DXを実施する際の経営リソースの壁

 DXをやるということは、あらゆるアーキテクチャを変更することであり、変わった後の行き先を準備する必要があるため、経営者は相当の根性が必要になると思う。
 何故ならば、受け皿は、既存の仕組みではほぼできず、リソースが足りない中兼務でできるようなものでもなく、新型コロナ渦というマクロの変化があって危機感を持って対応をしたとしても、リソース不足により、組織や人が耐えきれないという問題を抱える事になると思う。
 ICTベンダ各社が、SaaSやマネージドサービスを提供してくるため、緩和をしてくれると思うが、それも生々しさが足りず、ユーザサイドの根本を変えるという変革(Transformation)ならず改善で終わる。
 むしろ、新型コロナ渦によって財務が痛み、受け皿作りに投資することが難しくなるため、相当のリストラクチャリングをしないと、投資の原資も捻出できないと思う。

経営リソースの壁

 経営リソースといえば、人、モノ、金、情報(ノウハウ含む)である。DXを乗り切るためにクリティカルなのは、お金で解決できない人の部分がボトルネックになる。また、お金がなければ、人やモノ、ノウハウも調達できない。つまり持っているリソースで重要な順で言うと、人>金>モノ>=ノウハウのように見える。

人の壁の乗り越え方

 採用、育成しかない。何故ならばDXを本当の意味で成功をしている、ベンダは無く、DXは経営改革であるため当事者である経営陣やシニアマネージャーが実施しないと意味がない。
 今、DX人材の引き合いが多い。色々な経験をしたDX人材は引く手あまたで、コンサルファームが買いあさっていると思う。そんな中、従業員として良い人を採用するには、企業のVisionとMissionがクリアになっていないことには、本当に優秀な人材は採用できない。つまり、経営者の根性が試される。新型コロナ渦により厳しい毎日が続いていたとしても、経営者が腹を決めて、経営をしていないと良い人材が集まらない。
 また、業務委託の人も「本当に優秀な人は」仕事を選んでいると思う。将来の自分自身が価値のでる仕事をやりたいと思っている事だけは間違えない。何故ならば、未来のビジネスモデルの不確定要素が多く、それに適用している職場で仕事をしていると未来が見えてくるからだ。DXを推進できる良い人を集めるのは本当に難しい。

金の壁の乗り越え方

 コロナインパクトで、キャッシュの重要性が増している。そんな中、積極的に未来へ投資をできるVisionの元に経営を進められるかどうかが、未来のビジネスの勝敗がかかっていると言っても過言では無い。
 DXとはビジネス、組織、ICT全てのアーキテクチャの変更を必要とするだけに、会社の中に別の会社を作ってその組織アーキテクチャで仕事をするようなアプローチが必要になり相当の投資が必要である。もし、その事業体の財務体質が痛んでいる際にそのアプローチができるだろうか?厳しい。
 経営者に相当の信頼感がなければ、資金調達はきっとできないだろう。固定費を下げて、投資に回すということにTryをしてもそう簡単にはできない。
 しかし、どのようなアプローチを取るのか今まさに問われている。

受け皿チームの作り方

 やる気のある人だけでただバーチャルチームを作るというのは間違えている。やるべき事は、別会社にして、そこで有望な人材を確保して、そのチームにいずれ仕事を引き渡すつもりで、枠組みをつくる。経営リソースが厳しい中、社内で競争させたりするのは意味がほぼ無い。今のような有事には、協調できる枠組みを作り、前に進めることにより、受け皿チームを別で作るコストを下げられる可能性がある。

競争させずにどうするか

 仕事の内容を明確にサービスとして定義し、そこのKPIをボトムアップで決めさせるのではなくトップダウンでそれを決めて、サービスの責任者になってもらうことである。やる気だけで仕事をやらせると、隙間やコンフリクトが発生し、効率が下がるだけではなく、貴重な従業員という財産を失うことになる。多くの日本企業ではJob Descriptionが甘かったり、組織を作ってから仕事を丸投げするため、既得権益ができやすく、その権益を持つひとが周囲に悪影響を及ぼすことが多い。
 もし、経営チームがDX型になっていれば、下記の固定費削減をするというメスを入れる前に、ある程度の原資を作る事ができるかもしれない。

経営陣のDX

 まずは、経営陣がDXできていないことが最大の壁だったりする。デジタルを使いこなせていない為、仕事のQCDが良くないと事が良くある。
 会社のアーキテクチャを変えるロードマップを作り、そこに向かった骨太の方針を決めて、そこからぶれないように四半期でKPTをする。つまり全体の仕事を明確にし、できた/できていないを明確にすることである。さらに、明確にした仕事を柔軟に変更できる仕組みをつくることである。ここまで経営陣が踏み込んでいけるか、、、それな無いと厳しい。もし、そこに無駄なお金や時間をかける余裕があるならば、DXアーキテクチャを作る企業を急いで作ってそこへ投資をした方が良いと私は強く感じる。

固定費の減らし方

 実力主義の人事制度にするのが最も手っ取り早い。DXは既存の権益を壊す事が多く、その権益にはムダが多い確立が高い。そこにメスを入れて、人件費に手をつけることが、最終的に会社にとってプラスになる。
 ハードルレートを超えていないビジネス、配賦が適切にされていないためKPIが間違えているビジネス、凝り固まり、新しいエコノミクスに適応できていないビジネス、実力が不十分なのに管理職でいる従業員。。。 全員を幸せにはできないと考え、ギリギリまで考え、固定費を減らす。

Next Step

 DXに特化した会社に良い人を集めて、DX型アーキテクチャ(ビジネス、組織、ICT)をそこで作ってもらうというのが成功の秘訣になると改めて感じており、その原資を作る、クリティカルな経営リソースである人材を確保する、その後それらを実現するために必要な経営リソースを補う、このようなアプローチが今後は必要になりそうです。

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