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恋愛について


別れは突然にやってきた。
僕から彼女に別れを告げた。

ひと月前に1年5ヶ月付き合っていた彼女と別れた。
社会人になって初めての彼女だった。社会人になるとほんとに出会いというものはなくなる。
学生とは違うのだなと思い知らされる。学生時代はほんとに出会いが多かった。付き合う付き合わないの選択が出来た。
数年前にマッチングアプリもやってみたが本気になれない自分がいた。マッチングアプリでのやり取り、通話機能を使ったり、実際に会った人も居たがその先には繋がらなかった。

そんな中、彼女と出会いお付き合いが始まった。
告白は彼女の方からだった。
初めてプライベートであった日はカフェで営業時間終了まで話していたことは記憶に新しい。
その日は彼女の実家で待ち合わせだった。
駐車場には僕と同じ車の色違いが置いてあった。「この車誰が乗ってるの?」と聞くと彼女が乗ってるとのことだった。カフェでは誕生日等の些細な事も話した。彼女の誕生日は僕の誕生日の1日後だった。そして、社会人になってからの出会いはひょんな事だったが、僕たちは高校1年で同じクラスであったのだ。話したことはないけども。
変な共通点があり偶然なの?必然なの?と会話は盛り上がっていた。
彼女と過ごした日はとても心地の良いものだった。
僕が知らなかった世界を教えてくれたし、僕の知っている世界も教えたりお互いに刺激があり充実していたと思う。

しかし、互いの方向性は違っていたのは最初から分かっていたし、僕は目を逸らしていたかった。
彼女の考えが変わるという僕の希望的観測だった。

付き合って半年が経とうとしていた彼女の誕生日、今後のことについて話をした。
彼女は「結婚を前提に付き合いたい」と言った。
僕は"結婚"という言葉に僕は驚いた。
この先もダラダラと付き合うのか、別れるのか、はたまた次のステップに進むのかそういったニュアンスで聞いたが、なぜか結婚に対する僕のイメージは欠落していた。年齢的にも29から30歳になる年だったので結婚という言葉を直接聞いて自分の中で考えた。
そして告げた言葉は、「結婚を前提にお付き合いしよう」だった。
ここで僕は結婚に対して色々と意識し始めるようになった。
毎月ゼクシィを買ったり、結婚や同棲、お金の管理方法について書籍を買い、彼女と一緒にその書籍を見たりした。
でもなぜか"結婚"というものがイメージ出来ないでいた。行動に出やすいようで、ゼクシィも未開封のまま机の上に積み上げられている。
付き合って1年目の記念日ということで贅沢をしてお高い温泉旅館に泊まった。朝目覚めて何を思ったのか、僕は彼女に向かって、「来年結婚しよう」と言っていた。
会社の人からアドバイスを貰い、"結婚は勢いも大切"と言われたので言葉にしてみたのだ。
彼女は喜んでいた。でも僕の心の中はもやもやし続けていた。このもやもやは付き合う前からあり、日々大きくなり続けていた。
結婚する前に同棲しようという話になり必要なものを話し合っていた。
彼女が同棲先を見つけまず一人で生活していく。そこに遊びに行く形をとり、慣れてきたら僕がそこに住むという方向で決まった。
僕たちはぶつかり合う時や、何かを決める時はふたりで話し合いをするようにしていた。この点はよかったと思っている。


彼女には決して揺らがない強い芯があった。言葉を変えると頑固、我が強い。
それは、今住んでいる実家付近以外では暮らしたくないというものだ。
これが僕にとっては最大の障害であった。
理想の生活について付き合う前に話したことがあったが、そこで彼女はこの気持ちを僕に伝えていた。
僕はそういう人がいるといいね。なんて言っていた。
彼女の理想が高すぎるのだ。
僕は彼女のわがままは極力叶えてあげようと努力した。
彼女が運転したくない、人を乗せた運転が怖いと言っていたのでお出かけする際は毎回家まで送り迎えに行った。
あまりお金を出す感じがしなかったのでほとんど僕が食事や旅行代金を支払った。
この辺はまだ許容できた。

