フォローしませんか?
シェア
SATOSHI
2024年5月30日 15:30
わたしは一人の作家が気になりだすと、飽きるまで読み続けるという癖がある。丸谷才一もそんな作家のひとりだ。昨年の暮れから読み始めて、『輝く日の宮』『笹まくら』『たった一人の反乱』と、まるで亀の歩みのようにのろのろと読みすすめ、先日『裏声で歌へ君が代』を読み終えた。(その間、図書館で借りた『忠臣蔵とは何か』は早々に挫折した。)『輝く日の宮』『笹まくら』『たった一人の反乱』については、すでに
2024年3月21日 16:00
丸谷才一の『たった一人の反乱』(1972)を読んだ。それなりに面白く読んだが、正直言って、この小説にはさほど強い感銘を受けなかった。なによりも主人公である「ぼく」にほとんど共感することができなかった。それはそうだ。主人公の馬淵英介は、通産省のエリート官僚出身で、民間の電機会社の重役に天下りし、妻の病死後一年も経たずに若い美人モデルと再婚する人物である。やっかみ半分と言われればそのとおり
2024年2月21日 16:30
金銭的理由はともかく、むしろ保管スペースがないことから極めて貧しいわたしの蔵書の中に、たまたま丸谷才一の文庫本が四冊混ざっている。今回は、その中から『笹まくら』(新潮文庫)をとりあげる。この本をいつ読んだのかまったく覚えていない。あるいは読みかけて放り出してしまったのかもしれない。幸いなことに、今は、そういった放置されていた本とじっくり向き合う時間がある。時間はあるが、一方で残された時間