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30歳、バイオリンを習い始めた話 #10 みやぞんさんの挑戦を見て

「世界の果てまでイッテQ みやぞんがバイオリンに挑戦!」という番組を見て、バイオリン初心者として共感できるポイントがいくつかあったので書いてみます。

バイオリンはずっと憧れだった

みやぞんさんはピアノとギターが弾けるはずですが、それでもバイオリンを弾いてみたかったという気持ち、すごく分かります。大人になって自由に何でも選べるようになった今、やっと憧れのバイオリンを弾ける!そんな気持ちだろうと思います。

バイオリン一式を買う

みやぞんさんは自腹でバイオリン一式を購入していました。いくらぐらいの楽器を購入するのか興味がありましたが、楽器が約10万円、弓が約7万円、セットで約20万円のところディスカウントが入って全部で約11万円でしたね。弓が約7万円でみやぞんさんは驚いていましたが、弓の相場からしたらたしかに安くてもそのくらいはするなと思いました。ディスカウントで20万円から11万円というのもたしかに「どういうシステム?」とは思いましたが、初心者セットのように売られている一式も同じくらいの値段なので、楽器屋さんがTV向けに特別ディスカウントをしたわけではないように思います。

きらきら星はすぐ弾ける

初回のレッスンでみやぞんさんが音階を10分でマスターして、きらきら星もすぐに弾けるようになってスタジオが驚きでざわつく場面がありました。わたしも経験しましたが、きらきら星はすぐ弾けます!
これにはちゃんと理由があって、きらきら星は大部分が開放弦(何も押さえない)でカバーできて、あとは順番に音が下がるだけなので、一度左手を固定してしまえば音が取れるのです。もしかしたら左手で音を押さえながら右手で弓を動かすことが難しく感じるかもしれませんが、ギターを弾けるみやぞんさんだったら簡単なはずです。

そのあとの長いスランプ

きらきら星を弾けたことで「バイオリンの才能あるかも」と思うのですが、そのあとが難しいんです。バイオリンの構え方や弓の扱い、音程や移弦など色々なことに気を配りながら弾かないといけないので、どれか一つが出来ても他が出来ないループにはまっていきます。みやぞんさんも60日くらいスランプに陥っていました。
あとは個人的にはバイオリンを習い始めた時は弦を押さえる力加減が分からないからか、左手の指先が固くなってタコのようなものが出来て痛かったです。みやぞんさんは3カ月集中的に練習したはずなので、痛みに耐えながら練習していたのかなと思います。

人前でひとりで弾く難しさ

わたしは習い始めて1年ちょっとですが、いまだに人前で弾いたことはありません。レッスンでは一応合格をもらって次の曲にいっていますが、「文句なし!素晴らしい出来!」のような状態ではありません。スムーズに弾ける部分もあるけど、全体的な流れが不十分だったり、強弱が甘かったりといった具合です。人前で演奏するためにはただその曲が弾けるだけでなく、それ相応の完成度にする必要があります。
また、みやぞんさんはスタジオで「エトピリカ」をピアノ伴奏に合わせて一人で演奏していました。先生とバイオリン2台での合奏なら、先生の音に包まれて初心者でも上手く弾けているように聞こえたかもしれません。TV的にみやぞんさんの独奏でないと意味がないのでしょうが、先生の力を借りず独奏を披露したみやぞんさんを改めて尊敬しました。

本番じゃなければ上手く弾ける

みやぞんさんは発表後にさらっと弾いたら、弓の震えがおさまって「本当はできるんですよ!」という場面がありました。これもあるあるなのでよく分かります。「ちゃんと弾く」というのは弓の端から端まで全部を使ってのびのび弾くことなのですが、右手でボウイングをしっかりして左手で音程を外さずに取るという作業を同時に完璧にする必要があります。目をつぶってもその作業ができるくらいにならないと「ちゃんと」は弾けません。
一方で「なんとなく弾く」というのは弓の真ん中くらいだけを使って、音程をしっかり取ることになるかと思います。ちゃんと弾かなきゃ!という力みがなくなるので、音が外れていなければメロディーが聞こえてきます。メロディーが聞こえるだけでも「なんかすごい感」は出るので、みやぞんさんがさらっと弾いた時に「上手!」だと思うのも納得です。
実は、というかみなさんご存知だと思いますが、この「なんかすごい」状態から「素晴らしい演奏」にするためには、また途方もない練習が必要です。

さいごに

みやぞんさんが演奏した「エトピリカ」はヤマハではテキスト3冊目に出てくるようです。(わたしは今2冊目なのですが、1冊目にも2冊目にも出てきていないので・・・)先生からはテキスト1冊仕上げるのにだいたい1年と言われたので、単純計算してもみやぞんさんは本来3年かかる練習量を3カ月でやり切ったというわけです。番組の内容的には3カ月間バイオリンだけに挑戦するというものでしたが、実際には他の仕事もあっただろうし、北海道にエトピリカを見にロケに行ったりしていたので、バイオリンに触れない日もあったはずです。いくら先生がつきっきりで指導してくださったとしても、音楽は本人の努力なくしては完成しないので、「エトピリカ」を弾き切ったのはみやぞんさんの努力の賜物だと思います。

個人的には「みやぞんだからできるんだよ」「やっぱり難しそう」というより、番組をきっかけに「大人になってからでも楽しめるんだ」「あの曲弾いてみたい」と思ってバイオリン仲間が増えてくれると嬉しいです。一緒にバイオリンを楽しみましょう!

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