ブランディングデザイナーと長期的なパートナー契約を結ぶことで生まれるブランドの強みとは|株式会社若廣 取締役企画開発本部長 沖田達哉さん【後編】
空港のお弁当「空弁(そらべん)」で一躍有名になった、焼き鯖すしを展開する福井県小浜市にある「若廣」。
2018年にデイリー向けの新しいブランド「すしべん」を立ち上げたことをきっかけにSKGはブランディングデザインをスタートしました。現在はJR日暮里駅内、新宿伊勢丹に店舗を置き、百貨店の催事などの展開もしています。
後編は若廣の取締役、東京支社社長ですしべん立ち上げの中心人物である沖田達哉さんから、SKGとの長期的なパートナー契約を結んだ関係性や、今後の「すしべん」ブランドへの展望についてお伺いしました。
ブランドを一緒に築き上げていこうとするSKGの思いとは
–すしべんの立ち上げから5年が経ちますが、すしべんとSKGの現在の関係性について教えてください。
沖田:1号店を立ち上げようと動き出した数ヶ月の間は、助川さんの存在はデザイナーという認識でした。それから実際に1店舗、2店舗とお付き合いしていると徐々に“すしべんのブランディングをデザインしてくれている”という捉え方に変わりました。社内に寄り添いながら、客観的な視点ですしべんについて意見をいただけてありがたいです。
助川:デザインする人からブランディングする人に変わったとのことですが、沖田さんにとって、ブランディングとはどのようなものでしょうか。
沖田:デザイナーの役割はブランドのロゴやパッケージなど造形的な部分を担う人だと思っていました。けれど、助川さんはそのデザインの領域に留まらず、すしべんの運営についてもどんどん踏み込んでくれました。
助川:味に関して全くゼロから企画することはこれまでしていませんが、それ以外に関わる考えの部分からですよね。
沖田:百貨店や駅構内での催事に出展すると、担当者の方に「店舗の運営は、商品と接客、環境(ディスプレイ)が重要」と言われます。味が美味しいことは絶対条件ですが、3要素が伴って初めていいお店ということですね。助川さんは常にこの3要素を含めた全体を見て意見を伝えてくれます。
助川:百貨店の方が「接客」にもアドバイスくださるのはありがたいですよね。デザイナーはさすがに接客のノウハウまであるところは少ないと思うないので。沖田さんがおっしゃった「すしべんの運営に踏み込んできてくれる」という言葉は良い意味だと捉えています。
沖田:もちろんです。今は助川さんはすしべんのブランドをコントロールしてくれている人という認識です。すしべんブランドは「新しいことにチャレンジしたい」という思いがありますが、僕は現場に近い人間なのでどうしても客観性がなくなってしまう。そんな時に助川さんのような客観的にブランドを見て意見を伝えてくれる人がいてくれることに助かっています。
助川:客観性はやはり第三者の特権ですよね。一緒に出資して経営している関係性とは僕らは違うので、時に大胆な提案をしたりします。無責任な提案をしてしまうこともあるかもしれないですが、採用するかどうかは運営者の判断ですし、その大胆な提案がまたありがたかったりしてくれるケースが多いですね。すしべんに限らず、僕の携わっている仕事のこととして。
ロイヤルティ制度は同じチームメイトとして、お互いにwin-winな関係を目指して一緒に取り組める仕組み
– こういう関係性を築き上げることができたのは、すしべんとSKGの契約の形態が長期的だからというのもあるんですか。
助川:そうですね。 すしべんとは売り上げの一部を定率でお支払いいただくロイヤルティ制度で契約を結んでいることもあり、すしべんの売り上げに貢献できるようにと日々いろいろと考えたり、やりとりをすることを心掛けています。
それに、立ち上げから携わり、意見を交わしてきたからこそ、お互いに自由な議論ができ、すしべんもSKGを必要としてくれていると感じるので、僕もそれに応えたいという気持ちがあります。ロイヤルティ契約を結ばないとしないのかと言ったらそんなことはないんですけどね。
沖田:契約については僕たちすしべん側からも提案させていただきました。ロイヤルティ制度はお互いにwin-winな関係を目指して一緒に取り組めるので良いと思いますし、同じチームメイトのような存在のSKGに合った契約内容だと思います。
