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ChatGPTで授業の何が変わるだろう?

Google for Education認定トレーナーの笠原です。

ChatGPTを使って国語の授業を進めているところです。

https://note.com/skasahara/n/nfd07883322cb

そろそろ単元の終わりに近づいてきて、色々と見えてきたこともあります。実際にやってみると生徒が予想したよりも面白い学びをしてくれています。色々な気づきがあるので、来週は単元をやってみての感触を記事にしようと思います。

本日はChatGPTについてのちょっとした話題を紹介します。

ニュースコネクト日曜版で…

Voicyの「ニュースコネクト」を聞いていたら、ちょうどChatGPTの話題が出てきました(11:20ごろから)。

MCの野村さんは出版とコンサルの経験を持っている方です。そのため、ニュースコネクトでも度々ChatGPTによって社会がどのように変化するのかということについてディスカッションされています。

今回のニュースコネクトでは、以下のような話題が挙げられています。

  • トレーニング段階にある人たちが作るリサーチ段階の記事については、ChatGPTがかなりの分量を代替できるのではないか。

  • ChatGPTの答えについては、まだ誤りも含まれていることが多く、チェック役の役割は大きい。

  • 荒く書いた原稿をAIが書き、熟練者がそれをブラッシュアップして仕上げるという構造になってくるのではないか。

  • 事実誤認が見抜けないと使うのが怖いツールだと感じる

  • リサーチの下働きがなくなっていくとすると、情報をブラッシュアップしていく能力をどのように培っていくのか

他にもテクノロジーと我々の思考という観点で色々な論点が出ているので、ぜひ本編も聞いてみてくださいね。

これらの論点は、個人的にはまさに「国語の授業で考えなければいけないこと」のように感じます。特に社会との接続になっていく高校の国語では深く考えたいテーマです。

リテラシーだけの問題だろうか

今回、自分が授業でやっていることのあらすじは、「AIの書いた文章の問題点を認識して、その文章を活用しながら自分で文章を書く」ということです。

まさに、ニュースコネクトでも触れられている、ChatGPTの使い方そのものです。

ChatGPTの出力してくる情報について、批判的に検討を行って、きちんと責任のある文章を書けるようになる……そういう発想で組み立てている単元です。

一見すると、学習指導要領の中にもあるような「情報の信頼度」について扱っている単元のようにも思うのですが、授業をやってみると単に「情報が信頼できるか」ということを判別するリテラシーの問題に留まらないような感触があります(リテラシーという言葉も意味がだいぶ広いのですが…)。

ニュースコネクトの中で塩野さんがちらっと触れていましたが、「思考の過程にも関わる」ということを強く感じます。

AIの出してきた文章が、思っている以上に生徒の思考に影響を与えている印象があります。

よい面を挙げるのであれば、AIの書いてきた文章を参考にして、どのような順序で書けば、どのような構成で書けば分かりやすいのかを生徒は理解しやすく、情報を集めたり整理したりする時も何を吟味すれば良いかが比較的分かりやすいようで、活動として分かりやすいようです。

一方で懸念点を挙げるのであれば、自分で材料を集めたりテーマを磨き上げたりする思考の過程がまるっと落ちている感覚があります。それが長期的にどのような影響を与えるのか……それは現状としてはまだ分かりません。

文章を書く行為とは…?

現在の精度であれば、AIの書いた文章を見抜くことは、自分の専門分野であればそれほど難しくないですし、課題を一ひねりすればAIでは対応できないことも多いため、「生徒がコピペで出してしまう」という点については課題の出し方の工夫でそれほど大きな問題には、今すぐにはならないだろうと思います。

しかし、全てをコピペで書かないとしても、AIに下書きを書かせて、自分で書き直す部分を減らしていく……ということが起きたときに、学びがどのように変質していくのでしょう?

苦手な生徒にとっては「書けない」という苦しみからの福音になるかもしれません。しかし、「取材」や「構想」などの思考の訓練の負荷がなくなったときに、何が起こるのかは想像が難しいです。

紙の本が電子書籍になると定着が悪いというようなレベルの話なのか、それとも「思考」そのものが変質してしまうのか……。

ただ、今のところの自分の感触としては「AIの文章を吟味する」という使い方はやがて一般化していくように思います。そのため、AIの文章を活用して何か表現するという授業は色々と試してみたいと思います。

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