプリ
e-govermentの分野で非常に先進的なエストニアでは、賃貸契約などで、電子署名を行う機会が少なからずあるでしょう。その時に使うとサクッと電子署名ができるのがこのRIA DigiDocです。使用頻度は高くないですが、入れておくと良いでしょう。PC・タブレット・スマートフォンで使えるので、入れておいてID連携をしておくと良いでしょう。
With RIA DigiDoc, you can quickly, easily and conveniently:
- sign documents,
- verify the validity of digital signatures,
- encrypt and decrypt documents,
- open, save and share files via a mobile device,
- check the information and validity of ID-card certificates,
- change PIN and PUK codes and so on.
Smart-ID - これがあればIDカード要らず!? スマフォに入れておくと便利!
RIA DigiDocもそうですが、例えばPCR検査をSynlabで受ける際の予約時など、エストニアでは、認証の際にIDを求められることが結構あります。その度に、いちいちIDカードを取り出してカードリーダーを繋いでカードを読み込む...なんて面倒なことは不要です。そう、このSmart-IDを使えばね。
Smart-IDは、iDによる認証をスマートフォンでできるようにするためのAppです。しかも、上述の通り、ID取得は難しいですのですが、実はこのSmart-IDは、e-ResidencyのI Dでも使用することができます。なので、Residence Permitを持っていなくても、先述のサービスをSmart-IDを用いて利用することができるのです。これは便利!詳細な登録方法などは以下のサイトが参考になると思います。
TESTI - PCR検索の結果が見れるPWA
これはSynlabで受けたPCR検査の結果を確認し、QRコードを表示できるPWAです。PWAというのはアプリケーションのように使えるWebサイトの仕組のことですね。昨シーズンのロックダウン中の国外などに遠出する際には、ワクチンパスポートに加えて陰性証明が必要な場合もあるので、このAppが必要になりました。今後必要になるかは分かりかねますが、このAppの存在は覚えておいて損は無いと思います。
pilet.ee - 電車に乗るならこのApp!
オンラインで電車のチケットを購入できるAppです!あまり電車に乗ることはないんですが、電車に乗るときのために覚えておいて良いかと。
Wise - 国際送金サービスはMade in Estoniaのメジャーサービスのこれ!
いろいろ紹介してきましたが、日本に帰ってからも使っているエストニア産の便利なWebサービスの代表格はWiseで間違い無いでしょう。これは本当に便利でUXも非常に優れています。毎月の家賃やスタートアップコミュニティのコミュニティの会費の支払に使ったりしていました。賃貸契約の最初の支払も、日本からこれを使ってやりました!デビット払いだと若干高くつくのが玉に瑕ですね。Wiseはオンライン上の口座も作れちゃうので、ビジネス口座からプライベートの外貨の口座まで作ることができます。ちなみに以下は招待リンクです。これ経由で登録してくれると、私がとても嬉しいです!
あとは、コミュニケーションのためにはWhatsAppだったり、マッチングアプリなTinderとかMamba、VPNならNetflixVPNとOpenVPNとか。外食チェーンならHesburgerのAppは入れておいてもいいかもしれません。Boltの競合となるWoltもエストニアリージョンに限定されますが、Boltと同じようなサービス展開をしています。Appではないのですが、SmartDNSというWebサービスは、万が一の時のために名前くらいは覚えておいても良いとおもいます。Google MapとGoogle翻訳もお忘れなく。
タリン生活、不便がない...訳じゃない!
コンパクトシティたるタリンは、旧市街近辺に役所も大型スーパーもジムもあり、Wi-fiがどこにでも通っており、北欧にしては物価や生活費も安く、治安も比較的良い街なので、正直「生きていくには十分」な街となっています。ただ、不便がないわけではなく、日本生活の便利さを痛感しました。
外食が高い(...その割に日本の方が美味しい)
10000回くらい言っていますが、これはガチです。現地の人にこれをいうと怒られますが、ガチです。安くて美味しい飯にありつけるジャパン、やっぱり素晴らしいなと思います。横浜家系とか牛丼チェーン、どこかしら来てくれないですかねぇ本当...
24時間営業のコンビニはそこらじゅうにあるものではない!
日本のコンビニチェーンの偉大さを、しみじみ痛感しました。セブンイレブンのネットプリント、本当便利なんですけど、エストニアで同じことができるとは思ってはいけません。
電子機器は高い!!!すごく高い!!!あと種類少ない!!!
