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高還元SESを牽引したリベロエンジニアが宣言する、高還元SESの終焉。

「高還元 SES」 は、もう終わった。

こんにちは、リベロエンジニアの金子です。

僕は2014年、「高還元 SES」の先駆けとしてリベラルエンジニアズ(現リベロエンジニア)を創業しました。 
当時としては「高還元 SES」は弊社を含めた数社だけで、従来の運営方式を真っ向から否定するやり方だったため、エンジニア・同業者から賛否両論、さまざまな評価をいただきました。

それから9年。

現在のリベロエンジニアの平均年収は620万円。
文字通り「高還元 SES」を達成したと言えます。

追随する企業もたくさん出てきた結果、
「高還元 SES」は当たり前となり、その言葉自体必要なくなったと考えています。

要は、高還元 SES の終焉です。
リベロエンジニアは新たに「高還元 SES」のその先へ向かいます。


1. そもそも「高還元 SES」 とは?

エンジニアから始まる “三方よし”

「高還元 SES」 が一般に認知されるようになったのは、弊社リベロエンジニアを含め先行した数社が SNS で牽引したことがきっかけです。

僕の考える「高還元 SES」 は、エンジニア・クライアント・自社の三方よしを実現するための手段であり、

  1. まずは会社の儲けより働くエンジニアの利益を優先する
     =エンジニアのモチベーション、パフォーマンスが上がる

  2. クライアントに提供する技術価値が上がる

  3. 雇用主の企業に利益還元される

会社が「先に GIVE 」をして、最初からエンジニアに給与を高く還元するものでした。

本来的な「高還元 SES」

けれども、一般的にはそうなりません。
そもそも「高還元 SES」 の概念が広がる前は、経営者一人勝ちの世界。
エンジニアは経営者の作ったビジネスモデルから分け前をもらう構造でした。

それでいて SES 業界はビジネスモデル的にエンジニアがクライアントワークを頑張っても会社の利益が一気に10倍になることはなく、その上、経営者が利益の多くを取るので、エンジニアの給与は一向に高くなりません。
そうなるとエンジニアは自己投資もできず、モチベーションも上がらず、結果クライアント先でのパフォーマンスもあがらず、クライアントから高い報酬を得られなくなり、全員が負ける構造でした。

つまり、一般的に SES 業界はエンジニア・クライアント・自社の3者が “三方悪し” になる負のスパイラルだったんです。

僕はこれをずっと問題に感じていました。

だからこそ、リベロエンジニアが先にエンジニアに GIVE する。
リベロエンジニアが「高還元 SES」になることで “三方よし” を実現できるという仮説を持って、リベロエンジニアを起業しました。

2. なぜ「高還元 SES」だったのか?

エンジニア時代のフラストレーションから、エンジニア目線で「高還元 SES」として起業へ

10年以上エンジニアとして働いてきた僕自身が抱えた

・会社に所属する限り、主体的に技術者としてのキャリアアップ・スキルアップを望めない
・会社に長く務めることにインセンティブが働かない (給与が上がらない、ただ年をとっていくだけ) 
・かといって、フリーランスになっても信用・健康問題がつきまとう

というフラストレーションがきっかけです。

会社員時代にはさまざまなことに疑問がありました。
例えば、過去勤めた会社には社員旅行や会社の行事に参加する人を重要視して点数を上げるような文化がありました。「社長のポケットマネーで旅行できている」みたいなことを言われ、旅行の最後に社長に「ありがとうございました」とお礼を言ったりするんです。組織に対してゴマをすって、その分け前をちょっとだけ増やすやり方に疑問を持っていました。

他にも、誰に読まれることもない形だけの「週報」
帰属意識を持たせるための「帰社日」
考え無しに一律で取れと言われる「資格」

それに加え、そんなことしかしない程度で “マネジメント” だと言っていることにも疑問がありました。

中でも印象に残ったのは「前職はマジシャンです。パソコンは触ったことがあります。」と、IT 関連の業務が全く未経験の新人が入社してきたときのことです。

クライアントには「この新人はこちらで面倒を見るので、お客様にはご迷惑をおかけしません」と伝え、クライアント側も例えばサーバールームの運用チェックのような自社社員がやりたくない仕事を与えます。そんな業務内容なので、おかしな話ですが問題さえ起こらなければ誰でもいいというスタンスです。

