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    北大言語学サークル Huling の構成員による記事の一覧 https://huling.org/

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ドラマ『ゴールデンカムイ』のアイヌ語を読んでみよう!

北大言語学サークル所属のもけけです。 遂に、連続ドラマW『ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』始まりましたね! 原作漫画を知らずに「中川裕先生が監修に入ってるらしいな」くらいの感じで映画館に行き、豪華なキャスト陣と手の込んだ美術・演出に驚いてから早くも九ヶ月、ドラマもとっても面白いです! 今回の記事では、ドラマ第一話で、アシㇼパさんのフチ(祖母)がウパㇱクマ(言い伝え)を語っていたシーンのセリフを解説します! 解説と言っても、私自身、大学の授業やサークル活動の中でア

    • バンバラ語 概説 文法編

      北大言語学サークル所属のもけけです。 バンバラ語の概要や音韻について紹介した前回の記事に続いて、今回の文法編では、形態・統語に関する文法面の内容を紹介します。 人称代名詞バンバラ語の人称代名詞は、通常、以下の通りです。 文の構造バンバラ語は、古典的類型論においては「孤立語」に分類され、名詞のみならず人称代名詞に至るまで、格変化を生じません。(小森 2023: 182-183) 主語や目的語といった項は、主として語順によって判断され、それ以外の付加詞は後置詞による標示を受け

      • バンバラ語 概説 音韻編

        北大言語学サークル所属のもけけです。 音韻編と文法編の全二回に亘る本記事では、西アフリカに位置するマリ共和国を中心に話される「バンバラ語」という言語について紹介します。 バンバラ語って何?バンバラ語は、西アフリカのマリ共和国やコートジボワールを中心とする地域で話されている言語で、話者数は約400万人とされています。 言語系統としてはニジェール・コンゴ語族マンデ語派に属すると考えられており、小森(2023: 176)によれば、セネガルのマンディンカ語(マリンケ語)やギニアの

        • アイヌ語 輪読会レポ #9

          北大言語学サークル所属のもけけです。 本記事は、6月13日に行われた第9回アイヌ語輪読会の学習記です。 第9回では、第25課「時間表現(3)継続と結果」、第26課「不定人称文と受け身文」、第27課「尊敬表現」の内容を扱いました。 学習内容第25課「時間表現(3)継続と結果」 第25課では、アイヌ語の時間表現に関して、主に進行状態を表すと考えられそうな kor an と、主に結果状態を表すと考えられそうな wa an という二つの形式の使い分けを学習しました。 輪読会では

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          現代のJ-POPに見る琉球八重山語

          北大言語学サークル所属のもけけです。 先月公開した「標準日本語との対照から学ぶ八重山語の音韻」の記事を親しみやすく感じてもらえるように、八重山語の音韻論と関連させながら現代のJ-POPの歌詞を見ていく記事を書いてみることにしました! この記事を読む前や読んだ後などに「標準日本語との対照から学ぶ八重山語の音韻 後編」を読んでいただければ、楽しみながら理解を深めていくことができるかと思います。 BEGIN「島人ぬ宝」言わずと知れたBEGINの名曲、いわゆる「沖縄ポップス」の中

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          標準日本語との対照から学ぶ八重山語の音韻 後編

          北大言語学サークル所属のもけけです。 第2回の今回は、いよいよ、八重山語の音韻というテーマに関して、音素とアクセントの内容を中心に紹介していきたいと思います。 八重山語の音素ここでは、中本(1976: 217-228)を参考にしながら、八重山語の音素について標準日本語との音韻対応を整理します。その際、標準日本語の音韻体系と変わらずに対応が見られる音素については割愛し、異同のある部分や例外的な部分を中心に紹介していきます。 なお、前回の記事でも確認したように、琉球諸語は島ご

          標準日本語との対照から学ぶ八重山語の音韻 後編

          標準日本語との対照から学ぶ八重山語の音韻 前編

          北大言語学サークル所属のもけけです。 全2回に亘る本記事では、琉球諸島の南部に位置する八重山諸島で話される言語である「八重山語」の音韻的な特徴について、日本語の標準語(標準日本語)と対照して関係を確認しながら紹介していきます。 第1回の今回は、そもそも八重山語とはどのような言語なのかを簡単に紹介していきたいと思います。 琉球諸島と琉球諸語琉球諸島とは、北から順に奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島からなる諸島であり、八重山語は、その中の八重山諸島を中心に話されている言

          標準日本語との対照から学ぶ八重山語の音韻 前編

          グライス語用論 概説 後編

          北大言語学サークル所属のもけけです。 第3回の今回は、ここまで見てきたグライスの公理の問題点を指摘し、それを再検討して発展させた理論であるホーンの理論を紹介します。 グライスの公理の問題点前回までで確認してきたように、グライスの公理は、発話が字義通りの意味とは異なる「推意」を生じる仕組みについて説明を加えたという点で非常に画期的なものと言えますが、問題点も考えることができます。 第一に、公理の数です。グライスは四つの公理について「カントにならって(グライス 1998: 3

          グライス語用論 概説 後編

          グライス語用論 概説 中編

          北大言語学サークル所属のもけけです。 第2回の今回は、前回確認した「推意」の具体的な例を確認しながら、公理の逸脱の類型についても整理していきます。 前回の内容の疑問点概説書などでは、前回の記事で確認したような原理・公理・推意の内容で説明を終えている印象がありますが、個人的には「公理がどのように逸脱されるのか」を考えることも重要だと考えます。 なぜなら、前回の内容を厳密に考えてみると、次のような疑問が生じてくるからです。 すなわち、推意が生じるような発話において、あくまでも

          グライス語用論 概説 中編

          グライス語用論 概説 前編

          北大言語学サークル所属のもけけです。 全3回に亘る本記事では、文脈(コンテクスト)から得られる情報を考慮に入れた上で言語使用を研究する言語学の一分野である「語用論」の中から、その黎明期に分野の確立に大きく寄与したポール・グライスが提唱した理論を紹介し、その後の研究で再編された理論についても紹介していきます。 グライス語用論グライス語用論とは、概略、発話の意味について字義通りの「言われた事柄(what is said)」と言外に示される「推意された事柄(what is imp

          グライス語用論 概説 前編

          アイヌ語 輪読会レポ #6

          北大言語学サークル所属のもけけです。 本記事は、4月16日に行われた第6回アイヌ語輪読会の学習記です。 第6回では、第16課「命令文」、第17課「疑問文」、第18課「主格・目的格人称変化」の内容を扱いました。 学習内容第16課「命令文」 佐藤(2008: 128)によれば、命令文は、動詞の命令形(主格人称接辞の付いていない形)を用いて作られます。また、三人称で無標の形式からは文脈やイントネーションによって区別されます。 なお、他動詞の命令文に関しては、目的格人称接辞が付

          アイヌ語 輪読会レポ #6

          アイヌ語 輪読会レポ #3

          北大言語学サークル所属のもけけです。 本記事は、3月12日に行われた第3回アイヌ語輪読会の学習記です。 第3回では、第7課「副助詞」、第8課「終助詞」、第9課「助動詞」の内容を扱いました。 学習内容第7課「副助詞」 副助詞は、「独立の副詞ではないけれども、他の語の後に置かれて様々な副詞的な意味を付け加える働きをする助詞(佐藤 2008: 61)」とされています。 輪読会では、情報構造の術語としての「主題(theme)」や、格助詞と副助詞の区別などについても確認されました

          アイヌ語 輪読会レポ #3