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第一章 マンデラエフェクト〜マンデラエフェクトの意味

この記事はマンデラエフェクトを説明するものですが、それにはあの世の説明、エイリアンの説明、そしてタイムトラベルの説明までが必要です。なるべくわかりやすく書いたので、結構長めの記事になっていまいました。

全体の流れ

第一章 マンデラエフェクト

第二章 ジョン・タイターが引き起こしたマンデラエフェクト

第三章 停点

第四章 停点理論

第五章 記憶と人間存在

第六章 世界は振動によってできている

第七章 分岐する世界線

第八章 マンデラエフェクトの意味

あとがき

2024/9/2追記
要約ページを作りました
https://note.com/siyoh/n/nb9ee80d62b41

以下、本文開始

第一章 マンデラエフェクト

マンデラエフェクトの始まり

フィオナ・ブルームはネルソン・マンデラが監獄で亡くなったと思っていた。彼の葬式に関するニュース、南アフリカ全体が悲しみに包まれ暴動が起きたこと、未亡人が感動的なスピーチをした記憶まであるのに、実際のところ、彼は存命していたのだ。

彼女は長年幽霊を調べていて、北アメリカのアニメ、ゲームなどの祭典ドラゴン・コンに毎年ゲストスピーカーとして呼ばれていた。2009年、そのVIPルームにいた彼女は他のゲストたちといろいろな「変な」逸話を話していた。その会話にセキュリティマネージャーが「それって、ネルソン・マンデラが何年も前に亡くなった記憶のある人たちに似てますね」と口を挟んだとき、皆の会話が一瞬止まった。ブルームは彼に自分の記憶について話したことはない。すぐに彼らは、VIPルームの中の数人が同じ記憶を持っているのを知ったのだ。そして誰かが「この現象をマンデラエフェクトと呼ぼう」と言い出し、ブルームはその日ホテルに返ってからmandelaeffect.comのドメインを取得した。

同じ2009年の映画「インビクタス」で初めてネルソン」マンデラを知った人も多いかもしれない

ネルソン・マンデラについて同じ記憶を持つ人たちの書き込みが、このサイトに集まってきた。さらに2013年、彼が亡くなると、英語圏の大型掲示板として有名なRedditにマンデラエフェクトのトピックが立ち、同じ記憶を持つ人が如何にたくさんいるかがわかってきた。また他の有名人の生死、映画の台詞、地理、特定の事件などに関する記憶違いの例も集まり始め、マンデラエフェクトの言葉は市民権を得てきた。なお、mandelaeffect.comはあまりにアクセスが多くなり一旦閉鎖されたが、集まったコメントはブルームによって出版されている。

概説を書いたバージョンと、詳細なコメントを書いた数冊に分かれたバージョンとが出ている。

社会的・地理的に関わりのない大勢の人々が事実と異なる記憶を共有しているのに、その情報源が一切存在しない。この現象、マンデラエフェクトは英語圏での事例が非常に多いが、日本では、実は2009年以前からこの手の記憶違いが話されていた。

日本のマンデラエフェクト

宮尾すすむ氏(以下敬称略)は1990年代、タレント、俳優、クイズ解答者として有名になっていた。彼がリポーターを勤めた、『モーニングショー』の人気長寿コーナー「宮尾すすむのああ日本の社長」をもじった、「宮尾すすむと日本の社長」というバンドが脚光を浴びたこともあり、彼の名前はそれなりに広がっていた。その彼が2007年、運転中に意識が薄れてしまい接触事故を起こすと、翌日の6月1日、2チャンネルにその事故を伝えるスレッドが立った。そこに早速「あれっ?  何故だろう。何年か前に亡くなってたと思ってた。 ご存命だったんだね。」「えっ!?!?生きてるの!?!?……あれっ(?_?)」といった書き込みが寄せられた。

当時のスレッドの様子

このスレッドに書き込みした一人が、9月9日に「何年か前に、宮尾すすむ(1934年3月8日~)の死亡ニュースをワイドショーで確かに見た記憶があるんですが、そういう方はいませんか?」というスレッドを立てた。その人は息子さんが喪主を務めていたのもはっきり覚えているという。これに対して若干の同意はあったが、この話が本格的に広がるのは宮尾すすむが2011年に亡くなってからだ。彼が7月12日に逝去すると、18日に「宮尾すすむがもっと昔に亡くなっていた記憶」というスレッドが立った。ここには下記のいろいろな賛同とともに、他の芸能人の話や、いろいろな記憶違いの話が出てきた。

