事業計画の作り方 ~Part3 見直しとプラン~
こんにちは。SKPです。
今回も引き続き事業計画の作り方を紹介していきます。
前回までで、一旦「仮の損益計画」が完成しました。『仮の』と付けているのは、『これで決定ではない』という意味です。
というのも、前回作成した「損益計画」は『希望する利益』から『売上高』を逆算して計算しています。そのため、この計画値だと、現実とはかけ離れている…なんてこともあり得えるのです。
例えば、昨年まで「年間売上2000万円」だったのに「来期予測の売上が5000万円」となった時、それで組んだ計画書は現実的でしょうか?
もちろん、そのための具体的な対策・手法があれば別ですが、普通に考えたら「良く見せたいだけの数値」としか受け取れません。そのため『4で作った仮の損益計画』を基に、より現実的なものへと近づけていきます。
5.「売上高」を現実的な数値へ近づける
まずは『今は理想の金額』となっている「売上高」を実現可能・現実的な金額へと変えていきます。
この時、「何で・いくら売上がある予定」というのをメモしながら変えていくと後々わかりやすいです。『4.仮の損益計画』の時の工程で、
・原価の欄 :月間売上高 × 原価率
・販管変動費の欄:月間売上高 × 対売上比率
をExcelの数式で組んだ方が良い、と言ったのは、このように「売上高を後で変更する前提」だったためです。
「売上高」の予測や計画ができない、と言った場合には『保守的に、前年同月の売上高』としておくのが良いでしょう。
事業計画を作成する時、計画書の見栄えを良くしようと『明らかに不可能な売上高』や『利益が出るように調整した売上高』で作成する人がいますが、実現の可能性が低く、信ぴょう性の低い計画となってしまうため、むしろ『計画書に対する評価』が低くなってしまいます。
『理想の計画』はあっても良いですが、今回の作業はその『理想』と『現実』のすり合わせとなります。
売上高を「現実的・実現の可能性があるもの」としたら、利益がどのようになったのかを確認します。「期待した利益」があるでしょうか?
一般的に、この時計算される利益は「当初に期待した利益」よりも小さくなっていることが多いです。しかし、これが『現時点での最も現実的な損益計画』となります。
では、ここからどのようにしたら「期待した利益」が得られるのか。ここからはそれを検討・考えていきます。
6.アクションプランを練る
これは『行動指針』とも言いますが、先ほどの「現実的な計画」を理想に近づけるために『具体的に何をしていくのか』を項目出しし、「いつ・どれくらいの期間で・誰が行い・いくら影響がでるのか」をまとめます。
イメージはこのようなものです。
イメージでは5年間にわたって書いていますが、今回は短期計画の紹介なので1~2年のプランを考えればOKです。
これは「2.経費予測」で行った『来期に追加でかかる経費のピックアップ』と「5.現実的な売上」の『売上の予定』をまとめるようなイメージです。
しかし、現状の計画が「期待した利益」となっていない場合は、このピックアップした内容を「見直し・変更」し、それに沿って計画の数値を変える必要があります。
例えば、「2.経費予測」の時には、
・人員増加予定なので、4月以降、給与を月額30万円増加
・人員増加につき、4月以降、社会保険料10万円増加
・入社初年度につき、増員分の賞与は考慮しない
・8月にパソコンの入れ替えを予定し、消耗品費を通常よりも20万円増加
・3月に駐車場を解約するため、3月以降地代家賃を4万円減額
と、していましたが、現状を鑑みると「来期はパソコンの入れ替えはなくす」であったり、「社員ではなくパートタイム従業員とし、人件費の増加見込みを30万円から、15万円へ変更する」といった具合です。
逆に「計画値の売上を達成するために、車が必要となるため『車両のリース』を月額4万円追加する」という経費が増額する変更もあるかもしれません。
ここで大切なのは「不可能なプラン・曖昧なプランは書かない」ということです。
「期待する利益」に近づけるために「経費を月額100万円削減する」というプランを考えたとしても、急に100万円という経費が減らせるものでもありませんし、どうやって削減するのかもわからないため、実行される可能性は低い、と言わざるを得なくなります。
結果がどうなったかが判断できるよう、「具体的に・分かりやすく」がプランを考える上で重要です。
このようにして、「現実的な損益計画」から、理想に近づくための「行動指針」を明確にし、それを損益計画に数値として落とし込みます。
最終的に「利益」が当初期待した金額にならないかもしれませんが、これで『理想に向けた現実的な損益計画』が完成します。
今回までで「損益」の事業計画は完成しました。しかし、それによって現金。つまり資金繰りがどのようになるのかも事業計画には書かなければなりません。
次回は、損益から資金繰りの計画がどのように作られるのか、をご紹介します。
よろしければサポートをお願いいたします。サポートいただいた資金は活動費へと充てさせていただきます。