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LoLをアツく語る

「Why do you have two shoes on?(なんで靴を2つ履いてるんだよ)」
当時、リーグオブレジェンドを始めてから見ず知らずの人に投げかけられた初めてのコミュニケーションが、靴を2つ履いた私に対しての詰め寄るような問いかけだった。

「サモナーズリフトへようこそ」

初めてまともに遊んだオンラインゲームはTeam Fortress 2というFPSゲームで、その次にリーグオブレジェンドだった(League of Legend。以下LoL)
当時、LoLは「NAサーバー」と呼ばれる北米サーバーで遊ぶことができ、日本語にローカライズされておらず、自動でマッチングするチームメンバーは8割ほどが英語圏のユーザーだった。
そんな中で私は英語で「なんで靴2個履いてるんだ?」と見ず知らずの外国人に言われてしまい、冷や汗をかいていた。


靴は2つで1足では???

LoLは当時では「洋ゲー」というカテゴリで大変人気だった。しかしローカライズされておらず、日本人が有志でつくったwikiや翻訳ブログをもとにゲームの情報を追っていた。
30種類以上のアイテム、増え続けるキャラクター、キャラクターがそれぞれ持つ特殊能力に4つの技等、覚える事は盛りだくさんだ。
そんな中でも限られたアイテム欄で、どのキャラクターがどのアイテムを持つか選択する「ビルド」という戦略面で私は苦戦を強いられていた。
LoLではアイテムに「ブーツ(靴)」がある。ミニオンと呼ばれる小さい雑魚敵を倒してもらえるお金で最初に買うことが多い。
ブーツは移動速度が上がるというシンプルな性能を持っているので、6枠あるアイテム欄のうちブーツが1枠埋める。そのブーツのイラストは茶色のくたくたな革のブーツでなんと片方だけだったのだ!
つまり2個買って1足なんだ!
そう思った私は靴を2個購入し、2枠を埋めて持ち場に戻る。その時だった。
「Ashe:Why do you have two shoes on Chogath?」
Chogath(チョガス)というキャラクターを動かしていた私はガツンと殴られたような感覚を得た。靴は…1個で良いと…見知らぬ外国人が教えてくれている…と。

ちなみに現在は靴は1つしか持てないよう制限がかかっているし、なんなら体が蛇なので靴を購入できないキャラクターも居る。

洋ゲーとしての楽しさ

そんなビルドの不思議に悩まされつつLoLにも慣れてきたころ、日本人有志によるwikiを見てキャラクターを研究したり、翻訳ブログをチェックしたりするようになった。
英語圏の人たちはチャットを多用するので少しずつ英語のやり取りができるようになったり、汚い単語を覚えたりもした。ゲーム後に相手チームとチャットできるロビーに戻って褒められたりもしたし、煽られたりもした。
印象的な出来事としてはViktor(ビクター)というキャラクターがうまい相手がいて私は辛くもそのViktorに負けてしまったのだがゲーム終了時には私のプレイ技術を褒めてもらえた。私は彼のViktorに勝つためにはどうすべきだったかその場で聞いて長い間お互いのキャラクターの情報を交換し合った。後に彼は私のフレンドになり、私が北米サーバーを離れるまで多くの時間を一緒に過ごした。

白熱したオフとオン

LoLで外国人、日本人問わず友人が沢山出来た。日本サーバーができる2年前ほどからはLoL熱が白熱し、友人たちと秋葉原で待ち合わせしてネットカフェに赴き、5人並んでゲームをした。グッズが手に入りそうならお金は惜しまなかった。代行輸入業者を挟んでグッズを購入する声かけがあれば率先して同時購入をしたり、韓国の友人からグッズを送ってもらったりもした。
ファンアート活動も盛んだった。数多くのキャラクターが登場するため、かわいいキャラクター、イケメンキャラクターはもちろん、私好みの非人間キャラクターもたっぷり居るため、日本サーバーが存在していないのにキャラクターファンアートの量は世界一なんじゃないかと思わせるほどたくさんのイラストが見れたし、私も描いた。
国内で一番LoLが強いチームはどこか。日本一を決めるオフライン大会も応援に駆けこんだ。現在の規模とは比べ物にならないくらい会場は狭かったものの、ここに居る見知らぬ人たちもLoLをやっているんだと思うと得も言われぬ高揚感に包まれた。ゲーム内でキルが発生するたびに湧き上がる歓声、目の前で勝つために険しい表情を浮かべる選手たち。
インターネット上だけで遊んでいたゲームが、新しいエンターテイメントのコンテンツとして野球やサッカー、バスケットボールに相当する熱量を持っていることが何よりも私たちを興奮させた。
その大会の終盤、Riot jp誕生と日本サーバーの設立がモニターに表示されその晩は興奮のあまり寝れなかったのを今でも鮮明に覚えている。

