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住みたい場所と住める場所

8月は夏休みシーズンということもあって、毎週末お客さんが来てくれている。まだ始めたばかりの民泊を利用してくれるとは、とてもありがたいことだと思う。

お客さんによっては結構緊張してしまうことがあって「もっとたくさん話したいけどビビッて話せない……!」のようなことがしばしば起きる。お客さんとしてはゆっくり泊まりに来ているワケだし、ずけずけと会話し出すのも気が引ける。

こんな感じでも、朗らかにお客さんの方から声をかけてくれることがわりとある。

よく聞かれる質問で多いのは「なんで○○県なんですか?」というものだ。

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なんで○○県か?の答えは、端的に言って「そんなに計画していたわけではない」というところに落ち着く。

移住って、絶対ここに住みたい!と張り切ってする人もいる一方で「流れに身を任せていたらこうなったタイプ」の人も一定数いるのではないか、と思う。自分はまさにこれ。なんか知らんけど○○県にいた、みたいな。

もう少し正確に言うと、夫の意向がそうだったからだ。今住んでいる県は夫の地元だ。夫は地元愛が強くて、結婚当初から「この県から出る予定はない」といった感じだった。その証拠に「結婚したらどこに住もうか?」といった議論がなされた記憶がない。いつの間にか、○○駅あたりで物件探してみよう、と導かれていた。

今考えると、もっと気に入っていた県は他に沢山あるし、その旨の意思表示をしても良かったのかもしれない。でもしなかった。自分にとっては夫と結婚することの方が重要で、住みたい場所を優先するほどデキタ人間ではなかった。

結果的に言うと、いまの環境で満足している。

住めば都とはこのことか、と思う。今住んでいる県は、実は住み始めるまで全然イメージがなくて、観光もしたことがなかった。食べ物も何が美味しいのか分からなかった。言ってしまえば白紙の状態だった。それでも結果オーライで、理想の生活を営んでいる。

移住、とても軽い気持ちで踏み込んだ感じがある。

こんな感じに行き当たりばったりで移住をしているから「絶対○○県に住むんだ!」と意気込んでいる人を見るとすごいなあ、デキタ人だなあと感心する。知人に一人そういう人がいて、見事移住先で結婚相手を見つけて家族円満に過ごしている。こういうパターンもある。

移住=意志が強い、みたいな図式があるとしたら、自分はそれに当てはまっていないなあ。

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「なんで○○県なんですか?」と聞くお客さんは、もっとキラキラした答えを想像しているのだろう。でも私が用意できる答えはあまりにもフツウで、のっぺりしている。

住みたい場所も、結婚したい人も、やりたい仕事も、全部いっぺんに叶うことは少ないのではないかな。すくなくとも自分はそういう準備万端・用意周到なデキタ人間ではないのだ。

不器用なりに今ある環境で生きていこうかね。


そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。