それぞれ会社は違うけれど、すしべんを成長させたい思いを僕たちと同じように持つ助川さんも仲間だと思っています。これからもそんなパートナー関係でいたいです。
助川:そうそう、最初にすしべんとの契約を決める時に沖田さんから「もし僕が倒れてもー」ということも言ってくれましたよね。、沖田さんが倒れて他のスタッフと共有がうまくいかない場合、事がしっかり運ばないかもしれないので契約しておきましょう、と。そこをご教授いただいたことはむしろ助かりました。
沖田:助川さんと日頃から話していて刺激的に思うのは、やはり助川さんのデザイン目線での考え方です。助川さんと話していると、我々が思いつかないような面白い企画が必ず生まれてくる。
日々の我々の業務からは発見できない面白い視点をもらえるので、助川さんとコミュニケーションを取るのは必要だなと思っています。社内で議論をしていて、少し煮詰まってきたり、7〜8割ぐらい形ができたときに助川さんに定期的に相談しています。
すしべんが日常に寄り添うお弁当の定番になるように。これからも続くブランドのアップデート
– この先のすしべんをどうしていきたいか、展望を教えてください。
沖田:すしべんのブランドを立ち上げてデイリー商材を店舗や催事で展開できるようになったので、次はお客様のニーズをさらに深堀りをして、商品開発や販売をしていきたいと思っています。すしべんがお弁当の定番のジャンルになれるように、お客様の日常にしっかり寄り添える形にしていきたいです。
助川:ベンチャーらしい商品が出てきても面白いかもしれないですね。
沖田:夕方市や出来たて市のような、お客様もワクワクするような企画などは模索して挑戦している途中です。助川さんが言ってくれたように、ベンチャー企業のワクワク感と共通していますよね。
助川:そういった思いを社内へ浸透させるためにも、社内のみなさんに意見をもらったり、議論する機会がまた近々あってもいいかもしれませんね。
助川:僕がこれからすしべんと一緒にやりたいことはたくさんあります。いまのすしべんを見ていると、まだまだ若廣とすしべんのブランドの棲み分けがあいまいだなと感じています。すしべんのブランドをもっと確立させていきたい。
沖田:若廣とすしべんのブランドの棲み分けは僕も課題だと思っています。社内でも若廣とすしべんのそれぞれの立ち位置の話になりますし、しっかりと交通整理して、定期的にブランドのアップデートをしていくのが課題です。
助川:実際に交通整理が必要だと感じてるということですね。
沖田:若廣とすしべんのお互いがあってこそ売り上げが成り立つ部分もあり難しい課題ですが、どういう姉妹ブランドなのか定義していかなければいけません。そういった意味でもこれからも助川さんと会話をしながら、すしべんのアップデートに一緒に取り組みたいです。
助川:若廣という会社が運営する若廣というブランドと、もちろん同じく若廣の運営するすしべんブランド。定義の課題がまた見えてきましたね。いっそのこともう一つ若廣の傘の元、新しいブランドが立ち上がると、整理せざるを得ない状況になって良さそう。ちなみに今回の記事は是非若廣社全スタッフに読んでいただきたいです(笑)
「すしべん」の立ち上げから5年が経ち、お互いにチームメイトとして対等な立場で自由に議論ができるのは、ロイヤルティ制度のwin-winを目指すことはもちろん、日頃からブランドについてのやりとりを続けることで築き上げてきた関係性があるからです。これからもSKGのデザイン目線を通してすしべんが新しい一歩を踏み続けられるように努めていきます。
SKGでは客観的視点を持ち、デザイン目線でクライアントの課題解決のお手伝いをしています。デザイン目線での新しい風を入れることで、クライアントの成長の幅を広げて行けるように取り組みます。
SKGではデザイン料金のお支払い方法について、クライアントの規模やフェーズに合わせて3つの支払い方法を設けています。ロイヤルティ制も支払い方法の一つです。SKGのnote「SKGのデザイン料金にはこんな支払い方があります」では具体例も交えさらに詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。