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トウモロコシ

お祭りで食べた焼きトウモロコシが美味しくて今もよく食べる。塩茹でにしてそのままがぶり、祖母の家でも作っていた。祖母はトウモロコシをほぐして鍋でいっていたらしい。すると、豆がはじけて飛んで困った、という。あの時こんな食べ方を知っていたら良かったのにと母が笑う。戦後食糧難の時こんな不便な田舎まで食料を求めて、街の人達が、訪れた。綺麗な着物を持ってこれで何か食べる物をと懇願してきた。祖母は着物を受け取らず出来るだけ食料を分け与えた。母はまだ十代だった。一枚だけ綺麗な着物があった。きっと母を見て託したのだろう。叔母が嫁入り道具にした。白地に華やかな花の着物だつた。