前向きとポジティブの違い

これから書く「前向き」と「ポジティブ」の違いは、あくまでも個人的な感想です。

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「前向き」を検索すると、「①正面に向くこと、②ものの考え方が積極的・発展的であること」と出てきます。

また「ポジティブ」を検索すると、「①写真用語の陽画を意味するポジティブ、②積極的であるさま」と出てきます。

「前向き」の②の意味とポジティブの②の意味は同じといっていいでしょう。

なので「前向き」と「ポジティブ」は同じように使われていると考えられます。

しかし、個人的な感想でいうなら「前向き」と「ポジティブ」は、異なるように思います。

なぜ、こういったことを書くかというと、前回の「我々が今すぐできること」という記事の中で「前向き」という言葉を何度も使ったからです。

この記事の「前向き」の意味は、「積極的であるさま」というというよりも「正面を向くこと」に近いと思います。

なぜかといえば、今回の震災に対して「前を向こう」ということはできますが、「ポジティブ」になろうとはいえないと感じたからです。

「前を向く」という言葉には、「今がどんな状況であるにせよ前を向こう、今できることをしっかりとやっていこう」といった意味があると思います。

しかし、「ポジティブ」という言葉には、いささか「無理をしてでもテンションを上げていこう」といった意味があるように感じてしまいます。

我々が普段使っている「ポジティブ」という言葉は、どちらかというと和製英語化していて「陽」の部分だけを切り取っている感じがします。

その一方で「前を向く」という言葉には、「陰と陽」の両面を見る、全体を直視するといった印象があるように思います。

つまり、「前を向く」ということは、陽の部分だけでなく陰の部分も受け入れた上で、今できるベストを尽くそうといったニュアンスが含まれていると感じるのです。

普段、我々が使っている「ポジティブ」という言葉は、「positive」ではなく、和製英語化した「ポジティブ」です。

この和製英語の「ポジティブ」には、どうしてもポップな印象があったりします。

なので、このポップさがもしかすると、あまりいい印象を与えていないのかもしれません。

いずれにせよ、我々は無理をして「ポジティブ」になる必要はありません。

無理にテンションを上げてポジティブになろうとすると、その反動で疲れてしまいます。

むしろ、今この瞬間にすべきことを前向きに淡々と行っていくことが大切なのだと思います。

無理をして「ポジティブ」になると、感情が波打ってしまします。

しかし、「前を向く」の方は、感情の波が定まっていきます。

人は前向きになると、思いと行動を一致させることができます。

思いと行動を一致させて、目の前のことを対処するとき、人はまさに前に進むことができるようになります。

「前向き」は、「一つの事に熱中するさま、いちずなさま」という意味を持つ「ひたむき」という言葉に通じます。

「ひたむき」を漢字にすると「直向き」です。

我々が、前を向き、直向きに生きるとき、目の前の課題は解決されていくことでしょう。

そして、日々を前向きに、かつ直向きに生きてはじめて、和製英語の「ポジティブ」ではなく、「主に希望や自信に満ちていること、疑いのない明白なこと」という意味を持つ、本来の「positive」になっていくのではないかと思います。

今回の震災はもちろんのこと、我々自身が何かの問題に直面したとき、無理にテンションを上げるだけでは問題は解決しません。

目の前の陰と陽の両面を見て、今できることは何かを感じ取り、その思いをもとに行動していく必要があるでしょう。

生きるには、そういった「前向きさ」や「直向きさ」が必要になってくるものです。

太極図

太極図は、「陽」と「陽の中にある陰」、「陰」と「陰の中にある陽」の4つが組み合わさって、ひとつになっています。

陰と陽どちらか片方を切り取るのではなく、全体を見ていくと様々な景色が見えてくるものです。

そういった、様々な景色を見て取ることが「前を向く」ということなのかもしれません。

積極的になることができても、空回りをしては意味がありません。

まずは地に足を着けて前を向いて生きていくことが大切なのだと思います。

「前を向く」とは、「いまをしっかりと生きる」ということでもありますね。

今に向き合うことが「前を向く」ということです。

地道に今と向き合った先に積極的・発展的な思いが生まれるのだと思います。

着実に歩を進め山頂の見晴らしのいい場所に立ったとき、積極的・発展的な氣づきが生れます。

そのときに「希望や自信に満ちたpositive」が生れます。

今回は「前を向く」と「ポジティブ」の言葉のニュアンスの違いを感じたので記事にしてみました。