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妊娠を希望するキャリア女性夫婦のための検査と予防接種

「妊娠前に何か検査を受けたりしたか?」と聞かれることが結構多いので、今回はこのテーマについて書くことにした。結論からいうと、妊娠前にするべきことは3つある。

①ホルモン検査

ホルモンが足りていないと妊娠しにくいので、ホルモンの検査を受ける。「もしホルモンが足りていなかったらどうするつもりだったの?」ということもよく聞かれるが、その場合は当然ホルモン剤を飲む。

以下のリンクの「内分泌検査(ホルモン測定)」のところに詳細が記載されているので興味がある方は読むと良いと思う。読む時間がない方のために端的に説明すると、生理3日目に採血する血液検査である。なお、こちらのクリニックは予約制ではないのでものすごく混んでいる。実際、月経がずれることはよくあるので、月経3日目がいつになるか正確にはわからないため、ホルモン検査は予約できないところで受けるしかないという実情もある。待つことを想定して仕事や本などを持ち込むと良いだろう。費用は検査が4220円、結果を聞くのが1660円だった。

https://www.kusuhara-womens.jp/sp/sterility_check/


②性感染症検査

性感染症にかかっていると妊娠しにくいので、性感染症の検査を受ける。例えばクラミジアに罹患すると、卵管や子宮頸管に炎症を引き起こし、精子の通り道が狭まってしまうことで上手く着床できずに不妊になる。不妊原因の約30%が卵管因子であるといわれており、そのうちの60%以上がクラミジア感染によるものであるという報告もある。

お互いにパートナー以外と性交渉したことがないという方であっても、銭湯や温泉、サウナやトイレの便座、タオルの共有などでうつる性感染症もある(例:トリコモナス)ので、妊娠前に一度全部チェックしておくと安心である。

これも「もしかかっていたらどうするつもりだったの?」とよく聞かれるが、普通に薬を飲んで治す。HIV以外の性感染症は基本的に治るからである。現代の医学はすごい。

性感染症系の検査は以下のクリニックが網羅的である。値段も記載されている。

http://www.yoboukai-shinjuku.jp/sp/fee/


③予防接種

妊娠してから麻疹、風疹、ムンプス、水痘にかかると子供が障がい児になる可能性があるため、検査して抗体が足りていなかったら予防接種を受ける。なお、妊娠を希望する女性が予防接種を受ける場合は、あらかじめ1ヶ月避妊した後に接種を受けることが推奨されており、予防接種後は2ヶ月の避妊が必要となる。

特に女性に重要なのが風疹で、男性に重要なのがムンプスである。

風疹:妊娠初期の女性が風疹にかかった場合、高確率でお腹の中の赤ちゃんが先天性風疹症候群(難聴、心疾患、白内障、緑内障、精神や身体の発達の遅れなど)にかかり障がい児として生まれる。先天性風疹症候群の発生頻度は妊娠週数が早いほど高く、妊娠4~6週では100%、7~12週では80%、13~16週では45から50%、17~20週では6%、20週以降では0%という報告がある。

ムンプス:成人男性がおたふく風邪にかかるとおたふく風邪の原因であるムンプスウィルスが精巣に炎症を起こすことがあり(ムンプス精巣炎)、そのせいで精子を作る働き(造精機能)が低下し、最悪の場合は無精子症になることが知られている。

麻疹:成人してから麻疹にかかると重症化しやすく、妊娠中の女性が麻疹にかかると流産・早産・死産が3~4割の確率で起こる。

水痘:成人してから水疱瘡を発症すると子供よりも熱が高くかゆみも強くなる傾向があり、脳炎や肺炎などを引き起こす可能性がある。妊娠中の女性がかかると流産のリスクが高まり、お腹の中の赤ちゃんが先天性水痘症候群(四肢の低形成など)になることもある。

これらの4つは2回の予防接種をすることで抗体を獲得でき、なるべく早く予防接種を受けることが推奨されている。すでに2回受けたという方であっても、特に風疹の抗体は何年か経つと抗体値が下がりやすい傾向にあり、念のため抗体検査を受けることをお勧めする。私自身、2回予防接種をしたが抗体ができていなかったので3回目を受けた。夫も抗体が全くないわけではないが不足していたので再度接種した。

妊娠希望の友人達から相談された際にこの予防接種について必ず案内するようにしているが、今のところ相談された人のうち4つ全ての抗体が十分にあった人は一人もいない。100%全員が、どれかしらの抗体が不足していて予防接種を受けた。これを読んだ方はぜひ、抗体検査をしてみてほしい。

4つのうち、幼少期に自然にかかったものについては永久抗体ができているので予防接種は不要であるが、「風疹にかかった経験がある」人達に血液検査を行ったところ、約半分は記憶違いだったという調査結果もあるため、全ての人が4種類の抗体検査を受け、不足分の予防接種を受けることが望ましいだろう。

内科で4種類の血液検査を同日に行うことができる。検査を受けた当日に、「抗体がないものについては検査結果を聞いた当日に予防接種を受けたい」旨を伝えておけば、病院が予防接種を仕入れておいてくれるので、約1週間後に結果を聞いた同日に予防接種をすれば4種類全ての検査・予防接種が通院2回で完結する。以下のクリニックは予防接種に特化しているのでお勧めだ。値段も記載されている。

https://www.soneclinic.com/vaccine/

まだ妊娠を急いではいないし、なるべく費用を安くしたいという方は、ほとんどの自治体で麻疹と風疹の予防接種に助成が出ているので、「●●区 風疹 予防接種」で検索してみると良いだろう。

https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/yobo01_001178.html


以上である。妊活サプリとか、体を温めるなんちゃらとか色々聞くが、まずはこれら3つを行うのが重要だと思う。

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