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本からもらうもの。『強運の持ち主』より。

こんにちは!tamasiroです。

「運がいいと思いなさい」
“経営の神様” とも呼ばれる、松下幸之助さんの残した言葉です。
まだ初々しかった新卒時代、就職後まもなく。
何気なく聴いていたラジオから知りました。
当時周囲と比較して、上手に生きられない自分に落胆と憤りを抱えていた毎日。
“運” がいいなんて、思うことなどありませんでした。
理想と現実の大きな隔たりに自分の不甲斐なさに嘆く一方、形を成さない “運” というものに見放されていると思っていました。
振り返ると、“運” に八つ当たりをしていたような気さえします。
すぐ近くにある幸せに気づくこともできない狭い視野しか持っていませんでした。
今では未熟さに恥じ入る思いです。


『強運の持ち主』
著者様は 瀬尾 まいこ さん。
発行 文芸春秋、文春文庫です。

会社勤務営業職から転身した占い師ルイーズ吉田。
ショッピングセンターの片隅で、日々占いと人間観察に励む毎日。
多くの相談に乗りながら、やがてルイーズにとっての “強運” を知ります。

“強運” とは何なのだろう。
単純に意味としては “運が強い事” ですが、“運” の形や意味を説明する事は難しい。
読み始めから疑問に感じていました。
“私にとっての強運の形とは?”
その人の置かれる状況や願望などにより望みが違うので、すべての人にこれと決定づけることができません。
わかりやすく誰よりも社会的に高い地位や名誉、多くの財産なのか。
たくさんの知人友人、人脈を築くことなのか。
その度合いとは如何ほどのことなのか。
人の数や価値観の数だけ、“強運” の正体は存在すると思います。
幸せの形が人それぞれであるように、“運” の意味も人の数だけあるということなのでしょう。
誰かの幸せが万人に絶対であることはないので、“強運” の正体も定めることはできません。
家族だから、恋人だから、こういった関係性であったとしても、同じであると限りません。
しかし、共に生きていきたい相手であれば、お互いに尊重するためにも相手の理想を共有することも大切です。
些細なことでも伝え合うことが自分のため相手のためとなります。
お互いの共通点や妥協点を認識することにより最善を模索して、寛容と肯定で受け止め、時には意思を曲げずに伝えていくことでより良い道が見えていくのだろうと思います。
結果、縁が切れてしまうこともあるかもしれません。
最善と思われる選択が最良と感じることができないとしても、人生の過程では最善となり、“強運” と言えることもあるのでしょう。

作中でルイーズはパートナーと多くの会話を重ねます。
相手を知ろうとします。
そして、パートナーも彼女を知ろうとします。
どちらか一方ではなく、“お互いに”が大切なところ。
この過程が、相手を大切にする寛容と肯定なのだと思います。
そして、2人にとっての “強運” を引き寄せていきます。

“私にとっての強運の形とは?”
周囲から見たら面白味もないであろう、ささやかで穏やかに過ぎていく毎日の奇跡。
私なりに、私の全力で、私らしく生きていく昨日今日明日。
私を大切にしてくれる、周囲の人を大切にできる今があること。
これが私にとっての最善を模索した結果の “強運” なのだと思っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。
今日が素敵な一日となりますように😊


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