今ここに寛げば、人生が豊かになる
やっていて楽しいと感じて力むことなくできること、それが自然体でできることだと感じている。
僕の場合でいうなら、文章を書いたり筆で字を書いたりすることが、それにあたるといっていいだろう。
もちろん、文章を書き始めた頃や書道を始めた頃は、苦しさを感じたり力みによって上手くいかないことも多々あった。
しかし、これらをほぼ毎日続けて生きたことで、力みも苦しさもなくなっていき、今ではどちらも生活の一部として自然にできるようになっている。
こういった自然に今を楽しめるようなことをすることが、この人生ですべきことの一つだといっていいと考える。
ライフワークとは、生活の軸となることを繰り返し行っていくことであり、楽しみながら自然体でできることを生活の軸にすることができれば、生きることそのものを楽しめるようになる。
人生は楽しむためにある。
そういった視点で物事を観るならば、自ずと楽しいと感じることを優先するようになっていく。
楽しみながら自然体でできることは持続可能なことであるし、楽しいという思いが人を常に新鮮にさせる。
こういった新鮮さを保っていけば、内面を常に輝かせながら生きていくことができるようになるだろう。
前回の記事でも触れた「泰然自若」という言葉は、「泰然」はゆったりとした様子、「自若」は大事に直面しても落ち着き払って平常心でいる様子という意味を持つ。
この泰然自若の見方を少し変えるなら、今この瞬間を自然体でできることを楽しんでいる状態と言い換えることもできるだろう。
文章も書道も、慌てて書いていると納得できるものを生み出すことができない。
しかし、ゆったりと平常心で対面していけば、それこそ自然に納得できるようなものが出来上がる。
また、ゆったりと平常心を保ちながら、それらを行っているとちょっとした気づきを得やすくなる。
気づきとは新たな発見であり、そういった発見が楽しさに繋がっていく。
もちろん、こういったことは書くことだけに限らない。
食事でも歩くことでもゆったりと平常心を保って行えば、気づきが生れるものであり、生活の動作の一つひとつを意図して観照すれば必ず気づきが得られるようになる。
マインドフルネスは、動作のひとつ一つを意図してゆっくりと行うことで、気づきを得ようとするものであり、今この瞬間を丁寧に感じることで気づきが生まれる。
もちろん、生活のすべてを気づきを得るためにゆっくりと行うことはできないけれど、せめてやっていて楽しいと感じることは、できる限りゆったりとその対象と向き合うようにしていけば気づきを得ることができ、その気づきによって自分の内面を輝かせ、常に新鮮な気持ちで生きていけるようになるだろう。
気づきは、自分を寛がせることで生まれるものでもある。
自分を寛がせるということは心身を寛がせ過剰な力を除いて、自然体になるということ。
そして自分を寛がせ緩ましていると、不思議と思わぬ直観が働くようになる。
こういった気づきは無の状態から生まれた意図であり、無の中から生まれた意図が人を前向きにさせ行動する意欲となっていく。
しかも無の中から生まれた意図を行動に変えると、上手くいくことが多かったりする。
人はゆったりと平常心を保てるようになれば、無から生まれる意図を知ることができ、その意図を実践すれば力むことなく歩んでいくことができるだろう。
自分を寛がせれ無になれば内なる自分と繋がりやすくなり、内なる自分からのメッセージを気づきという形で得られるようになる。
だからこそ、どんなときでも平常心を保ってリラックスできるように心掛ける。
急げば急ぐほど、遠回りすることになる。
急げば急ぐほど大切な物事を見落としてしまい、その見落としによって無駄を生んでしまう。
その一方で、一見すると時間が掛かるように思えても、ゆったりと構えて自分に寛ぎながら今を生きる方が、実は効率的だといっていいだろう。
ウサギは早くゴールできるかもしれない。
しかし、その分、景色を楽しむことはできない。
カメは、ゴールするのに時間が掛かる。
でも、その過程でたくさんの景色を味わうことができる。
到着する時間は早いが得るものが少ない方がいいのか、到着するのに時間が掛かっても得ることが多い方がいいのか。
生きるという視点に立つとき、前者よりも後者の方が豊かさを実感できることだろう。
人は自然体であるとき、ゆったりと平常心でいることができる。
慌てれば、その分、余計な力を入れることになってしまい、その結果、大事なものを取り逃がしてしまう。
今この瞬間を自分自身に寛いでゆったりと構えていると、目には見えないものを見ることができ、声に聴けない声を聴くことができるようになるだろう。
無心の中から生まれる意図を知るとき、人は常に自分を新しくさせることができる。
無為の中から生まれる気づきが有為となり、人生を豊かにさせる。
自然体で生きれば、人生を楽しむことができる。
豊かさとは、今という瞬間を楽しむことだ。
だからこそ、力むことなく楽しいと感じることをして自然体で生きれば人生が豊かになっていく。
豊さは、今ここに存在する。
今この瞬間を楽しめば、たくさんの気づきを得られるようになる。
今ここに自分自身を寛がせ気づきとともにこの世界を観照すれば、人生が豊かになるのは当然のことといっていいだろう。