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みんなが知らないスーパーマーケットの世界④~イオンが放ったコンビニキラー”まいばすけっと”

みなさん、はじめまして。
シルタスのBizdivチームで働いている石川です。

一都三県、北海道にお住まいの方だったらお馴染みのスーパー”まいばすけっと”。通称”まいばす”

最近やたら見かけませんか?
(え?見かけてない?よーく目を凝らして町を歩いてみてください。)

僕が住んでいるエリアは家から歩いて3分くらいのところに1件、さらに5分くらい歩いてももう1件あります。

まさに、コンビニ、、、

そう!!!そうなんです!!!!コンビニ!!!!!

まいばすは、イオングループがコンビニに対抗するために放った刺客、まさにコンビニキラーとも呼べる存在。

私たちの生活を十分に便利にしてくれる今や欠かせない存在ですが、ビジネスの視点でまいばすを捉えなおすと、目から鱗がボロボロ落ちることがたくさんありましたので、つつしんでシェアさせていただきます。

コンビニ飽和時代に誕生した渾身の一手

コンビニの数がどのくらいあるか、皆さんご存じでしょうか?
2022時点でいうと、こんな感じ。

セブンイレブン・・・21,221店舗
ファミリーマート・・・16,559店舗
ローソン・・・14,281店舗
ミニストップ・・・1,931店舗

4位のミニストップになるとガクッと数字が減りますね。このミニストップ。どこのグループかというと、そう、イオングループでございます。

ファミリーマートがユニーと統合したり、ローソンがポプラと提携したりと、1位のセブンを追い越せとばかりに追随している状況でして、上位3社で約90%のシェアを占めているという状態になっています。

「もうこんな寡占状態で打つ手なんかないじゃーん」と多くの人がたじろいでしまう中、流通の覇者イオンさんは違います。
この3社に切り込むウルトラCとして誕生したのが、まいばすなんです。

まいばすの店舗数推移をみてみましょう。

2005年に横浜からスタートし、毎年100店舗増えている鬼の増え方をしています。
グラフは2021年までですが、23年3月現在は1,100店舗を超えております。
内訳も、

東京・・・742店舗
神奈川・・・305店舗
千葉・・・7店舗
埼玉・・・8店舗
北海道・・・42店舗

と、ほぼ東京に寄せています。

冒頭僕が言ったような、まいばすの近くにまたまいばすがあるというような、まさにコンビニのような出店戦略をとっていることが県ごとの出店数を見ても分かると思うのですが、まいばすの狙いは何なのでしょうか?

”まとめ買い”ではなく、”ちょい足し買い”のニーズを実現

まいばすでは、スーパーのような生鮮食品を扱うほか雑貨なども置いており、品ぞろえはコンビニと似ていますが、あくまでスーパーマーケットです。24時間営業もしていないし、コピー機もありません。

コンビニでも最近野菜とかお肉などの生鮮食品を目にすることが多くなってきましたが、前提ニーズがあるから取り扱っているっていうのと、むしろまいばすにコンビニが寄せてきている節があるのではないでしょうか。

そう、まいばすは絶妙なニーズを埋めているんです。それが”ちょい足し買い”

都心の人口が増える中、コンビニはたくさんあるけど、スーパーとなると数は多くはありませんし、場所によってはちょっと遠いから週末まとめ買いしてるようなご家庭は多いんじゃないでしょうか。立地的に不便に感じるケースが多いと思います。

でも、でもですよ。仮に家の近くにスーパーがあったらどうでしょうか。
まとめ買いしなくとも、さくっと足りない食材を買いに行って、週末はがっつり趣味や家族の時間にあてれたらどうでしょうか?

そんなちょい足し買いニーズを実現すべく誕生したのが、都市型ミニ食品スーパー「まいばすけっと」なんです!

この都心のニーズは他のスーパーからしてみても進んでとっていきたいところですが、そう簡単ではありません。
ニーズがあると分かっていても、賃料も高いし、狭い売り場の店舗オペレーションどうすんねん問題もあります。

まいばすはどうやって実現しているのでしょう。

近い、安い、きれい、そしてフレンドリィ

まいばすの入り口に飾ってある看板

こちらまいばすのコンセプトですが、強みが非常に分かりやすくて素晴らしいです。
まさにまいばすがコンビニに対しての競合優位性と、かつちょい足しニーズを実現できている理由ともつながっています。

それではまいばすさんの事業戦略をみていきしょう。

まず立地。

商圏は半径300m以内かつ2,000世帯以上の住宅街に集中して展開。撤退したコンビニや小型スーパーの店舗跡に居抜き出店を行い、初期投資を抑える例が多いそう。

売場面積は150m2前後で、生鮮食品が売上が多く、売り場としては生鮮を取り扱うコンビニと競合してきますね。

ちなみに、住宅街に店舗が多数存在するため、多くの店舗の名前は「まいばすけっと(地名)×丁目店」となっているんです。豆知識。

次に安さ。

生鮮の取り扱いを強化し始めているコンビニと戦うにはめちゃくちゃ大事な点です。

ここはイオングループとしての強みがもろに発揮されます。プライベートブランドであるイオントップバリュ商品を取り揃え、見切り商品の値引きを行うなどして生鮮コンビニより割安感を出しています。

さらに特売日などは特に設けず、特売日も設けないEDLP(EveryDay Low Price)戦略で、チラシなどの販促費用も削減しています。まあコンビニチラシやらないですしね。当然か。

このようなかたちで、コンビニと品ぞろえが重複した場合でも、「まいばすの方が安い」ジャンルが多いため、ほとんどの消費者からすれば、トータルだとまいばすの方が安くなります。

コンビニでも生鮮を買うようなユーザーを着実にものにすることができるということですね。

最後に

みなさん、いかがだったでしょうか。

正直、取り扱っている商品とかで特色がないイメージのまいばすでしたが、その誕生理由やビジネスモデルを知ると、また違って見えてくるのではないでしょうか?

食品の買い足しであれば、コンビニよりまいばすの方が確実に安くなるので、近くにまいばすがある方はぜひ積極的に利用してみてくださいまし。

ではでは。

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