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事業計画の作り方 ~Part1 現状把握と経費予測~

こんにちは。SKPです。
銀行などの金融機関に融資の依頼をする時、新たに事業を始める時、来期の見通しを検討する時…など、いろいろな場面で『事業計画』というものを作ります。

これから「どうしていく」という言葉・コメントも記載していくのですが、大元となるのは「数値による計画」です。

売上がこれくらいになる、経費がこれくらいになる、利益がこれくらいになる…といった具合ですね。来期の計画数値は「予算」とも呼ばれます。

ある程度の規模の会社・事業者は毎年こういった計画を作るのですが、中小零細企業はこの「事業計画」を作っていない、ということもよくあります。

事業を行っていく上では「先の見通し」を考えておくことは大切で、事業計画があった方がいいのですが、これを作るのが『難しい・面倒』と思う人が多いようです。

中には税理士さんに丸投げ…というところもあるようですが、その事業について最も詳しいのは「その事業を行っている人」ですので、本来「自社の計画は自社で」が最も精度の高い計画が作れます。

今回から数回に分けて、そんな「事業計画・数値計画」の作り方・考え方をご紹介します。

事業計画は長期(10年ほど)で作成するのが良いとされますが、それは難易度が高いため、難易度が低い短期(1年~3年)計画の簡易的な作成方法となります。

1.状況把握

まず計画を作る上で確認しなければならないのは「今どういう状態なのか」ということです。特に1~3年の事業計画を作るのであれば「直近の数値」というのが最も参考になる値ですので、それを確認・分析します。

『分析』と書くと難しく感じますが、ここでは『普段どれくらいの経費が掛かってる』くらいが分かれば大丈夫です。

具体的に見ていきましょう。まず、ここでは次のものを用意します。

・直近2期(現行期含む)の月次推移 損益計算書

キャプチャ

使っている会計ソフトによって、出力される様式は異なりますが、イメージは上の画像のようなものです。できるのであれば、加工しながら計画が作れるようにExcel・CSVデータで準備しましょう。

これを2年間分見ながら、販売費及び一般管理費の内容で「経費がどのようにかかっているか」「臨時的な経費があったか、なかったか」を確認します。細かく言うと、

【確認項目】
1.毎月ある程度一定額(固定で)かかっている経費はどれか
2.毎年、同時期に一定額かかっている経費はどれか
3.毎年、年間で同じくらいの金額がかかっている経費はどれか
4.売上の金額に応じて増減する経費はどれか
5.その年だけしかかかっていなかった臨時的な経費はどれか

を確認するということです。これは仕訳毎など、より細かく確認していくとより精度の高い計画になりますが、慣れないうちは、ザックリと『勘定科目』を一つの項目として確認する程度で良いでしょう。

実際の確認作業では、Excelで各項目毎・該当するセルごとに色を分けたりしておくと分かりやすいですし、後々の作業がしやすくなります。

確認項目1~3は、内容は少し異なりますが、結果として「例年同じくらいの経費は発生する」というものです。ということは、これらの項目に該当したものは『翌年以降も同じ水準でかかる』となりますので、そのまま事業計画に組み込めます。

確認項目4は、売上高に応じてかかってくる経費が変わってきますので、大体「売上に対してどれくらいの比率」でかかっているのか、を確認します。2年間の『比率』の平均値と現在の傾向(増えているのか減っているのか)をここで把握しておきましょう。

この4の項目が、金額や比率的に、全体に占める経費の割合があまり大きくなく、全体・計画に与える影響があまり大きくないのであれば、1の項目に該当するとしても構いません。

確認項目5は、臨時的な経費・支出となるため、翌期以降はこの経費はかかりません。そのため、除外するものとして確認をしておきます。

2.経費予測の策定

1.状況把握ができたら、まずは「現時点」での経費予測を作成します。これがこれからの「事業計画」を作るベースとなります。

といっても、1.状況把握をExcel等でまとめてあればそこまで難しいものではありません。どのように行うかというと、先ほど確認した確認項目で、

・項目1~3は、直前期の数値をそのまま当てはめる(つまり編集しない)
・項目4は、いったんよける(比率だけ別にメモして、数値を0に)
・項目5は、5(臨時的な経費)に該当する金額を減額する
・来期の減価償却費予定額を確認し、予定額に変更する

ということをします。これで「毎月・毎年、一般的(固定的)にかかっている経費」が月別でまとまっている「現状での経費予測」が完成します。

なお、減価償却費は「建物や車両などの資産」の増減がなければ「今後の経費予定額」は決まっています。自身でこの金額が分からない場合は、税理士さんに確認すれば教えてもらえます。

ここまでできたら、『来期に追加でかかる予定』『明らかに減る予定』経費をピックアップします。例えば、

・人員増加予定なので、4月以降、給与を月額30万円増加
・人員増加につき、4月以降、社会保険料10万円増加
・入社初年度につき、増員分の賞与は考慮しない
・8月にパソコンの入れ替えを予定し、消耗品費を通常よりも20万円増加
・3月に駐車場を解約するため、3月以降地代家賃を4万円減額

といった具合です。

このように「何によって・いくら・増額減額するのかの予定」項目を書きだします。あくまでも予測なので、今考えることができる・予定している増減項目だけで構いません。

この項目の書き出しは「後から見た時に、なんでこうなったの?」を確認・見直す時に必要となりますので、必ず残すようにしてください。

項目を書き出したら、先ほど作った「現状での経費予測」にこの項目の金額を加算・減算します。これで「来期経費予測(固定費)」が完成です。

なお、今のところ「大きく経費が増減する予定がない」という場合は「現状での経費予測」がそのまま「来期経費予測(固定費)」として使うことができます。


今回は、事業計画を作る上でのベースとなる「経費予測を作るまで」を紹介しました。事業計画は作らなくても、「1.状況把握」で紹介した内容は普段から使える分析ですので、良かったら試してみてくださいね。

次回は、この「来期経費予測」から「売上計画」へと移っていきます。


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