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突劇金魚さんの「罪と罰」を観てきました。言わずと知れたドストエフスキーの名作。恥ずかしながら若い頃に気合を入れて読み始めたものの、登場人物名が全く頭に入って来ず挫折した覚えのある小説です。と言うわけで、途中までしかあらすじがわからないままでの鑑賞でしたが、色んな不安を木っ端みじんに吹き飛ばす本当に素晴らしい舞台でした。

特に第2部で描かれたラスコーリニコフとスヴィドリガイロフとの対比が見事でした。よくある話だと大罪を犯した者は壮絶な罰を受けるか、それとも自責の念から自殺してしまうというパターンが多いように思うのですが、この作品では苦悩に次ぐ苦悩を抱え悶えながらも、最後の選択/結末はこのパターンではない。というのが私には新鮮でした。

ラスト間近、ラスコーリニコフが警察の前まで来て覚悟を決めたかと思った瞬間、もう一度引き返すところは色んな意味で私は悶絶してしまいました。本当に素晴らしい演出だったと思います。

そしてラスコーリニコフとスヴィドリガイロフとの違いは、結局のところ”愛”なんだよな、と腑に落ちました。

小説を読むとまた違った感想になるのかもしれませんが、当面のところ私にとっての「罪と罰」は突劇金魚さんの舞台で得たもので満足してよいように思っています。

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