「宮尾すすむが入院したニュースを見て、『死んでたはずじゃ!?』と愕然とした。
10年以上前に亡くなったニュースを見た記憶があるし、ワイドショーかなにかで宮尾すすむと日本の社長からのお悔やみコメントを見て懐かしいと思った事も覚えてる。」

「草野仁が司会してたワイドショーで、宮尾すすむの葬式やってた、奥さんじゃなくて遺影が宮尾すすむ。草野さんお悔やみも言ってた。生前葬ではないし、息子も葬式出てた。
当時イカ天出身のバンドが、宮尾すすむと日本の社長でそこそこ売れてて、宮尾すすむ亡くなっても名前そのままかなぁ?と思ったから記憶違いではないはず」

「宮尾すすむの件はどうにも説明がつかないんだよな。俺もたしかに1997、8年あたりに
大学の空き時間か何かに自分の下宿アパートでワイドショー見てたら、宮尾すすむの葬儀が中継されたのを記憶してる」

このスレッドは2024年8月現在、「【マンデラ】現実と違う自分の記憶99【宮尾すすむ】」というタイトルで、今も続いている。次に、そのスレに出てきた記憶違いや、その他に言われているものを紹介しよう。いくつかは日本だけでなく、世界的な広がりを持った記憶違いだ。この中に皆さんが共感するものはあるだろうか?

【映画・映像】
・『天空の城ラピュタ』には別エンディングがある(ジブリは否定している)
・スターウォーズのC3POは両脚ともすべて金色で銀色の部分はない
・タイタニックでジャックは自ら板から手を離した
・E.Tに少年と指を合わせるシーンがあった
・巨人の星のアニメOPで、星飛雄馬が整地ローラーまたは古タイヤを引いているシーンがあった
・JR東海のCM「そうだ京都行こう」は「そうだ京都に(へ)行こう」だった
・白いヒトガタが踏切に合わせて交互に消えるCMがあった

【歌詞】
・ドラえもんのうたの歌詞は「こんなこといいな」ではなく「あんなこといいな」で始まる
・メリーさんの羊の歌詞は「メリーさんのひつじ、メエメエひつじ」ではなく「メリーさんのひつじ、ひつじ、ひつじ」
・『タッチ』主題歌の一節が「ため息の花だけ~」ではなく「ため息の数だけ~」
・クイーンの「伝説のチャンピオン」の最後の歌詞は「of the world」

【歴史的事実】
・ケネディ大統領暗殺時のオープンカーは6人乗りではなく4人乗り
・アポロ計画で月面着陸したのは6回ではなく1回か2回だった
・天安門事件の無名の反逆者は戦車の前から立ち去ることはなく轢き殺された
・マザー・テレサは2016年ではなく1990年代に聖人になった

【地理】
・ニュージーランドとオーストラリアの位置が全然違う
・日本は韓国や大陸からもっと離れていた
・南米大陸はもっと西寄りにあった
・桜島は九州と陸続きではない
・都道府県は48(実際は47)で岡崎県があった
・京都に海はない

【人体】
・胸骨はなかった、あるいはあっても、肋骨の下の数本は胸骨とつながっていなかった
・頭蓋骨の眼の奥に骨はなくそこは穴
・心臓はもっと左にある
・肝臓は胃の下にあってもっと小さい

【その他】
・ドリカムがメンバー内で結婚した
・小室哲也が薬物で逮捕された
・24時間テレビが全局放送されていた
・モナ・リザはこんなに微笑んでいなかった
・ロダンの考える人の手は拳を握って額につけていた
・原爆ドームには銅葺きで緑色の屋根が残っていた
・フォルクスワーゲンのロゴはVとWが繋がっていた
・キットカット(Kit Kat)のロゴにハイフン(Kit-Kat)があった
・日本の国鳥はキジではなくトキだった
・勉強の「勉」の「力」は「ム」
・「Yesterday」のつづりは「Yesturday」
・東京タワーは赤一色だった
・ピカチュウのしっぽの先端は黒だった
・モノポリーおじさんは片眼鏡をつけていた

加速するマンデラエフェクト

初期のマンデラエフェクトの多くは、思い違いだと言われればそれで済むものが多かった。しかしその思い違いのレベルが近年、だんだんと変わってきたように見える。スケールが大きくなってきたのだ。
コラムに書いた「人体」や「地理」のマンデラエフェクトをどう思うだろう。こうした記憶に同意できない人は、この手の人たちは全く無教養なのだ、と思うかもしれない。これらのマンデラエフェクトのうち、最初に言われ始めたのはオーストラリアとニュージーランドの位置だ。2015年、mandelaeffect.comにこんな書き込みが見られた。

