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海や物流領域での活躍をサポート 商船三井のCVCによる投資戦略

背景


デロイト トーマツ ベンチャーサポートは商船三井を招き、スタートアップ企業に向けてオンラインセミナーを実施した。海運業は輸送に伴う温暖化ガスの排出量が多く、それをいかに削減できるかが喫緊の課題となっている。このため商船三井はリバースピッチを契機に、環境や中長期的に成長が見込まれる分野のスタートアップとの連携に力を入れていくことを目指しイベントの実施に至った。

「歴史に残る」と言われる市場環境の下、収益構造の転換を急ピッチで推進


コロナ禍に伴う巣ごもり需要の拡大などによって、コンテナ船の運賃市況は高騰、海運業の業績は「歴史に残る」と言われるほど好調だ。しかし、地球温暖化対策の一環として、石油・石炭といった化石燃料の輸送需要は減少する見通しで、商船三井は収益構造の転換を進めている。また、自身のビジネスモデルについても脱炭素という荒波も超える必要があり、こうした課題に対応するには、革新的な技術を誇るスタートアップとの連携がカギを握る。
商船三井は2021年4月に設立されたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「MOL PLUS(エムオーエル・プラス)」を通じて、国内外のスタートアップへの投資を実施している。CVCを立ち上げた理由は、10年後にどういった事業が社会的に実装されているのかを考え、スピード感を持って意思決定するためだ。投資枠は40億円で、これまで9社に対し投資を行っている。

Portfolio

提携先のサービスを活用するだけでなく、成長を後押し


そのうちの一つが、ドローンや自動車など陸上で風況を測定する装置を開発する、京大発スタートアップのメトロウェザー(京都府宇治市)。風を細かく読むという技術を活用し、船舶が遠方の風況をリアルタイムに把握しながら効率よく海上航行する実証実験に世界で初めて成功した。これによって、化石燃料依存型の航行からの脱皮につなげていく。
もう一つが、持ち運びが可能な小型の水処理システムを開発・販売するWOTA(ウォータ、東京都中央区)。船上に敷設されていない水道の代わりとしてWOTAの技術を活用する。また、「提携先のサービスを活用するだけでは出資しなくてもよい」(MOL PLUSの阪本拓也社長)というスタンスに基づき、商船三井が進出している40カ国以上の海外拠点と連携。アフリカなどで顕在化している世界の水不足問題の解決を後押しする。

WOTAと商船三井の協業事例

長期的な観点から投資先の選定を進める


MOL PLUSの今後の投資スタンスは「再生可能エネルギーや脱炭素を中核とした新規投資に力を入れていくこと」(阪本社長)。長期的な観点から投資先の選定を進めており、スタートアップが海運や海洋、物流といった領域で売り上げを作れるようにサポートする。また、昨年には商船三井が不動産業のダイビルを完全子会社化したが、収益構造の転換に向けて新規事業分野への投資にも力を入れていく。

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