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おばけ胡瓜

連日驚きが続いている。というのも、庭で育てているキュウリが毎日ものすごい勢いで大きくなっているから。

先日、数日間お出かけしていた期間があって、帰宅するととんでもなく大きくなりすぎたキュウリがお出迎えしてくれた。

「早く収穫してくれないからこんなに成長しちゃったじゃない」

キュウリからそんな声が聞こえてくる。一般的な大きさの3倍くらいに太くなったキュウリはもはや見た目が沖縄名物のゴーヤだ。

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今年は古民家に住み始めて迎えるはじめての夏。

うちでは何種類かの夏野菜を育てている。土地も自分たちで耕したから、正直どれくらい野菜が育つのか未知だった。けれどもそんな心配とは裏腹に、上手に実ってくれている。

なかでもキュウリの成長ぶりには驚いてしまう。8月になってから毎日収穫しているはずなのに、翌日にはまた収穫できる大きさになっている。

「一体いつそんなに大きくなっているのだね?」

不思議に思いながらカサついたキュウリの葉をわさわさとかき分ける。

これだけキュウリがたくさん収穫できると今度は「食べる工夫」もしなくてはいけない。いま我が家の冷蔵庫はキュウリ、ナス、ピーマンであふれている。どれも家で採れたものだ。

最初は収穫が嬉しくてほくほくしていたけれど、次第に意識がなんとかしなくちゃへ変わってきた。せっかく採れたものも美味しく調理してあげないともったいない。でも調理すると言ってもせいぜいその日か翌日分くらいのおかずにしかならない。

そこで漬物の登場だ。

漬物なら塩分多めで少しは長期保存ができる。漬物のなかでもぬか漬けがすごく好きで、かれこれ10年くらい仕込み続けている。ぬか漬けは正直者で、お世話しないとすぐ拗ねる。拗ねると上手に発酵せず、野菜が美味しく漬からない。

「これだけキュウリが採れてしまうのだから、ぬか漬けを拡大しよう」

この考えに至った。今日さっそく新しい床を仕込んだから、これからキュウリが少しは消費されて助かりそう。

ところで大きくなりすぎたキュウリを「おばけ胡瓜」と呼んだりする。可愛いネーミングだなあと思っていたけど、現物を毎日のように目の当たりにすると本当におばけか魔法に思えてくる。

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野菜がたくさん実ることは幸せだ。だけれどもどうやって食べるか、料理するか、保存するか、すごく悩むことでもある。

特にキュウリはレパートリーが少ない。

どうしようかねえ、と夫に相談すると夫のアレンジレシピを複数作ってくれた。ごま油と昆布を使ったキュウリのたたき、というレシピが自分にはない発想で美味しかった。


そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。