本来、エンジニアは技術力でクライアントからオファーをもらってバリューを出す、かっこよく言うならコードで食っていくわけです。

それなのに現実はクライアントとの関係を維持することに使われ、クライアント先で枠が広がれば、今度は未経験のどこの誰だかわからない若手を入れて面倒をみさせられ、全く技術分野にフォーカスできなかったんです。

企業とエンジニアの共依存関係を断ち切る

一連の慣習を通じて僕がエンジニアとして感じたのは、会社側が大切にしているのは “組織として延命することだけ” ということ。会社はエンジニア個人の未来をほとんど考えていないということです。

その実情を知って「僕たちエンジニアは技術屋として生きていかなきゃならないのに、会社の飲み会や社員旅行だとか、若手の面倒見るだとか、なんでそっちを優先させられるんだよ!もっとエンジニアのことを考えてくれよ!」と、強い怒りを抱えていました。

一方でエンジニアたちは会社がなければ食っていくことはできないので「会社のせいで自分は大変な思いをしている」「会社のせいで給与が上がらない」と愚痴を言いながらも、辞めないでズルズル働き続ける人が多いのも事実です。

つまり、”会社” と “エンジニア” の泥沼の共依存関係により、エンジニアの給与が低くても SES が成立してしまっていました。

だからこそ、この共依存関係を断ち切って、同じようなフラストレーションを抱えるエンジニアに対してもっといろんなものから自由になれる仕組みを作りたい。会社とエンジニアの共依存関係に依らない SES を作りたい。
そのためには、三方よしを前提とする「高還元 SES」だと考えるようになりました。

なぜかというと、もしエンジニアが高い給与をもらえたら、その使い方や行動にもいろんな可能性が広がるからです。還元された給与は、人脈を増やすのに使ってもいいし、テクニカルな勉強のために課金してもいいですし、それぞれが自分を高めるためにどこに課金しようか考えていくのが、それぞれの “自由” だと思っています。

そうして、「高還元 SES」でエンジニアを自由にしたかったんです。
それがクライアント企業へのサービス提供クオリティにも繋がると考えていました。

一人勝ちしてきた経営者の「高還元 SES」への反感

2014年に「高還元 SES」 でエンジニアの自由を実現する会社として立ち上げたリベロエンジニア。

一般的に SES で働くエンジニアの平均給与は売上の50〜60%程度だったところ、リベロエンジニアでは80%以上を還元。福利厚生レベルなど、セーフティネットも幅広く設定し、現在の「高還元 SES」市場でも最高レベルの還元をしてきました。

 SES 業界で80%以上の還元が可能であることを我々は示したのです。

▼リベロエンジニアの給与・待遇・各種制度

市場のエンジニアからはすごく高評価をもらったのですが、一方で競合他社からは批判もありました。

例えば、エンジニアにそんなに還元すると

・組織として力も持てないし、会社が保たない
・エンジニアに対してケアができなくなる
・設備投資すべき部分もできない etc 

SES を事業とする企業はカルテルのようなものです。
SES 企業同士がみんなで似たようなことをやって、給与相場が決まっています。

どこかの企業が頭を出すことがない限り「SES 業界はどこも給与が少ないから」と経営者が先に TAKE して、経営者が一人勝ちするのが現実でした。

そこにリベロエンジニアを始め「高還元 SES」 の数社が台頭し、高還元でも会社が成り立つことを証明してしまったら、いままでエンジニアたちにかけていた “まやかし” “魔法” みたいなものが解けてしまいます。

そんな中、僕は Twitter を始めとする SNS でエッジを効かせて

「そんなことでエンジニアのモチベーションが上がるわけない、
 SES はネガティブな世界だと思われていたけれども、
 高還元 SES でそれらをクリアできる」などと発信していました。

反発を受けてもなお、着々と「高還元 SES」でも会社は成立することを証明し、魔法を解いていきました。

3. 「高還元 SES」の終焉

「高還元 SES」に立ちはだかる “死の谷” 

「高還元 SES でも会社は潰れないんですか?」
これはよく聞かれる質問です。

会社経営には “死の谷” があり、単純に高還元ばかりをうたっても利益が少なく、ある一定のタイミングで高還元ゆえに経営が立ち行かなくなる可能性があるのは事実です。
よって、全ての「高還元 SES」が生き残れる訳ではないと思っています。

そもそも「高還元 SES」 を実現するためには潰れない資金源があることが前提で、月給以外の福利厚生がなかったり、経費削減のためスタッフメンバー不在でサポートがなく、社員のケアができないのでは本末転倒です。

