ノスタルジックなティッシュボックスケースSIWA × AWATSUJI 開発秘話
山梨県の和紙メーカー大直の佐々木です。私たちは毎日使える和紙ブランド「SIWA | 紙和」を運営しています。 今回はAWATSUJIシリーズの開発秘話をお話しいたします。
SIWA×AWATSUJIは2021年4月に発表したシリーズです。テキスタイルデザイナーの粟辻博さんの柄をSIWAの製品にプリントしました。和紙の風合いと、気持ちが明るくなる美しいデザインが融合しています。粟辻さんは1950年代、日本が戦争から立ち直ろうとした時代に、美しい色彩でモダンな絵柄とパターンを表現したデザイナーです。そのデザインは日本のテキスタイルデザインに革新をもたらし、70年代には表参道にショップを展開して多くのファンを獲得してきました。
粟辻さんの美しい柄や色彩をSIWAで使用している素材、ナオロンの上にどのように再現するのか検討を重ねました。(ナオロンは大直が開発した新しい和紙です。ナオロンの説明はこちらから↓)
https://note.com/siwacollection/n/n2d28462982dd
ナオロンは印刷をすることもできますが、印刷方法により全く違う表情になります。今回は多色の模様をセレクトしましたので、インクジェットプリンターで出力することに。データ化した図案をそのまま印刷しても指定された色にはなりませんので、背景色含め、一色ずつ合わせて行きます。ナオロンは通常のプリンター用紙と違ってインクを吸ってしまいますので、どうしても発色が悪くなりがちです。今回使用するプリンターのインクはCMYKの4色です。見本の生地の色は10色で出力したもの。それを4色のプリンターで、なおかつ紙に印刷をするのは技術が必要です。1色ずつ出力しては納得がいく色が出るまで色合わせを行いますので、かなり根気がいる作業です。この色合わせができるかどうかで粟辻さんの配色、製品の仕上がり印象が変わってきてしまうので、慎重に、真剣に進めます。今回はティッシュボックスケースの加工説明をいたします。
アイテムによって印刷レイアウトも変わります。ティッシュボックスケースの配置にも一工夫。ナオロンの幅、印刷加工域、レーザー加工域を考慮し、無駄のない配置で印刷データを作成します。
印刷ができたらレーザーカットに移ります。レーザーはあらゆる加工ができますが、SIWAで主に使用している加工は下記の通りです。
1. 断裁 :カットすること。切り抜かれた状態。
2. 筋入れ :線引きなどともいい、折線を入れたい部分を半切りの状態で加工する。
3.目付け:制作過程上で必要な印。主に縫製するときのノッチの役割をします。
AWATSUJIシリーズにもこの加工を同時に行います。また、レーザー加工にも高度な技術が必要です。紙の厚さやインクの種類、量によって出力を調整したり、印刷時にズレが生じますので、全ての印刷物が同じように断裁できるように、トンボ(印)を目安に1枚ずつ固定します。
断裁と筋入れ加工を一度に行います。
レーザーカットが終了!ティッシュボックスらしい形になってきました。
ナオロンは縫製もできる強度がある和紙です。四隅を慎重にミシンで縫っていきます。
縫製が終わったら、角からぐいっとひっくり返します。ちなみにティッシュボックスケースはこの作業によって初めてしわが入り、風合いが変化します。緊張の一瞬、絶妙な力加減が必要です。表に返したら角をぎゅっと出して、、
ベルクロを付けます。付け位置が同じになるように専用の道具を使用します。
完成しました!
このような工程を通してAWATSUJIのティッシュボックスケースは作られています。モダンでノスタルジックなお部屋のワンポイントにいかがでしょうか?siwa.jpにて販売中です。
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