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医療崩壊は未来に真価を発揮する

2019年12月、中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、いつまで僕たちの生活を脅かすのだろうと考える2021年の1月。いまだに猛威をふるっているこのウイルスの怖さは、感染の速さや重篤化した際の危険度など本当に多岐にわたる。

連日報道が加速するコロナ騒動。日に日に感染者数は最多を更新するし、変異種の発生や、完治後も後遺症があると聞く。本当に暗いニュースが多い。特にぼく自身怖いと思っているのは味覚嗅覚の異常だし、後遺症で味覚嗅覚に異常が残るなんて、酒とコーヒーが生きがいのぼくには死活問題だ。


そんなぼくは今、医療現場で仕事をしています。勤務先の病院でもクラスターが発生しました。そんなコロナ最前線に巻き込まれながら仕事をし、今後おきうるかもしれないこと、これから我々はどうしていくべきなのかを考えたいと思います。

いま現在、医療現場は本当にギリギリの状態だと思います。看護師不足は深刻化し、病床数も足りていません。病院の経営は悪化し、看護師は見えない敵からのストレスに常に晒されています。政府はTwitter上で「#広がれありがとうの輪」などと訳のわからないことをやっていたし、看護系大学の教員や大学院生に協力を要請し、彼ら彼女らの給与などは「出向先の施設が支払うように」と言っているらしい。お国のお偉いさんの頭蓋骨の中をデブリードマンして欲しいと本気で思う。

医療が頻拍することで注目されるのは医療崩壊についてだと思います。その医療崩壊がコロナ感染患者の受け入れが出来なくなることだと認識されているように感じています。ですが、本当はそうではないと思っています。もちろん感染者が増えることで受け入れ先が見つからずたらい回しにされるケースはあります。そしてそれが起こってしまっていることは紛れもなく医療崩壊であると思います。しかし、医療崩壊の怖さは「今」ではなく「未来」にこそあるとぼくは考えています。


まずコロナは市中感染だけで起こっているわけではありません。入院患者さんや施設利用者さんが感染しており入院後や施設利用後に発症しクラスターが発生するケースもあります。(もちろん病院関係者や施設関係者が持ち込み発生するケースもある。)そしてこのケースで、もともと指定医療機関でない場合、病院としての機能がいっさい麻痺してしまいます。


その理由として、拡散力の強いウイルスであるため院内、施設内ですぐに拡がってしまうからです。もちろんマスクや手指衛生、物品の消毒、PPEなど、できる感染対策を全て実施していても同様です。こと、このケースにおいては発覚した時点で後手後手になることがほぼ決まっているような気もします。そして院内クラスター発生後はまず感染拡大の対策を行います。外来診療の停止、救急車受け入れの停止、入院患者の一斉退院促しなどなど感染拡大防止のため、取れる対策は全てとることになります。


医療崩壊の怖さはここからと言っても過言ではありません。外来診療の停止や救急車の受け入れ停止によって、迅速な処置があれば救えるはずだった命が救えなくなる可能性があります。さらに地方へ行けば行くほど地域当たりの病床数は限られるのです。一番近い救急病院で受け入れが出来ない場合、そこからまた新たに受け入れ先を探すことになってしまいます。遠くの病院に搬送されることで処置が間に合わなかったケースなどいくらでもあるのです。このことから感染者拡大によって起こる医療崩壊は感染者だけの話ではないことがわかると思います。


次は病院サイドの話になってしまいますが、コロナが院内で発生した場合、病院としての収益は下がります。これは間違いなく下がります。まず救急や外来診療がなくなるため入院のみでの対応となるし、入院患者も極端に減少します。そのため空き病床が増え、新規患者もいなくなります。その結果、病院にお金を払う人数が極端に減るため、当然病院としては赤字となることが容易にわかると思います。

そして、行き着く最悪のパターンは病院の経営不振による閉院が考えられます。コロナ禍に閉院に追い込まれた病院がいくつかあったのも記憶に新しいと思います。閉院で困るのはじつは従業員だけではありません。周辺の地域住民にも影響を及ぼします。先ほども書いた通り、その地域から救急病院がひとつ無くなるということは、迅速に満足のいく治療が行えないというところに帰結します。そう考えれば、医療崩壊の本質とは「治療が必要な人に、適切な治療が行えないこと」に他なりません。長期的に見れば、コロナの余波によって近い将来、時間差で医療崩壊が起きるということも考えられるのです。終息後もその地域での医療格差を生み出す恐れが考えられます。


では我々にできることは一体なんでしょうか。

いまさら言うことでも無いかもしれませんが、まず手洗い、うがい、手指消毒。基本中の基本です。さらに、マスクの着用大人数での会食をさけるなど感染対策をし、感染のリスクを最低限に抑えることが重要です。「今」自分にできる正しい行いは何かを考え、実行に移すことが大切です。善悪の判断はひとりひとり異なりますが、正しい選択は近い将来、自分や身近な人、大切な人の命を守るかもしれないことを知っていて欲しいです。

つたない文章をお読みいただきありがとうございます。特にエビデンスもないため情報に誤りのある部分もあるかもしれません。あくまで、ぼくの考えたことを綴らせていただいている為、偏りもあるかと思います。正確な情報やご指摘等あればコメントなどにお寄せいただけると幸いです。

Podcastでも話しています。よければお聞きください。


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