デジタル・シティズンシップ教育の次の一歩へ
Google for Education認定トレーナー&コーチの笠原です。
10月も最終週となり、そろそろ年末、年明け、新年度と次のステップのことが気になる季節になりました。
勤務校の課題や自分の今後の仕事を考えると、ここで一度、デジタル・シティズンシップ教育について、整理して教員間で考えなければいけないのだろうと思っています。
夏に発売されて以来、どうやって共有しようかと思案していたこの本。
いよいよこの本(以下、本書)に書かれているようなことに向き合わなければいけないなと感じています。
どのような内容が関係しているのかということを少し紹介します。
手段ではなく基盤として
デジタル・シティズンシップ教育については、日本デジタル・シティズンシップ教育研究会を中心とした活動の結果、少しずつ日本にも広まりを見せているように感じます。
※来週にリアルゼミがあります。オンライン参加もできますので必聴です。
自分も定期的に授業などでデジタル・シティズンシップ教育のレッスンプランに取り組んでいますが、こういう授業が出来るのは少しずつ日本向けのレッスンプランが増えてきたことや実践例が共有されるようになってきたからです。
※この本の最後の方の実践だとかなり葛藤のある課題となっています。質的な高まりを感じます。
一方で自分自身の時間として、このように優れた授業があったとしても、「単発」で間欠的にしか行えないことにも限界も感じています。本来、デジタル・シティズンシップ教育については、もっと多様な機会に、学校生活全般のあらゆる場面で取り組むべき(取り組むことが出来る)ことだと思うからです。
例えば、本書の中で訳者の豊福先生は「はじめに」の中で「デジタル・シティズンシップ」について以下のようなことを述べています。
この指摘は、単発の授業が出来るようになってきた、日常的に一人一台端末を使うようになってきた、そういう段階に至って強く実感として感じるようになることです。
STEAMライブラリーのレッスンプランや日本デジタル・シティズンシップ教育研究会の優れた書籍などで、授業へのハードルが下がり、どの教室でもチャレンジのチャンスが増えているだけに、一方で次の段階のチャレンジとして「学びの体系」をどう考えていくかが重要になると実感しています。
今の自分は「自分が単発的にやればやるほど不足と問題が気になっている」という状況です。教員が連携して、学校として体系的に行わなければ難しいと感じます。
スクールリーダーとは
本書のデジタル・シティズンシップ教育の取り組みという観点で、面白くて重要な点として「スクールリーダーとは誰か」ということについての考え方を挙げることが出来ます。
本書の中でデジタル・シティズンシップ教育に取り組むべきスクールリーダーについて以下のような説明があります。
本書の特長やねらいとしては、「体系的なデジタル・シティズンシップ教育にどのように取り組むか」ということがあります。そのため、本書の後半の解説は各校種での体系的なデジタル・シティズンシップ教育に取り組むためのガイドという色彩が強いです。
そのため、学校のカリキュラムに対してあまり関わることができない立場の先生方からすると、まったく縁遠い話に受け取られる可能性があります。
しかし、そのような受け止め方は適切ではなく、本書の読者としては実際に教室で、それぞれの現場で子どもたちと関わる教員であれば誰もが相応しく、そして本書に勇気づけられてデジタル・シティズンシップ教育の実践のスクールリーダーとして奮い立てることが理想なのだと思われます。
実際、一人一人の教員がデジタル・シティズンシップ教育についての理解を深め、実践へと導いていくためのアクティビティが章末に数多く用意されています。
例えば、「はじめに」の章末のアクティビティでは以下のような内容が掲載されています。
デジタル世界に参与していくことで、自分の学びや行動の変容を促していくアクティビティというのが、実にデジタル・シティズンシップらしいと感じます。
日本の本だとこういうアクティビティはなかなかお目にかかれないので、こういうアイデアは非常に面白く感じます。
逆に言えば、こういうデジタル世界との関わりの経験の少なさが、デジタル・シティズンシップ教育の実践のハードルを上げているとも言えるかと思います。
もし、実際にデジタル・シティズンシップに対して注目して、実践を深めて行きたいと思ったのであれば、デジタル・シティズンシップの実践自体を上手く発信していき、自身のデジタル体験を増やしていくことは非常に重要になるのでしょう。
こうして自分も拙くも実名で実践やアイデアを発信しているのは、デジタルとの向き合い方を学びたいという意図は確かにあります。発信を続けることで生徒へ伝えられる言葉も確かに増えている気はします。
続きはまたどこかで
さて、序章の部分だけで既に字数が相当長くなりました。
続きはまたいずれどこかの機会に。
語るべきことがあまりに多く、数回に分けてかみ砕いて紹介していければと思っています。
……結構、大変なことになりそうなので、途中でくじけるかもしれないですが。
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