ハーブが好きな理由
湖畔暮らしを始めて、あっという間に8か月目を迎えている。暮らしを営む中で気が付いたことがある。
それが「田舎暮らし」をしているなかでも、分野によって好き嫌いが出てくるということだ。基本的には暮らしは全部楽しいし、新鮮そのもの。
でも特に「好き」を表に出して強調するならば「畑、自給自足、自然ある暮らし」といったキーワードが浮かんでくる。
畑をしていると心が落ち着くし、自然界のたくましさに感銘を受け自分の愚かさを知り謙虚になれる。まるで私を別世界に連れて行ってもらっている感覚になる。
特にハーブとの出会いは一味違った。
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私がハーブを好きになったのは、虫がきっかけだった。
正直、古民家暮らしにこんなに虫がつきものだとは思っていなかった。真冬の12~2月以外は何かしらの虫とご対面しながら生きている。
これまで何でも虫は嫌いじゃなかったし、そんなに苦手意識を持ったこともなかった。個体によっては可愛いと思うし、ときめくこともある。
それが今は少し気持ちに余裕がなくなっている感じがある。
体がデカいし(ハエがぽっちゃりすぎて音がまじでうるさいと思ったのは人生初)、大量だし(アリの行列はまるでベルトコンベア)、凶暴なヤツは凶暴(百足や蛇のように毒を持っている虫は対処しないと私たちが苦しむ)。
とはいえ生き物と共生共存しながら生きていく道があるならばそれがいい。これはずっと前に読んだ芥川龍之介著『蜘蛛の糸』の影響を受けていると思う。
虫を殺虫剤で殺すのは簡単かもしれない。でもそれでいいのか。
おまけに殺虫剤は高額商品だ。しょっちゅう購入していたら物価が安めの田舎でも大きな出費になるし出来る限り抑えたい。
そんな時に知ったのが「ハーブの効果」についてだった。
どうやらハーブには虫が嫌う香りが付いているようで、何かの手掛かりになりそう。そう思った。
調べていくと、虫ごとに効果のあるハーブが違うよう。例えばゴキブリと百足にはニホンハッカが効くし、蚊にはゼラニウムがいい。ほかにもハーブはたくさんの種類がある。とても面白い。
一番大きな感情は「一人じゃないんだ」というものだった。
一人で抱え込まなくてもハーブが何とかしてくれる、自然の知恵を拝借しよう、そう感じた時ものすごく胸が熱くなって顔が緩んだ。
ここに住んでいる以上ハーブと生きていくしかない、そう誓ったときの何とも言えない安心感と胸の高鳴りが今でも忘れられない。
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古民家には何年も人が住んでいなくて、庭も荒れ放題だった。
今、そんな庭を一から開墾して畑を拡大している。ハーブ畑、野菜畑、コットン畑、どんどん広がってきている。
開墾ってなに?と思うけどひたすらに大きなスコップで土を掘り起こし、雑草と木の根っこをつまむ作業のことだ。汗びっしょりで「何やってんだか」という気持ちになったりもするけれど、すごく生きてる感じはする。
これからもっとハーブ畑を広げて、ハーブがたくさん実ったら虫除けスプレーやハーブティーを作り生活のなかに自然と溶け込ませていきたい。
そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。