リベロエンジニア含め「高還元 SES」 を牽引した数社は、その "死の谷" を三者三様のアプローチで乗り越え、「高還元 SES」を実現させています。

「高還元 SES」 の崩壊

元々、ロースキルの若手エンジニアの給与は、還元率としては「高還元」でした。
ですが質の低い仕事で経験は積めず、単価も低いため給与自体は手取り16〜18万円程度で満足できるものではありませんでした。

そこに持ってきて数社が牽引した「高還元 SES」 が広まった結果、そのような他社もただのバズワードとして「高還元 SES」を使うようになりました。

だから、僕はリベロエンジニアが考えていた本来的な意味での「高還元 SES」はもう終わった。

と言っています。

僕が考える本来的な意味での「高還元SES」を満たす会社の条件は以下の5点です。

  1. 単価×65%以上の額面給与(社保の会社負担分を合わせた場合の還元率は80%超)

  2. 参画案件の選択が可能

  3. 会社負担での有給、交通費の支給、待機期間の給与保証、その他福利厚生

  4. 関東ITソフトウェア健康保険組合に加入

  5. 派遣の免許を取得している

関東 IT ソフトウェア健康保険組合は会社の財務状況などを加味して審査されるため加入条件が厳しいと言われており、その上、派遣の免許を取得するのは資産要件のハードルがかなり高いのです。
そのため、特にこれら2つの条件が揃っていれば、その会社は運営もしっかりできているし、死の谷に陥ることなく「高還元 SES」という理想をしっかり運営できると客観的に評価できます。

この条件を満たさない会社は「高還元 SES」をバズワードとして使っているだけで、この利益率で「高還元 SES」 を謳ってしまって大丈夫なのか?“死の谷” を越えられるのか?と個人的には思ったりしています。

本来的に僕が目指していた「高還元 SES」 は、自分がエンジニア時代に抱えていたフラストレーションを解消するために考えた、エンジニアから始まる、エンジニア・クライアント・リベロエンジニアの「三方よし」の実現です。

少しでもエンジニアの待遇をよくしたい、エンジニアにもっと自由になってほしい、という想いがあり、あくまでそれを追求するための手段が「高還元SES」でした。でも、バズワードとして「高還元 SES」を使う後発の企業は、本来の意図から外れ、単にマーケティング手法として「高還元 SES」をうたってしまっています。

何のために「高還元 SES」 をするのか?
「高還元 SES」 でどんな課題を解決したいのか?
「高還元 SES」でエンジニアたちにどうなってもらいたいのか?

もし高還元 SES の会社に興味がある場合、選ぶ会社の基準はこのストーリーが最も重要であり、その会社の根っこの部分がどこにあるのかをしっかり見極めてほしいと思います。

4. 高還元型の SES →共有資産型の SES へ 

10年の会社員エンジニア時代のフラストレーションが原動力となり、僕なりにこの SES の世界にはもっとエンジニアが自由になれるやり方があると考えて「高還元 SES」に取り組んできました。

それが現在のリベロエンジニアです。

初期の SES バージョン1.0は本社を会社とみなし、いかに本社に社員を来させるか?帰属意識を持たせるか?に取り組んでいた “会社ごっこ” の時代。

その後はバージョン2.0になり、その “会社ごっこ” から、エンジニア個人にフォーカスした形になりました。例えば、シンボルとして本社はあるのですが、本社を会社としてみなすのではなく Slack 上に会社があるような雰囲気です。より個人にフォーカスしてリモートワークや「高還元 SES」など、余計なものを省いてみんなでしっかり個人も利益を享受できる、あるべき形になりました。

でもバージョン2.0の「高還元 SES」も、すでに書いたようにもう終わりました。

そこからリベロエンジニアが描く一歩進んだ未来=バージョン3.0 において、組織はより一層柔軟に形を変えるようになり、会社ではなく資産を作るとか、金銭的・金融的なリソースをみんなで持ち寄るコミュニティになっていくと思います。
会社=コミュニティ全体をヒト・モノ・カネ・情報のリソースとして捉えて必要なときに必要なリソースを調達。物質的、体系的な会社組織からアメーバ状の常に姿を変える概念的な組織体系へ。

そのコミュニティは相互扶助の持ちつ持たれつの関係になっており、共有されたリソースで、自分のやりたい事(自己実現)にシンプルにフォーカスできる世界が実現すると思います。

SES バージョン3.0=共有資産型 SES を一緒に作っていきたい人は、お気軽にご連絡ください。


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