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社会人の行きつけのお店

・行きつけのお店、なんとなくかっこいい響き。
 社会人になるまでは、そんな大人なことしないと思ってたし、
 そんなかっこいいことは、ぼくにはできないと思っていた。
 そんなぼくに、行きつけのお店ができました。
 福岡の酒屋さんで、立ち飲みができるんです。

 社会人1年目のぼくは、右も左もわからない赤ん坊でした。
 それは比喩的な意味ではなくて、
 本当に右も左も分からない土地に会社の関係で住むことになってました。
 それが福岡の天神あたり。
 別に福岡に行きたいと思って、その会社に就職したわけでもないし、
 福岡が好きで就職したわけでもなくて、
 本当にたまたま、就職が決まった企業の事情で福岡生活が始まりました。
 知り合いがいるわけでもないので、とりあえず歩いてみて街を探る日々。
 だんだん街の雰囲気も分かってきます。
 だけど、まだ疎外感が拭えませんでした。
 1年くらい時が経つと、会社の人とも仲良くなれました。
 一応、会社はぼくの居場所になります。
 だけど、福岡県にぼくの居場所はありませんでした。
 家はあったし、会社もあったので、
 ぼくの心持ち的に、居場所がなかったのです。

 家に帰ると、とりあえずテレビをつける習慣があったぼくは、
 みたことがないローカル番組を、深夜にみていました。
 1年くらいは住んでいたのに、なぜ今まで見れてなかったのか、
 それは謎なのですが、1年越しに初福岡ローカル番組を見つけました。
 飲み歩きの番組でした。
 福岡らしく豪快に飲むことができる女性がローカルのお店を回る系の。
 そこでたまたま写っていた、酒屋さん。
 角打ちと呼ばれる、立ち飲みができるそう。
 ぼくは、その時結構お酒を飲めるようになっていたし、
 いろいろと挑戦しないと。
 そんな気分で日々生きていたので、次の土曜日にいってみました。

 そこでは、綺麗に並んだワインや日本酒があり、
 角打ち用のテーブル、レジの横にはビールのサーバー。
 雰囲気が良いお店でした。

 注文方法が分からなかったので、レジの奥さんに話しかけます。
 今日のビールの話、飲めるワイン、日本酒の話。
 そのほか雑談なんか。
 なんというか、心地よい。
 そんな気分。
 ぼくはそれから、何度もそのお店に通うようになりました。

 「あ、こんばんは。今日は、どうしましょう」

 そんな言葉をかけられるようになっていました。
 これが、行きつけってやつなのかな。
 心で呟きながら、噛み締めていました。

 なんで、社会人の人たちが、
 そんな大人たちが、行きつけのお店を作るのか。
 疑問があったぼくも、今ならなんとなくわかります。
 自分の居場所を作ること。
 みんな、知らないところは寂しいんだな。
 寂しいから、焚き火ができる場所を見つける。
 今日も、色んなところで焚き火が見られるんでしょうね。

 覗いていただき、ありがとうございます。
 今では、色んなところで焚き火ができるようになりましたよ。


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