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「生吃大蒜(生ニンニク丸かじり)」について

「老板,有生蒜没?」

常にこの一句を叫びたい衝動に駆られているのは日本にいる日本人でこの私だけだろうか。いや、もう10人ぐらいいて欲しいと思っている。

中国から帰り、東京で隠遁生活を過ごしている間、私の胃袋に革命が起きている。その1つが、ニンニクの生食である。もはや、一日一欠片が欠かせないのだ。(これでも適量)

革命の発端 世紀の文化的衝撃

きっかけは、中国の動画投稿プラットフォーム「哔哩哔哩(bilibili)」でよくうまい陕菜を鱈腹食ういわゆる“美食博主”だ。陕西省南部安康市の出身だったろうか。

最初は目を疑った。例外はあれど、基本的にどんな飯も油まみれで肉が欠かせない本場の中華を食べるときに、生のニンニクをそのまま齧るのである。外食中にも、店の店員にニンニクの有無をまず咄嗟に尋ねる。最初は、ふざけているのかと思った。少なくとも、平均的な日本人は、ニンニク農家を営んでいない限り、馴染みがない食習慣だと思う。

しかし、よく考えたら、私は過去にこの軽い文化的衝撃を味わっていたことを思い出した。それは、2019年1月23日の午後、中国陕西省西安回民街にて、私が愛する親友(TMD可爱小胖子)と一緒に羊肉泡馍を食べた時だった。そう、メインの羊肉泡馍とともに、糖醋蒜(酢漬けのニンニク)が出てきたのである。

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中国での約1年半にわたる留学生活を終え、卒論を提出。大学を卒業すると同時に、運悪く中国を起点として(?)世界中に新型肺炎が蔓延した。そのため、中国にはしばらく行けない状態が続いている。

ということで、東京に移動したのち、うまい飯が食えない欲求不満を満足させるために、自分で中華料理のR&Dに励み出した。最初のうちは、ほぼどの中華料理の逸品にも欠かせない葱姜蒜(葱、生姜、ニンニク)の絶対的三位一体+α 豆瓣酱 + 辣椒(唐辛子)+ 香油(ごま油)を一時も切らさないように下ごしらえし、毎日の料理に入れて食していた。美味しいのだ。胃袋が踊り狂い出すぐらい。しかし、何か物足りなかった。

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革命の勃発 ニンニクとの対話

そこで、あるとき、私は毎日見ているあの動画の陕南小姐姐(陕西南方の姉さん)のことを思い出した。そして、何か好奇心から買ってあった青森産の1つ200円する上等な生ニンニクを剥き、恐る恐る番茄炒鸡蛋面をメインに齧ってみた。そこで、革命が起きた。

生ニンニクってこんなにうまいのか、と。

「吃肉不吃蒜,味道减一半」(肉食べるときにニンニク食わないと、味が半分に落ちる)とは、まさにこのことだったのか、と。

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それ以来、私は生ニンニクを齧ることが、毎日の楽しみになっている。

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挙げ句の果て、間違って買いすぎた山东省の乾燥ニンニクを山西老陈醋(中国の黒酢)漬けにし、永久保存版も万が一のために用意し始めた。実際、酢漬けにした方が健康に良く、味の癖が増す。そして、何より、こうやって黒酢に浮かんでいるニンニクたちが可愛らしい。

ニンニクと育んできた愛 一度冷静になってみる

しかし、最近自分が病気みたいに生ニンニクを欲するようになってきて、少し心配になった。なので、基本半信半疑で気晴らしに調べてみた。

研究发现,腊八蒜两种色素的提取物都显示出比普通大蒜提取物高的抗氧化活性。这表明大蒜经过“腊八蒜”的加工,不仅优化了风味,而且功能活性可能也得到优化。畜牧学的研究发现,在饲料里加入糖蒜液,能让兔子更爱吃食,长得更快;让鸡更爱下蛋;让猪不容易发生消化不良,抵抗力更强。

→どうやらウサギも、ニンニクエキスによって成長が促進したらしい。鶏も卵を旺盛に産むようになったらしい。そして豚も、免疫の抵抗力がUPしたらしい。

小弟我是云南人,前几天,和朋友去了一个面馆,第一次看见生蒜直接摆在桌子上,当时我以为是店家剥蒜忘了收拾桌子。也没在意,继续低头吃面,抬头看见我朋友一手吃面一手拿着生蒜啃,手法相当娴熟老练,我天,当时我就吓尿了…朋友似乎看破了我,顺手剥了一个蒜递过来,“给,是男人就尝尝,让你知道自己的浅薄!”带着疑惑,我把蒜接了过来,学着他的样子一口面一口蒜…“我的妈!”从此打开了新世界的大门!刚才吃馒头,弄了点老干妈,又顺手剥了两个蒜......

→生ニンニク齧りは、中国でも北方(とりわけ中原地区、陕西・河南など)の人々の食習慣で、南方の人は食べません。以前も、上海でインターンをしていた会社の上海人上司に美味しくないからやめなさいって言われた。

全国大蒜看山东,山东大蒜必须要看山东的两个地方,一个是有着“孔孟之乡,礼仪之邦”之称的济宁的金乡,一个是“兰陵美酒郁金香,玉碗盛来琥珀光”之美誉的临沂苍山县,也就是现在的兰陵县。在山东16地市137个区县里金乡和兰陵都是大蒜的代名词。作为全国最大的大蒜主产区,金乡县和兰陵县都通过了官方“大蒜之乡”的认证。那么谁才是中国“大蒜界”的“扛把子”这件事上,两个地区谁也不服谁。

→山東省には、2つの大蒜之乡(ニンニクの故郷)がある。1つは济宁市金乡、もう1つは临沂市兰陵。実は、留学中、どの市内にも行ったことがある。超田舎だった。この偶然は、私とニンニクとの赤裸々な長い付き合いが運命であることを物語っているのか。

永遠に続く食習慣となる可能性について

最近、口がニンニク臭いとよく言われるようになった。ニンニクのせいだ。だから、ちょっとだけニンニクが憎たらしい。

でも、多分止められないと思う。気付いたら、自分で作った刺激的に赤い料理を頬張る傍ら、皮を剥いて、ポリポリあれを齧っている自分がいる。

これ以降、私は生ニンニクを齧ることが、毎日の楽しみになるだろう。

P.S. 真偽はともあれ、やはり適量摂取は体に良い、らしい。

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