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着れなかったワンピース

気温が低くなってきて、着るものも厚手の服が増えてきた。

もうそろそろ衣替えかな、そう思って今日簡単に衣替えを行った。衣替えは夏前と冬前の年二回行う。大体どこのご家庭もそんな感じだと思う。

季節ごとに主で使う服は、寝室の大きな木製箪笥にしまう。時期によって使わない服は、押し入れのなかの大きなタッパーみたいな入れ物に保管する。これを出し入れして「衣替え」としている。

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洋服たちを出し入れしていて、今年の夏に全く着なかった服が多いことに気が付いた。

「そういえば今年、この可愛いワンピース着なかったなあ」

理由は、湖畔へ引越してきてライフスタイルがガラッと変化し、ワンピースを着られる状況ではなくなってしまったから。

今年は古民家で過ごした初めての夏だった。庭仕事や畑仕事が多くて、そんな作業のなか半袖を着ていたら虫たちに襲われてひとたまりもない。草で腕が赤くかぶれることもある。ましてや生足を出して作業にあたるわけにもいかない。

そういうわけで、可愛い半袖のワンピースを着ることがあまりなかった。いつも薄手の長袖シャツと長ズボンと帽子、といったスタイル。

衣替えをする前から「最近ワンピース着れてないな」とうすうす感じてはいたけれど、本当に何着も着ていないワンピースがあって、正直少し寂しい気持ちになった。変なこだわりかもしれないけれど、一年の中で夏にするファッションが一番好きだった。

一枚のワンピースを着れば、足元からスーッと風が入ってきてとても気持ちがいい。多少華やかな色合いのデザインを選んでも違和感がない季節。ふわっと広がるスカートの裾。麦わら帽子と相性がいい。そんな夏のファッションが好きだった。

それなのに、今年は全然可愛く過ごせなかった。

こんなに自分に乙女心があるとは、意外な発見だった。これまで服装についてそこまで強いこだわりがあるとは思っていなかったから。無意識のうちに可愛い服を選んで、着て、心は嬉しかったのだということが今さら分かった。

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過去当たり前に行っていたことが急に出来なくなると、当時は幸せであったのだ、ということがありありと分かる。

ワンピースを着れなくなった程度で「幸せがなくなりました」とは言わないけれど、多少の寂しさがあるのは事実。できる服装、できない服装で心に変化が生まれることもあるみたい。

これからどうやってこの寂しさを埋めていこうか迷っている。もう人生で可愛くてお洒落な服装ができないのだろうか。それはそれでも構わないけれど、できるなら今の生活を続けながら服装も満足のいくように工夫して、心豊かに暮らしていきたい。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。