「オーストラリアは絶対に、東南アジアの近くではないです」9.27
「オーストラリアはニュージーランド以外の島国と接していません。ニュージーランドは南東ではなく、北西に位置してました」9.29
「オーストラリアは細々した列島の近くにはいませんでした」10.29
「ニュージーランドがオーストラリアの北にあったのは確かです。私は飛行機に乗るのがとても怖いのですが、ニュージーランドだけは行ってみたかった。インターネットでニュージーランドの位置を何度も見ながら、とても美しいところだと思っていました」11.10
「ニュージーランドは二つの島ではなく、一つの島でした。場所はオーストラリアの北東で、形はブーツみたいではなく、そんな形の国はイタリアだけでした 」11.13
「ニュージーランドは自分にとっては、オーストラリアの北東でした」11.18

オーストラリアはインドネシア諸島のすぐ下にあるのだが、そうではないという人が多い。ニュージーランドの位置は一人だけ北西と書いているが、後の人は北東だと記憶している。この二国の位置に関して、日本でも2018年から「オーストラリアの場所がどうしても違う…私の記憶ではもっと東でポツンとしてた」「俺が昔いた世界ではニュージーランドはオーストラリアの右上にあった」などの書き込みが見られる。こうした人たちの記憶にあるオーストラリアの場所は、現在の場所から南東に4000kmくらい離れているようだ。そしてニュージーランドは北東だと覚えている人が多い。実は筆者もその一人だ。

筆者はあまり地理が得意とは言えない。それでも記憶の中のオーストラリアとニュージランドの位置だけは自信がある。なぜなら1983年の夏、親しい友人が長期でオーストラリアに行っていたからだ。筆者はその時、自分の持っていた地図帳の「見開き」のページにあるオセアニアを見ながら、「オーストラリアは結構寒そうだ」「でもニュージーランドまで行けばそれなりに暖かいのかも」「ニュージーランドはかなり近いけれど、やはり船ではなく飛行機で移動するのだろうか」ということを思った。これらは今の地理からは考えられない発想だ。そんな筆者は2019年、マンデラエフェクトのひとつにオーストラリアの位置を間違って記憶しているというのがあるのを知って、久しぶりに世界地図を見て驚愕した。筆者の目に写ったその位置は、全くあり得ないものだったのだ。

縁もゆかりもない海外の人が、自分の記憶を頼りに描いた世界地図。
これがなぜか筆者の記憶するオーストラリアの位置と同じなのだ。
https://youtu.be/EVwZPUsKSwI?si=LtP0RlHvgGkJTtwj

オーストラリアの位置と同じくらい大きいのが南アメリカの位置移動だ。南アメリカは現在よりも1500kmほど西にずれた位置だったと記憶している人がそれなりにいる。大陸というのは実は少しずつ移動しているのだが、多数の人の記憶にのみ存在する位置まで移動するには一億年以上かかることだろう。

redditの「How and when did you find out the reality has changed? Can anyone experienced reality change help with this?」に投稿された、記憶の中の南アメリカの位置


ちなみに、すべての大陸は昔パンゲア大陸というひとつのもので、それが分かれて移動した結果今の位置になったという説がある。これに関して、自分の夫を返して!と訴える2017年の興味深い動画がある。最初は公開だったのだが、現在は限定動画になっていてリンクを紹介できないのが残念だ。彼女の主張をまとめると下記になる。

  • 彼ら夫婦はパンゲア大陸について何度も話していた。

  • 彼らの記憶では、90年代の半ばになっても、まだこの大陸の存在が認められていない。

  • 初等教育の頃、旦那さんは大陸が分かれて移動するなんてありえないとバカにされ、その話を奥さんに今まで何度もしていた。

  • しかし彼は突然、パンゲア大陸は昔から認められていて、初等教育でそれを習ったと言いだすようになった。

  • 奥さんが調べてみると、世間一般に50年代から、すでに認められ始めていたことになっていた。

こちらを真っ直ぐに見つめ、感情的に切々と訴える奥さんの姿はとても印象的だった。実はこのように、ある日突然現実が変わってしまったという人は少なくない。マンデラエフェクトとこのように個人のマンデラエフェクト的な現象は一体なぜ起きているのだろう。本記事ではその原因を深く読み解いていく。まず第一の鍵となるのはタイムトラベラーだ。

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