【イベント感想まとめ】生成AIの進化と教育の未来は
Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。
昨日の夜は、野中潤先生たちが主宰する生成AIのイベントに参加していました。
イベント自体が2時間、おかわりタイムが1時間の都合3時間の長丁場でしたが、まったく話が尽きません。
イベントの詳細な内容については、参加者の自分がペラペラと書くのは憚られますので、例によって雑多な感想をまとめておきます。
日常生活とのギャップがすごい
おそらく、参加者の多くの方が感じていることかもしれません。
自分もいの一番に感じたことは「普段の自分が働いている現場とのギャップの大きさ」です。
自分も比較的、早い時期から生成AIを利用してきたので、今回のイベントの登壇の先生方がご発表なさっている内容についてはイメージが比較的、はっきりとイメージが持てます。自分の教室で置き換えるならば、こういうリアクションもあるだろうなぁという具体的なイメージを持てます。
しかし、一旦立ち止まって、自分の職場のことを考えると、今回のイベントの発表内容のようなことをいきなり伝えても、どれだけ理解してもらえるかということに難しさを感じます。
今回のイベントは生成AIと教育に関心が高い人が集まって考えるイベントなので、発表内容が分かりにくいという話ではありません。関心がある人とそうでない人の差が、たった一年の間にかなりの速度で進行してしまっているということを、改めて痛感したのです。
生成AIの性能がより進歩していくことを考えると、全容を理解してからしっかりと使おうという方向性だと、かなり難しいように感じます。一方で、いい加減なことをできないという教員の職業倫理を無碍に考えるのもよくないだろうと考えます。
子どもたちに触らせるかどうかは規約の面を含めて、まだハードルが高いところではありますが、先生方がとりあえず触ってみて試行錯誤を行ない、生成AIの感触を理解した上での議論はもう少し進んでいかないといけないように思います。
生成AIに対する理解として、単純な作業や短時間の試行錯誤だけに基づいて「しょせん生成AIはこの程度でしょ」となってしまうことは危険だろうと思います。
生成AIの機能が日々、進歩していることはもちろん、生成AIの性質として複雑で面倒なものをどうにかしたいというニーズが切実にあるときにこそ威力を発揮し、そういう学習課題を開発してみないと生成AIと授業の関係はなかなか見えてこないだろうと考えます。そのため、ちょっと触っただけで見切ってしまうのはかなり危険だと考えるのです。
いずれにしても、もう少し校務などでよいので、現場で生成AIを使ってみる経験が増えてくることは必要だろうと感じます。
人間らしさと向き合うこと
イベントの中の話題でくり返し出てきていたことは、人間らしさに関わる内容でした。コミュニケーションに関わること、価値観に関わること、評価に関わること……いずれも人間の思考や感情など、人間らしさに関わる議論が広がっていたと感じます。
人間らしさの対極にあると考えられる生成AIの出力する何かに対して、人間らしさに関わることが教室でも起ころうとしていることに奇妙なねじれを感じつつも、やはり教育に関わる人々の関心は人間の方に向いていくのだということが確認されたのだろうと言えそうです。
生成AIが人間らしいかどうかについては判断しかねますが、生成AIとの「対話」を通じて、結果的に輪郭が見えてくる人間らしさ、人間にこだわりたいことはあると思われます。
どこを生成AIに委ねて、どこからは人間が踏み越えては行けない領域なのか……そういうことを考える時に、人間らしさとは何かという問いをしっかりと考えておくことは必要になりそうです。
ちなみにUNESCOでは
昨日のイベントの議論で、参照した方がよいかと感じたのが、昨年度UNESCOが公表している「Guidance for generative AI in education and research」です。
こちらの内容については、生成AIを学校で利用しようという時にはじっくりと読んだ方が良いと個人的には感じています。ただ、要点についてはChatGPTにまとめてもらったりDeepLで丸ごと翻訳してもらったりすれば大丈夫だろうと思います。
ちなみにChatGPTにまとめてもらうとこんな感じ。
昨日のイベントの議論ですと、1.や6.に関わるような内容が議論としては出てきたと考えます。
5.のインクルージョンについても、特別支援教育の先生のご発表が今回あったことが非常によかったです。インクルージョンの視点がなくなれば、使える/使えないの二分法での競争を教室に持ち込むことになり、結果的にディストピアだろうと思うのです。
まとめ
技術の変化の速さと人間の意識のギャップが大きくなっていると感じます。不用意に扱うことは避けながらも、論点になることを実感するための体験がまずは必要になってくるだろうと思います。
使っている人と使っていない人のイメージの違いからくる議論の空転は避けていきたいですね。
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