USBケーブルとか本当に高いです。日本で何本買えるんだレベルの高さ。必要な家電やケーブルは日本で買い揃えて持っていくのがいいです。が、タコ足配線とか炊飯器とか、日本のものを持っていって使おうとすると、電圧が異なるせいでうまく使えません。日本から持っていく際には、海外対応のものにしておきましょう。アメリカ対応じゃなくてヨーロッパに対応しているものを。
英語は基本通じる!通じないこともある!
役所のタッチパネルがエストニア語とロシア語しかない時は、どうしたもんかと思いました。
とはいえ、住めば都で、慣れればどうってことないことばかりです。ただこれは、私が「エストニアから日本の仕事をフルリモートで受けている」という些かマイナーな状況にあるからかとも思います。
日本にいる間にやっておくべきこと
これは自戒も込めて...
英語とエストニア語の勉強
話す経験を獲得するためには、現地で実際に会話することに勝るものはありません。ただ、勉強自体はいつでもどこでもできるので、国内にいるうちに「語彙を増やす」のは大いに有効だと感じました。現地で会話してて思ったのは、「こちらが言いたいことはあらかた言えているつもりだが、スムースに単語が出てこない」「大意は分かるが、単語が分からない」です。単語レベルの学習なら、十分に日本でもできます。できるはず...やります......
あ、因みにこれは英語の話です。エストニア語は全然分かりません。
ただ、エストニア語もオンラインで勉強できるので、これも国内にいるうちに進めたいなと思っています。思うだけじゃなくてやります...
VisaやIDや移住そのものの準備
やるべきこと...というより、短期滞在以外の場合、やらざるを得ないことです。私も次はワーキングホリデービザは使えないので、なにかしらのビザやResidence Permitを取得するための準備はしないといけません。私自身、今現在、Startup VisaとResidence Permit を取得するための諸々の準備中です。賃貸契約や保険の契約も検討しておくと良いです。前者について、私自身は、前回お世話になったブローカーさんにまた頼るつもりです。
お金を稼ぐ
ビザもそうですが、賃貸契約を済ませたり、そのための生活費も稼がないといけないです。物価は日本より高いものが多いので、数ヶ月分の生活費を、日本での生活費よりも多めに貯蓄しておくと良いかもしれません。
それでも、私は「エストニアで生きよう」と思えた
日本の生活は、非常に便利です!日本にいるだけでは非常に見えにくい便利さを、我々は無意識に享受しています。あと飯が圧倒的に美味いです。四季もあり、経済も発展し、治安も比較的良い国です。そして飯が美味いです。あと母語も通じて飯が美味いですね。普通に考えたら、日本人が日本以外に住むのって、相当リスキーな行為です。日本より生活水準が上がることというのは、全体から見て相当に稀なケースなはずです。外国の方が日本に来るのとは、次元が違います。それくらいに、日本での生活っていいものだと思います。移住目的なら、地方に行けばいいだけの話なんですよ。基本的には。
それでも、私は「エストニアで生きよう」と思えた わけです。
今所属している企業HIKKYや、エンジニアコミュニティのBarloonにも言えることですが、エストニアにこの1年間住んでみて、この国に将来性を感じたのが最大の理由です。スタートアップや社会インフラ・デジタルインフラへの投資が着実になされているのが、生活してみて実感できるくらいに肌で感じとれました。もちろん、これまで話していた地理的メリットなんかも再確認できたのですが、現地に移住して一番感じたのは、この将来性です。
とは言え、手放しにエストニアを賞賛するわけではありません。小国ですし、決して賃金は高くないですし、第二の都市と言われるTartuですら、田舎感が否めなません。隣国の情勢には気を配り続けないといけず、平和であり続けるという確証はありません。
今回の旅は、IDもなければ隣国への渡航もコロナ禍で難しい状況だったため、エストニアの魅力を100%満喫できたわけではないのですが、それでも「この国でなら生きていけるな」と思うには十分の経験を得ることができました。あと、暑がりな私には気候がめっちゃ快適です。セントラルヒーティングもサイコーでした!虫も少ないです!!!いいね!!!!!!
まあ、自分が気分屋なことは、自分が一番承知しています。今はこう思っていても、来年の私がどうしているかは私にもまだ分かりません。当面は、HIKKYで働きつつ、OmusBridge OÜでの社長業にも勤しみ、成果を残してお金も貯めて、婚活しつつ移住の準備でもしようかと思います。
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元ITコンサルタントのフリーランスエンジニアによる雑記を書いています。いただきましたサポートは北欧移住および某計画の資金とさせていただきます。何卒よろしくお願いします。