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映画録②

みなさんおはこんばんちわ、さおりさんです。
お元気でいらっしゃいますか。
最近毎日暑いやら涼しいやら、ですね。
溜まった下書きの量がシャレにならなくなってきたので、最低でも昨年2023年に観た映画と感想を簡単にまとめることにしました。
最初からそうすればよかったのでは


ジャン・ルノワール監督『どん底』(1936)

去年の5月末くらいに、これまた友人のR氏と映画『どん底』を観に行きました。
『どん底』といえば!
マキシム・ゴーリキーの戯曲で、演劇やってる人がよく「『どん底』って戯曲知ってるゥ?ゴーリキーって知ってるゥ?」とマウントを取られやすいやつですね!
(※感じ方は個人差があります)
私が初めて大学の授業で概要を聞いたときはとにかく救いようもない話、というイメージですが、この映画はハピエンコメディチックにまとめてあります。なので映画のテンションで戯曲版を見ると大変なことになります・・・
が、フランスを代表する、またフランスにおける映像写真芸術のある種先駆けとなったルノワール監督とあってオシャレ。あのゴーリキーの結局何も残らない話を下敷きに、階級の違う男たちの友情の話、にもっていっている。でも切ないかなどん底にいる人はどん底で、実はある種のループではあるところがミソかもしれません。


松井大悟監督『劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro』(2023)

去年の5月末くらいに、先述のR氏と『どん底』を観た数時間後に観に行きました。なのでその日のお出かけのテーマは「どん底から優しくなる」でした。
2022年1月にWOWOWで放送・配信された私の大好きなバンド「スピッツ」のオリジナルライブ番組に、メイキング映像とアフタートークを追加した劇場版です。
北海道・帯広は大正11年に建築された国指定重要文化財・旧双葉幼稚園園舎で行ったオリジナルライブ。それを劇場版で観てサウンドを体感できる喜びと言ったら!
スタートの曲はアルバム『とげまる』より「つぐみ」。素晴らしすぎて涙・・・セトリも優しいスピッツをテーマに選曲、普段ライブでもウン年もやってない!って曲も入ってます。
最近(?)劇場版の円盤とCD音源も発売されたそうな。
聴ける方・観れる方はぜひどうぞ。癒されます。優しくなりたいときに大事かもしれません。


ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』(1973)

去年の9月くらいに、またR氏と観に行きました。
1940年、スペイン内戦終結直後のスペインの村で、アナとその姉イザベルはアメリカ映画『フランケンシュタイン』を観てすっかりハマってしまう。特にアナのほうは、姉の「フランケンシュタインは精霊で、まだ生きている」という言葉を信じ、現実に「フランケンシュタイン」の姿を求めるようになる。そんなところでアナは村の廃墟で脱走兵と交流し、のちにその脱走兵が殺されることによって交流は断絶する。またそれにより彼女は現実世界からも解離しようとする・・・。
この映画は、当時の検閲・弾圧が続くスペイン内政への批判が暗喩されているというが、それはアナと脱走兵との交流において映画『フランケンシュタイン』のシーンの追体験をすることによって完成する。
映画『フランケンシュタイン』では怪物と交流した少女は溺死してしまうが、アナは「精霊に呼ばれ答える」という姉の言霊(?)のもと、湖で精神が現実世界から離れてしまう。
幼少期の少女の不安定さがスペインの内政を不安定さを表している、だけではあまりに簡単です。不安定さゆえの傷ついた男との、純粋な追体験がある種美しいと言えます。
キーワードは「断絶」からの復活・・・だと思うのですがいかがでしょうか。うまく言えないです(笑)
あとかなりゆっくりな映画です、ちょいちょい挟んでくる森や湖の映像描写が物語の不安と、眠気を誘います・・・


マイケル・ムーア監督『Bowling For Columbine』(2002)

この映画は去年の秋ごろに大学の教授と一緒に観ました。
1999年のコロンバイン高校銃乱射事件を取材したドキュメンタリー映画です。
街の人や遺族への取材、同級生への取材、ライフル協会への取材等々をアポなしで突撃し、当時の事件の防犯カメラの映像と警察への通報電話の録音を交え、ライフル協会への批判、警察の対応への批判、スクールカーストへの言及を含め、合衆国の銃所持そのもののずさんさと当時のメディアの偏向報道を詳らかにする、というのが主な内容です。
中々ショッキングな内容かつ演出ではありますが、なぜアメリカが世界一の大国で銃社会が成り立ったのか、アメリカならでは民族問題に言及しある程度の解釈をしている映画です。
これはアメリカに限った話ではいつかなくなります。いつになるかはわからないけれど。そうならないために我々はどういう社会をつくるべきなのか。
この映画でアメリカ批判をするのはまた別問題だと思います、合衆国なくして地球は成り立ちません。絶対的なパワーバランスに存在している。
ただ、「民間人が銃を所持する」「偏見を持つ」「他民族を受け入れる」という切り口で、社会を考える機会にするための映画だと私は思います。


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