同棲する拠点については上辺では許容していたが、本音は絶対に嫌だった。
僕は今の家から会社まで車で約1時間通勤でかかる。
起きるのは毎朝5:30だ。
残業で帰宅したら21時前になることだってある。
仕事がある日は21時には寝たいがそうもいかない日もある。
僕の家から彼女の家まで15分かかる。会社まで近くなればいいが方向が逆である。
したがって通勤時間、距離ともにさらにかかる。
僕にとって許せないのは今より通勤に時間がかかることである。
朝の数分のズレは大きく響く。僕は通勤に毎日2時間。早起きで1時間、計3時間以上損しているので、これ以上状況が悪化するのは許せないのだ。
彼女も同じ隣のまちに職場があるので、隣のまちで暮らせばいいと思うのだがそうはいかないみたいである。
どうもこの土地から離れたくないという強固な意志があり、僕はその意志に全く心が動かされなかった。建前はこの土地で一緒にと思っていたが、本音は無理であった。最後に自分がかわいくなり優先になったのだ。
でもこれは譲るべきではないと、英断だっと思っている。それでなければ僕のからだはぼろぼろになっていた。そこまで彼女と結婚したいと思わなかったのだろう。居心地はよかったが、好きとか愛しているとかそういうものが付き合っているうちにだんだんと分からなくなっていた。勢いじゃダメだと感じたのと、気持ちがなくなっていくのに恋愛とか結婚とか言えるのかと自問自答する日々があった。
そして、僕の中で壊れたこと言葉は、どれだけ疲れて帰ってきても同棲先から私が応援してるって言葉だった。応援でどうこうできる問題ではないのだ。
お互いの理想の生活について話した時に、僕の理想の生活についても話した。
僕は職場に近い場所を拠点として住みたいのと、地元のまちではなく、隣まちの人と一緒になりたいというものだった。
彼女の条件とは全く違った。でもその気持ちを押し殺していた。いや強く言えなかった。
僕は争うことが嫌いなので、丸く収めたい人間だ。
こんなことをしていたらいずれ不満が爆発するだろうと先を見据えて彼女との別れに切り出した。

彼女も薄々分かっていたようだった。
僕の幸せは彼女にとっての不幸せであり、彼女の幸せは僕にとっての不幸せであるからだ。メリット、デメリットで考えると僕にとってデメリットでしかない。ストレスは溜まる一方である。


カラオケで歌ったTani Yukiの"W/X/Y"から優里の"ドライフラワー"に変わった瞬間だった。

今まで付き合ってくれてありがとう。
素敵な時間をありがとう。
居心地はよかったけど好みのタイプではなかった。
ドキッとした瞬間があったのか思い出せない。
出かけるたびに助手席で話していた職場の愚痴には正直うんざりだった。話は聞いてあげたいと思っていたが車内での僕の気分は最悪だった。
突然の終わりだけど、これは必然だったと思う。

僕は後悔はしていないし、この期間は僕の生活にないことに溢れていた。いろんな場所にいっていろんな思い出、食べ物を食べたことは僕の経験として積み重ねられているよ。
別れを告げた時に僕は哀しさはなく、やっと言えたという清々しい気持ちであった。
それと同時に彼女にはもっと早く伝えるべきだったと思った。
この先交わらないと分かっていたのに1年以上も付き合わせてしまっていた。希望的観測でしか過ぎなかったのだ。
僕はこの経験を次の出会い、恋愛に活かそうと思う。
彼女はダメージを負ったかもしれないけど、同棲先と決めていた貸家で僕がいなくても楽しく暮らしていけそうなので僕も心配はしない。
意見が衝突した時にどちらかが折れて、すり合わせしなければならないけど、ほんとに譲れないものは譲ってはいけないということを僕はこの恋愛から学んだ。
僕は優しすぎた。衝突した時にはっきりと意見が言える人になりたいと強く思った。

P.S
ちょくちょく追記します。


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