ニワトリは一度だけ飛べる
みなさんおはこんばんちは。
いかがお過ごしでしょうか。
今回は読書記録です。
先日、先日と言っても毎度のことながら2月も半ばの頃なのですが、バイトの休憩時間に本が読みたくなって、すぐ近くの古本市場さんでサクッと買うことにしたのです。
したのですがビビッとくる1冊なかなか決まらず…
80円コーナー、文芸書コーナーをなんと40分も徘徊する羽目になりました。
そうして選ばれたのがこちら!
重松清さんの『ニワトリは一度だけ飛べる』
2回目の重松清さん。一度目は『舞姫通信』というすごい暗い話を読んだのが思い出です。知り合いのお姉さんに「なんでそれ選んだの・・・?初めての重松清なんだよね・・・?」とドン引きされるくらいには暗い本です。
とまあ私にとっては仄暗いイメージのある重松清さんですが、今回はタイトルや帯煽りの雰囲気もあり、明るいイメージです。
というあらすじで、左遷されたおじさんたちがコミカルに頑張る話だと思いきや、社会性のメッセージもがっつりはらんでいる作品です。
謎の経済コンサルタント・マネージャーに会社をめちゃくちゃにされる、とか。
連載当時話題だった「産地偽装」「内部告発」にフォーカスを当てていたり。
内部圧力やパワハラの描写もあったり。
またサラリーマンの独り身や家庭事情にも切り込んでいきます。特にサラリーマン親世代の認識と子世代の認識のズレを、家庭の事情や反応も織り交ぜながら描いているのも面白いです。そしてこれは、物語のキーにもある意味なってくるのです。
総じてこれは頑張る話、ではなく実は戦う話、であることに読んでいるうち気づかされます。
またタイトルも面白いですよね。
作中では急に「ニワトリは一度だけ飛べる」という件名で主人公にメールが送られてきます。
最初は件名に係るエピソードと、「一度でも発揮できる勇気」が大事なんだという内容が送られてきます。
次に、同じ件名で左遷部署である「イノベーション・ルーム」に送られてきた主人公含めた3人を、「オズの魔法使い」に登場するライオン・カカシ・ブリキの木こりになぞらえ、これから起こるであろうことを抽象的に書いたものが送られてきます。
メールが送られてきている主人公は「臆病なライオン」です。
そしてメールにはこう続きます。
どちらも「勇気」をもてばなにかしらの能力を発揮できる、なにかを達成できる、という類の話なのです。
主人公たちに「勇気」を持たせ、「悪い魔法使い」に立ち向かう。
そうして主人公たちに訪れる安寧のようなものは、どんなものなのでしょうか。
もしご興味があればぜひ読んで見てください。
さおり。
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