2017年のLoL国内大会。当日に日本サーバーの設立もアナウンスされた。


日本サーバー誕生

ところで当時の私の先輩は天井無しのKog'Maw(コグ=マウ)好きだ。愛くるしいお目目が4つついていて、口から吐瀉物を吐き出し攻撃する。食いしん坊な怪物で素敵なおべべ(有料スキン)を沢山持っているキャラクター。
その先輩が日本サーバー実装のため日本語ベータ版へ参加し、Riotへ要望として送ったのは製作に3時間かけた長文のコグ=マウに関する日本語ボイスの要望だった。その一部を見せてもらったが想像を絶する分量に引いた。

日本サーバー設立には多くの利点がある。まず日本語にローカライズされる。キャラクターのスキルの効果や今後の変更点がわかりやすく理解しやすくなる。そして、キャラクターボイスが日本語になり日本語声優が起用される。また、ゲームのサーバーが日本に設置されることによってネットのラグがほぼ無くなり、快適なプレイができる。
競技シーンにおいては日本リーグが公式に設立され、世界大会への参加権が認められる。
中でも世界的に目を引いたのは日本語声優によるキャラクターボイスのローカライズだった。ご存知の通り、日本のアニメは世界でも認知されており、海外ユーザーでも声優ファンがいるほどだ。日本のボイスローカライズは成功を期して海外ユーザーからは「ボイスだけ日本語に差し替えられるようにしてほしい」とまで言わせるほどのクオリティになった。
声優一覧が気になる方は是非こちらから。

私としては大好きなZac(ザック)が大好きな声優で起用されたのが何よりも嬉しかった。ありがとうRiot。ありがとーーーー!!

日本語ローカライズといえば、日本の美少女戦士をフィーチャーした「スターガーディアン」コンテンツも見逃せない。各キャラクターにはスキンと呼ばれる見た目を変える課金コンテンツがある。スターガーディアンは某美少女戦士風のスキンでとってもかわいい見た目になるうえに、スターガーディアンリリース時にはティザームービーに日本語の歌詞がついた楽曲も採用された。良い。ちなみにLoLでティザームービーと一緒に製作された楽曲はSpotifyにて聞くことができる。要チェックだ。メッチャスキ。
(なんとカラオケjoy soundでも歌える)


リーグオブレジェンド

日本サーバー設立から6年。いちユーザーが杞憂になるのは軽忽だろうか。日本サーバーができたとはいえ日本というリージョンはとても狭く小さい。ましてやゲーム情報が複雑なLoLに関していては正直ハードルが高い。
今後ユーザーを増やすのであれば、Riotの努力に踏まえて我々ユーザーが面白さを広める必要ももちろんあると思っているし、北米サーバーで暴言を言われた人たちが日本語で人を罵っていたら咎める勇気も必要だ(実際ゲームだからと暴言が発せられているのも目を背ける事の出来ない事実だ)。
幸い、Discordがコミュニケーションツールとして発達し、LoLをプレイしている人たちの輪にも入りやすくなっている。お勧めとしては初心者向けLoLコミュニティを探して、お気に入りのチャンピオンを選んで頂き、何よりも楽しんでもらうことができればLoL老人としてはとっても嬉しい。

ちなみに筆者は万年ブロンズで上手くはない。ほんとに。でもフレンドと一緒に遊ぶ楽しさは身をもって知っているし、何よりいくつかLoLにはカジュアルに遊べるゲームモードがいくつかある。
実際上手くなくても大丈夫だった。これから始める人も大丈夫。偶然のトンデモプレイから生まれる笑いは一生ものになるし、今後の競技シーンや魅力的なグッズ、ファンアートなど楽しめる要素もたっぷりあるのでまずは最初に靴を2つ積むくらいの気軽さで遊んでほしい。

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