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小説のようなものなどです。短編とかで完結したら別のやつにまとめたりします。
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記事一覧

お昼休み

朝ご飯を食べてから仕事に向かって、実際に仕事をしてからお昼休憩に入るまでの間って短すぎる…

咲森一紀
1年前
8

灯す

答え合わせだ、と思った。全てがその瞳にうつっていた。真っ直ぐなその眼が、私の揺らいだ気持…

咲森一紀
3年前
4

くつひも

それが昼であれ夜であれ、彼女の気まぐれに付き合って、僕らはよく散歩をする。スーパーに向か…

咲森一紀
4年前
6

リアルな

仮想現実で、僕らは僕ら自身のアバターを通して会話が出来て、先端の技術で触れた感覚や体温ま…

咲森一紀
4年前
3

この夜を越えられやしない

腰から覗いた紺や黒を見ないフリ、肩から見えたレースのことも知らないフリをする。手を繋ぐこ…

咲森一紀
4年前
6

平均的な

全部の、平均値みたいな人間になりたかった。 優れた才能があるわけじゃない。自分のことしか…

咲森一紀
4年前
8

窓に雨音

私が私にしかなれないことがどうしようもなく悲しいのです。固有であることが悲しいのです。どこまでいっても誰かとひとつになれないことが悲しいのです。 物事に終わりがあるように、命に終わりがあるように、あなたとわたしにも必ず終わりが訪れる。 はじまったときからそれが約束されてしまうことが、悲しいのです。 そう言うと微笑むあなたの口角がまた突き刺すから、わたしは、泣きたいままで笑みを返すのです。 いたたまれないねとふたり、人生の片隅で手を取り合ったこと、あなた、忘れないでくださいね

乞い煩い

あれから何年が経っただろう。滴る雨粒をひとつひとつ数えられないように、吹き込む風に単位を…

咲森一紀
4年前
7

葬儀

別れに際し気持ちを整理する過程は誰にだって必要なものだ。その時間の長さ、その過程は人によ…

咲森一紀
4年前
9

乗り換え、人生 2

放課後の川沿いにて。 「うわっ」 バチン、とかパチン、みたいな、意思に反する音と一緒に弦が…

咲森一紀
4年前
3

乗り換え、人生 1

陽のあたる川沿いにて 東京のことは分からない。べいん、と低い音が指先で鳴った。ハチ公もネ…

咲森一紀
4年前
4

ベテルギウスと常識について

ベテルギウスが消えるらしい。正確には、もう消えかかっているらしい。それが話題になるまで、…

咲森一紀
4年前
3

たとえ

「例えば、明日から「楽しい」という気持ちを、「楽しい」という言葉以外で表現できなくなった…

咲森一紀
4年前
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